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エッセイ

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#しかない

「しかない」言葉に違和感ありませんか

「冗談じゃないわ!」
おばあさんは勢いよく椅子から立ち上がった。強張った膝をかばいながらどんどんと床を踏み締めて歩いたあと、ずばん!と勢いよく寝室のドアを閉める音に続いてがちゃりと鍵が閉まる音がした。おばあさんの怒りは最上級だ。長年のつきあいでおじいさんにはわかった。
ただその理由はわからなかった。

むかしむかしあるところで。
おじいさんとおばあさんは穏やかに暮らしていた。
おじいさんは山へ芝刈

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