業務改善助成金とは?制度の概要と2022年12月からの変更情報について解説
厚生労働省では、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引き上げを図る中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた取り組みを支援するため、「業務改善助成金」制度を設けています。
この度、中小企業・小規模事業者がより利用しやすくなるよう、「業務改善助成金(通常コース)」について、助成上限額の引き上げ、助成対象経費の拡充、対象事業場の拡大などを行うこととされました。
助成金の受け付けは、令和4年12月12日から開始されています。
■業務改善助成金の制度概要
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。 生産性向上のための設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。
なお、助成対象事業場は事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内の事業場です。
■業務改善助成金の支給要件
1.賃金引上計画を策定すること
事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)
2.引上げ後の賃金額を支払うこと
3.生産性向上の取り組みを実施すること
生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと
((1)単なる経費削減のための経費、(2)職場環境を改善するための経費、(3)通常の事業活動に伴う経費などは除きます。)
4.解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと
など
その他、申請に当たって必要な書類があります。
■業務改善助成金の助成額
申請コースごとに定める引上げ額以上、事業場内最低賃金を引き上げた場合、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に助成率を乗じて算出した額を助成します(千円未満端数切り捨て)。なお、申請コースごとに、助成対象事業場、引上げ額、助成率、引き上げる労働者数、助成の上限額が定められていますので、ご注意ください。
■業務改善助成金の活用事例
POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
専門家のコンサルティングによる業務フロー見直しによる顧客回転率の向上 など
機械設備やコンサルティングの他、人材育成・教育訓練も助成対象となります。
■業務改善助成金【拡充のポイント】
事業場規模が30人未満の事業者について、助成上限額を引き上げます。
※ 10人以上の区分は一定の要件を満たした事業者のみ適用されます。
■助成対象経費が拡充される特例事業者とは
助成対象経費が拡充される特例事業者には、生産性向上に資する設備投資などに関連する経費の支出も認めます。
【助成対象経費が拡充される特例事業者】
新型コロナウイルス感染症の影響により売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3か月の月平均値が、前年、前々年また は3年間の同じ月に比べて15%以上減少した事業者
原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月に比べ3%ポイント以上低下した事業者
【関連する経費とは】
業務改善計画に計上された、生産性向上等に資する設備投資等(A)を行う取り組みに関連する費用(B)(=関連する経費)についても新たに助成対象となります。
※「関連する経費」への助成は生産性向上等に資する設備投資等の額を上回らない範囲に限られます。
■事業場規模を100人以下とする要件は廃止に
事業場規模が101人以上の事業場を持つ中小企業・小規模事業者も申請が可能になります。
*厚生労働省ホームページ
「業務改善助成金(通常コース)」を拡充します
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?