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地域包括支援の自走化:老々介護事件篇

思い立って、焼肉屋に車を走らせ、「ひとり焼肉」をすることがたまにある。
敬愛する天海祐希女史が推奨しているひとり焼肉。
好きなお肉を、好きな焼き加減で、好きなように食べる。控えめに言って最高なのだ。

最近ではそうした顧客も少なくないようで、私の行きつけの焼肉屋には、ひとり焼肉でもほかのお客様の目線が気にならないブース配置を工夫されている。
まぁ、個人的には誰も私のことなんか見てないのでどの席だって構わないのだが。

ただ、混雑する時間は回転率や客単に響くので避けるようにしている。
アイドルタイムに、30分肉集中システム
サラダバーをつけてもらっているので、ありがとうの気持ち程度に軽〜く葉っぱたちを盛り付け、あとは肉との対峙。
なぜなら、私はお肉を食べに来ているからだ

30分で、3,000円ちょい。
6,000円の食べ放題コースで2時間居るよりはましな単価かなと思うところで帰る。
そもそも、お肉は食べたいがそんなに大量には食べられない。私の一番の弱点は体が丈夫なほうではなく、体力を気力でかなり多めにカバーしているところにあると思っている。
ゆえに、基礎体力のオバケみたいな人を見ると羨ましいと思う。

そんなひとり焼肉の話は枕で。
実はこのお肉TIMEのあと、お手洗いに入ったときに社会課題と直面した、というのが今回のお話。

…すでにここまでで500字超え。

女子トイレに迷い込んだお父さん

お店を出て、商業施設内なので共同のお手洗いに入ろうとしたとき。
男女のトイレの手前にある多目的トイレがあいていなかったせいか、そこに老夫婦が道をふさがんとばかりに立ち往生していた。

「ここはあいてないんよ」
と、お母さん。
「あー。うー。」
どうやらお父さんは言語コミュニケーションが難儀な様子。
しかし、どうもお母さんは自分のもよおしを我慢できなかったようで、
「ちょっとお父さん、わたし先にトイレに行ってくるけん、ここにおってね。入ってきたらダメよ。女子トイレやけんね」
と言いながら女子トイレに猛ダッシュ。

お父さんの横をすり抜け、その後ろを私が追随したわけだが、まぁ、予感というかもはやビンゴは確実であった。

私が個室を出ると、眼前に、お父さんが(笑)。
もう少しで、お父さんにドアをゴチーンとぶつけそうなくらいの、距離。

だよね…わからんよね、さっきのお母さんの話じゃ…。わかるくらいなら多目的トイレの必要ないもんね…。

「お父さん、ここは女子トイレですよ」
と一応、隣の個室にこもっているお母さんに聞こえるように話しかけ、きたるべき瞬間に向けて心の準備をしてもらいつつ、手を洗ってトイレを出た。

数秒後。
「ぎゃあああああ!」
…すれ違いざまに女子トイレに入る人がいたら声をかけようとは思っていたものの、すでにinしている人までは把握できていなかった、というかお母さんの個室以外は閉まっていなかったはずなのだが。

どこからともなく現れた女子トイレ利用者が、「あー」「うー」と言っているお父さんを目の当たりにして、大声をあげた。

その声を聞いて戻るべきかと思ったが、施設の方がちょうどいらっしゃったので、事情を伝えて後藤は店をあとにした。

この一連の流れに遭遇し、長生きすると連れ合いがいなくても大変だけど、いてもかける迷惑を考えるとゾッとするなぁと自分の老後のことに気をもみ、それと同時に、今後こうした老々介護はもっと増えるわけで、日常生活を失いたくない家族からすると、ちょっとくらいならと要介護者を街に連れ出すこともあるだろうし、そもそも要介護者認定されるか否かのグレーゾーンの場合はさらに阿鼻叫喚だろうと思う。

そうなっても、みんなでできることをして助け合えたらいいと思うのだが。そうはいかないからこそ、こういう事件が起きる。

老々介護の末の殺人

 東京・世田谷区で80歳の男が、認知症の85歳の妻を殺害したとして逮捕された事件で、男が「静かにならず耐えきれなかった」と話していることが分かりました。
 吉田友貞容疑者は1日夜、自宅のベッドで妻の節子さんの首を絞めて殺害した疑いが持たれています。
 その後の捜査関係者への取材で、吉田容疑者が取り調べに対し「騒ぎを起こして迷惑をかけてしまうので寝かしつけようと思ったが、静かにならず、耐えきれず首を絞めた」と話していることが分かりました。
 7年ほど介護をしていたものの、先月から節子さんの認知症が悪化し「(外で自分といるのを嫌がられ)見ず知らずの人に助けを求めたりされた」とも話しています。
 事件前日に夫婦と話した人:「『(妻が吉田容疑者の)言うことを全然聞いてくれない』と。疲れていたんでしょうね。夜も徘徊(はいかい)していると言っていたし」
 吉田容疑者のベッドには包丁が2本あり、警視庁は妻を殺害後に自ら死のうとした可能性があるとみています。

出典:テレ朝ニュース

その前にも、車椅子ごと海に放り込んだという事件もあった。
もう、他人事ではない。

こういう事件のコメントに「行政が早く見つけてあげていれば」といったものが散見されるのだけれど、社会福祉法人の事業者さんの話を聞いていると、そういう簡単な話ではないことは、容易にわかる。

容易にわかるのだが、社会からは断絶されている。

社会福祉管轄の限界

ストーカー殺人事件が増え始めたものの、まだ規制法が整備されていなかった時期は、どんなに警察に相談しても、してもらえることには限りがあった。

近隣住民の騒音が酷くても、実害にならない限り警察は出動できない、これは今もあまり変わっていない気がする。

そう、基本的に、警察は事件のあとにしか動くことはできない。予防はできないのだ。

同じように、社会福祉の制度も、地域を見回ってくれる町内の人がいて徘徊老人の情報を察知したり、「最近あそこのアパートの201号室の山田さんを見かけない」といった「周囲のアンテナ」があって初めて発見され、利用につながるのだ。

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Podcast「チノアソビ」では語れなかったことをつらつらと。リベラル・アーツを中心に置くことを意識しつつも、政治・経済・その他時事ニュー…

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