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通院帰りのお散歩

数ヶ月おきに通院をし始めて1年が経ち、帰りに上野恩賜公園内の不忍池周辺の自然に触れる時間が私にとっての大切な癒しの時間になっている。

だいたい季節が変わった頃に通院する間隔なので、特に遮る物の無い広い公園に足を踏み入れると、植物の変化がハッキリと見えるし、空の高さや雲の形の変化、そよぐ風の体感や湿度の変化も一度に感じられる。

私も自然と歩みがゆっくりになって、思いっきり空を見上げながら、胸いっぱいに空気を吸いながら、季節の移り変わりをiPhoneで切り取りながら、とても解放された気持ちと清々しさで満たされる。

2020年は、コロナで外出を自粛するという風潮が根付いていたので、春は満開の桜が豊かに咲き誇っていてもかなり人出が少なかった。夏は蝉の声が響く中、スワンボートに乗ってる人がチラホラ見かけられて、春より年齢層が若くなっていた。そして、今回は木々が紅葉する秋。赤や黄色に色づく葉の美しさにしばし見惚れた。

何かしら不便さを感じる状況に置かれているからか…、解放感いっぱいの広い公園だからなのか…、とにかく季節を感じ取って生きている植物の生命の営みに妙に感じ入ってしまった。

訪れた日は【巳の日】でもあったので、不忍池弁天堂から読経が聴こえてきて耳も癒されて、とても心地好く大変ありがたかった。

そのまま歩いていると、上野恩賜公園内の美術館か博物館に寄りたい衝動に駆られた。ふと、まだお昼ご飯を食べていないことに気づいて、【お茶もご飯も美味しかった科学博物館なら…】と思って、幼少の頃から1番お気に入りの科博に向かった。道中、検索すると事前予約制であることが判明。歩きながら10分後の入場枠を予約。

まだまだガラガラではあるけれど…公園内の通りでは、大道芸人を囲む人々が居たり、木の下でお喋りしていたり、子連れのお母さんたちが居たりと、半年前よりもちゃんと人の気配や息遣いの感じられる光景を目にできて、なんだかホッとした。公園の中にはやっぱり笑い声や、楽しそうな声が聞こえないと不気味だよね。

そうこうしてるうちに、目的地が近づいてきて…【ん?臭いっ!】と上を見上げるとイチョウの木。【あっ、なんか踏んだ!】と下を見ると既に潰れてる銀杏の実。この匂いで一瞬にして、母校の中学の裏門から校舎までの銀杏の臭さを思い出して、【昔はコレが秋の深まりを教えてくれてたな】と感慨深い想いになった。という訳で、嗅覚でも秋を満喫できてとても充実した楽しい散歩でした。

五感で秋を感じる癒しの散歩ができて、また来年、優しい担当医に会えるまで日々の積み重ねをちゃんと考えて過ごそう…と思った。

生きることを意識するのは、私には必要な事であり、楽しい事でもある。家の近所もいろいろ歩いてみようっと。


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