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業務可視化とプロセスマイニング

私の投稿に「業務フロー・・・」に関するがありますが、ある方に”プロセスマイニング”?と聞かれましたので業務可視化とプロセスマイニングを比較してみました。

A.プロセスマイニングとは。


プロセスマイニングは、ビジネスプロセスの解析手法の一つであり、主にイベントログデータからプロセスの実態を抽出し、可視化や分析を行う手法です。以下に、プロセスマイニングの基本的な概念と手法について説明します。

  1. イベントログデータの収集: プロセスマイニングの最初のステップは、対象となるビジネスプロセスの実行ログ(イベントログ)データを収集することです。イベントログは、プロセスの実行中に発生するイベントやアクティビティの情報を含んでいます。

  2. データの前処理: 収集されたイベントログデータは、必要なデータ形式や構造に変換する必要があります。不要な情報の削除や欠損データの処理など、データのクレンジングや前処理を行います。

  3. プロセスモデルの生成: プロセスマイニングでは、イベントログデータから実際のプロセスモデルを生成します。主な手法としては、プロセスフロー(プロセスの実行順序を可視化したもの)や、直列処理や並列処理などのプロセスの構造を表現するPetriネットが使われます。

  4. プロセスモデルの解析: 生成されたプロセスモデルを解析することで、プロセスの特性やパフォーマンスに関する情報を得ることができます。例えば、ボトルネックの特定や、冗長な手順の特定などが可能です。

  5. プロセス改善への活用: プロセスマイニングの結果をもとに、プロセスの改善や最適化を行うことができます。不要な手順の削減や、効率化のための変更点の特定など、具体的なアクションを取ることができます。

プロセスマイニングは、ビジネスプロセスの可視化や改善に役立つ手法として広く活用されています。企業や組織は、プロセスマイニングを通じてプロセスの実態を把握し、効率性や品質の向上に取り組むことができます。

B.プロセスマイニングの利点

  1. プロセスの可視化: プロセスマイニングは、イベントログデータからプロセスの実態を抽出し、可視化することができます。プロセスフローやプロセスモデルを生成することで、プロセスの手順やフローを視覚的に把握することができます。

  2. ボトルネックの特定: プロセスマイニングにより、プロセスの実行中におけるボトルネックや遅延が明らかになります。実際のデータからボトルネックを特定することで、改善のための具体的なアクションを取ることができます。

  3. プロセスの改善と最適化: プロセスマイニングの結果をもとに、プロセスの改善や最適化を行うことができます。過剰な手順の削減、並列処理の導入、リソースの最適配置など、効率性を向上させるための改善策が導き出せます。

  4. データ駆動型の意思決定: プロセスマイニングにより得られたデータと洞察を基にした意思決定が可能です。実際のプロセスデータから抽出した情報をもとに、客観的な判断や効果的な戦略立案を行うことができます。

  5. 監視とコンプライアンス: プロセスマイニングは、ビジネスプロセスの監視やコンプライアンスの面でも利点があります。実際のプロセス実行データから異常なパターンや規則違反を検出し、適切な対策を講じることができます。

  6. プロセスの透明性と理解: プロセスマイニングは、ビジネスプロセスの透明性を向上させ、関係者間の共通理解を促進します。プロセスの可視化や分析結果の共有により、チームや関係者がプロセスについて一貫した理解を持つことができます。


C.業務可視化とは。

業務可視化は、ビジネスの状態やパフォーマンスを視覚的に表示し、理解しやすくするための手法です。主な目的は、経営者や管理者がビジネスの現状を把握し、効果的な意思決定や戦略策定を行うことです。

業務可視化では、さまざまなデータや指標をダッシュボードやレポートなどの視覚的な形式で表示します。これにより、ビジネスの重要な要素や関連するデータを一目で把握することができます。具体的なデータや指標は、業種や目的によって異なりますが、売上データ、在庫状況、顧客満足度、生産性指標、品質指標などが一般的に使用されます。

D.業務可視化の利点は、

  1. リアルタイムな情報把握: ビジネスの状況やデータを可視化することで、リアルタイムな情報把握が可能となります。適切な時期に問題やチャンスを発見し、迅速に対応することができます。

  2. データの相関関係の可視化: 複数のデータや指標を一つの画面に表示することで、相関関係やパターンを把握しやすくなります。異なる要素の関連性を見つけることで、ビジネスのトレンドや影響要因を理解することができます。

  3. シンプルかつ直感的な分析: 視覚的な表示により、データや指標の分析がシンプルで直感的に行えます。複雑なデータや数値をグラフやチャートで表現することで、情報を迅速に理解することができます。

  4. チームや関係者の共有とコミュニケーション: 可視化されたデータや指標は、チームや関係者と共有しやすく、コミュニケーションを促進します。ビジネスの状況や進捗を共有することで、全体の理解を深め、協力して目標達成に向けた取り組みができます。

E.  業務可視化とプロセスマイニングの主な違い

業務可視化:

  • 目的: ビジネスの状態やパフォーマンスを視覚的に表示し、理解しやすくすること。

  • データの対象: 主に経営や業務の状況に関するデータや指標。

  • フォーカス: ビジネス全体の状態把握や意思決定、戦略策定に利用される。

  • 可視化手法: ダッシュボードやレポートなどの視覚的な形式でデータを表示。

  • 時間軸: 通常は過去から現在までのデータを分析し、現在の状態を把握する。

プロセスマイニング:

  • 目的: ビジネスプロセスの解析や改善を支援すること。

  • データの対象: プロセスの実行データやイベントログデータ。

  • フォーカス: 特定のビジネスプロセスの解析や改善に利用される。

  • 分析手法: イベントログデータをもとにプロセスの実態を可視化し、ボトルネックや改善のポイントを特定する。

  • 時間軸: 過去のプロセスの実行データを分析し、プロセスの特性や改善の余地を把握する。

F.業務可視化とプロセスマイニングの要点の違い:

  • 業務可視化は、ビジネスの状態やパフォーマンスを可視化して理解することに焦点を当てるのに対し、プロセスマイニングはプロセスの解析と改善を目的とします。

  • 業務可視化は経営や業務全体の状態把握や意思決定に利用されますが、プロセスマイニングは特定のビジネスプロセスの解析や改善に特化しています。

  • 業務可視化では一般的なビジネスデータを可視化する場合が多い一方、プロセスマイニングではプロセスの実行データやイベントログデータを分析します。

G.まとめ

これまでのまとめは以下の通りです:

  • 業務可視化は、ビジネスの状態やパフォーマンスを視覚的に表示し、理解しやすくする手法です。経営や業務全体の状態把握や意思決定に利用されます。

  • プロセスマイニングは、プロセスの解析や改善を支援する手法です。プロセスの実行データやイベントログデータを分析し、プロセスの実態を可視化してボトルネックや改善のポイントを特定します。

  • 業務可視化は一般的なビジネスデータを可視化する場合が多く、ダッシュボードやレポートなどの視覚的な形式でデータを表示します。プロセスマイニングはプロセスの実行データやイベントログデータを分析し、プロセスフローやプロセスモデルを生成して可視化します。

  • 業務可視化はビジネスの状態把握や意思決定に利用される一方、プロセスマイニングは特定のビジネスプロセスの解析や改善に特化しています。

  • これらの手法は異なる目的やアプローチを持ち、相補的に活用されることがあります。業務可視化はビジネスの全体像を把握し、プロセスマイニングは具体的なプロセスの改善に焦点を当てています。

このように、業務可視化とプロセスマイニングはそれぞれ独自の特徴や利点を持ち、ビジネスの改善や意思決定に貢献する手法として活用されています。

H.どちらを使う?

一般企業でDX(業務改革・業務改善を含む)などを行うためには業務可視化(業務フロー作成)が必須な作業です。
業務可視化とプロセスマイニングを混同させて説明しているWEBページも見かけます。
*カタカナ語はしっかりとした理解が必要です。


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