ヒューゴプール
見ていてわくわくするような楽しい映画ではないし、ラストシーンには物申したいところも確かにあるけれども、各所にちりばめられた「不思議さ」が心地よくて愛しくなってしまう映画。
登場人物やエピソードの一つ一つが不恰好な形をしているのだが、それらを全部集めてうまく並べ替えると、一枚の絵になり、ひとつのストーリーになる。ちょうどジグソーパズルを組み立てていくみたいに。
肉体が健康な者は精神を病んでいて、精神が健康な者は肉体を病んでいる。病み具合がそれぞれ非常に個性的で、かなり滑稽でもあり悲しくもある。こんな面子で構成されるコミュニティーではありえないはずの「ほほえましさ」が垣間見られるのは不思議な感覚。そして彼らがみんな「プール」を媒介につながっているのも、映画の中では自然なことなのだが、改めて考えてみると不思議。
天使のようにかわいかった頃のアリッサ・ミラノが「精神が健康で肉体を病んでいる」主人公ヒューゴを演じているのも見どころ。アイドル的な部分を上手に生かしつつ、苦労人だが基本的には明るい少女をキュートに表現している。一番小さな彼女がプール清掃サービスの代表者として周囲の奇妙な大人を仕切り倒し、一生懸命に働き、恋をする姿には打たれるものがあった。