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特別展「芥川龍之介と美の世界 二人の先達─夏目漱石、菅虎雄」:久留米市美篇

展覧会や映画って、「あ!はじまった!」と思ったらあっという間に終わってしまいませんか?私だけでしょうか…。
まずいまずい、もう行かないと、と思っているものを追いかけているとあっという間に1年が終わってしまいますが、今週は、1月28日(日)まで久留米市美術館で開催されている「芥川龍之介と美の世界 二人の先達─夏目漱石、菅虎雄」について書きたいと思います。

大正時代を象徴する作家・芥川龍之介(1892-1927)が、明治の文豪・夏目漱石(1867-1916)の弟子を自任していたことはよく知られています。さらに本展では、漱石の古い親友で、芥川にとっては高校時代のドイツ語の先生であった菅虎雄(久留米出身、1864-1943)も含めた三人の関係に注目します。禅や書に精通した菅虎雄と二人の文豪との知られざる交流を辿りつつ、芥川の美意識の形成に深くかかわる原稿や書籍、美術作品など約300点を展示します。

「芥川龍之介と美の世界 二人の先達─夏目漱石、菅虎雄」

福岡近郊の皆様、まだ会期がちょっとだけ残っているので、ぜひ足を運んでみてください。
(調べてみたのですが、巡回の予定はなさそう…久留米市美はこういう地元の作家をフィーチャーした単独展示を結構やるんですよね。そういうとこほんと好き)

●久留米市美術館とは

久留米市美術館の前身は、石橋財団が運営していた石橋美術館です。
石橋財団の美術館事業は1952年に始まり、石橋正二郎が創設したブリヂストン美術館(現:アーティゾン美術館)が原点です。彼は西洋絵画や日本洋画のコレクションを公開し、文化の進歩に貢献したいと考えていました。

1956年、石橋財団は正式に創設され、美術館の永続的な発展が目指されました。また、同年には久留米市に石橋文化センターが寄贈され、石橋美術館も開館。そして2016年、久留米市美術館に運営が移行しました。

石橋財団は引き続き美術教育や出版を通じて文化活動を支援しています。
詳細は石橋財団のウェブサイト(美術館事業)を参照ください。

この久留米市美は、時代が時代ゆえにキャパが小さいのが難点でもありますが(かつて、大きな作品を搬入する際に往生しました)、お庭のなかにあるロケーションが最高な美術館です。

多くの美術館は、所蔵品(コレクション)の収集・保存活動と、特別展を招聘して開催される企画展示とで構成されていますが、久留米市美術館は、九州地方、特に久留米出身の洋画家を中心とした九州洋画の体系的なコレクションを保有しています。
主に、高島野十郎、坂本繁二郎、児島善三郎、古賀春江、東郷青児、田崎廣助、牛島憲之、海老原喜之助、野見山暁治など、著名な画家たちの作品が展示されています。それぞれの作品は、画家の独自のスタイルや時代背景を反映しており、九州や日本の美術史を深く理解する上で貴重な資料となっています。
詳細は、久留米市美術館のコレクションページを参照ください。

●本展の魅力


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