ServiceNowとLogic Appsで社外ファイル共有の仕組みを構築した事例
株式会社Mobility Technologies IT戦略本部 IT戦略部 の富岡です。
社内ITのアプリケーション開発・運用全般を担当しています。
さて、弊社ではワークフロー、社内ITに関する問い合わせ、ナレッジ検索、社内ポータルなどの用途で『ServiceNow』を導入・利用しています。
今回はそのServiceNowを活用した業務効率化の事例をご紹介します。実務に落とし込んだ場合にどのようにServiceNowを使っているのか、ご参考にしていただければと思います!
社外とのファイル共有における基盤
弊社では、社外の取引先等の皆様とファイル共有を行う手段の1つとして、SharePoint Onlineを利用しています。SharePoint Onlineを利用する理由は、Azure ADによるユーザの一元管理、監査ログの取得等が理由です。
また、不要な権限をユーザに与えない等の理由から、SharePoint Onlineのサイト作成、ユーザ追加・削除等のオペレーションは、IT戦略部が対応しています。
業務上の課題・懸念
実は、この記事でご紹介する仕組みを構築する前から、社外とのファイル共有をSharePoint Onlineで実現していました。
しかし、以下のような課題がありました。
Slackで申請を受け付けていたが、スレッドが流れてしまうことで、対応漏れが発生していた
SharePoint Onlineの変更作業をマニュアルを見ながら手作業で行っていたため、時間が掛かり、また誤入力が発生するリスクがあった
構築した仕組みと工夫した点
ワクワクしないことや単純作業に貴重なリソースを割きたくない!ことなどのポリシーで、前述の課題・懸念を解決する手段として、以下の仕組みを設計・構築しました。
運用ルール
運用ルールをServiceNowのナレッジでまとめ、社内公開しました。ナレッジの記載内容のポイントは…
「業務担当者」と「管理責任者」の役割を定義し、責任範囲を明確化
できること・できないこと、運用面の禁止事項などを記載
利用の前提条件として、上記内容を含む運用ルールの理解を深めるeラーニングの受講を必須とした
ServiceNow
申請がすべてServiceNowに集約されることで、対応漏れはゼロになり、かつタスクレベルの進捗も細かくわかるようになりました!
また、Azure AD、SharePoint Onlineの操作をLogic Appsに任せることにしました。ServiceNowは、HTTP経由でLogic Appsをコールするだけ。理由は…
ServiceNowの「Integration Hub」でAzure AD、SharePoint Onlineを操作するスポークを利用するには、有償のサブスクリプション契約が必要(お金大事…)
Microsoftのサービスを操作するには、Microsotのサービスを利用するのが一番ではないか?という「餅は餅屋!」の考え
ServiceNow視点でのシステム連携がシンプルになる利点
それ以外に工夫した主な内容は、以下のとおりです。
SharePoint Onlineのサイト、登録ユーザを管理するテーブルを実装
テーブルデータを用いた棚卸作業の自動化を実現
Logic Apps
「SharePoint Onlineの操作は、ポチポチでいけるはず!」と踏んでいたのですが、実際にはLogic Appsが提供するアクションのみでは要件を満たせませんでした。
そこで、「HTTP リクエストを SharePoint に送信します」アクションを利用し、SharePoint OnlineのREST APIをコールすることにしました。
これで大半のことは自動化できたのですが、以下の点は自動化できず、人間による手動タスクとして残すことにしました。
テナントレベルの外部共有の「許可されたドメイン」の設定
サイトアドレスの決定(人間の判断を入れるようにしたかった)
サイトのストレージ容量の変更
手動タスクは、ServiceNowのカタログタスクとして生成し、IT戦略部が対応するようにしています。
振り返ってみて良かった点
人間がやるべきこと、やらないですむことを棲み分けしたことで、大半の作業を自動化できたこと(=半自動化)は、非常に良かったと考えています。
また、ServiceNow、Logic Appsともにローコード、ノーコードのサービスのため、短期間でシステム構築できたことに加え、保守も容易にできることがメリットだと感じています。
実は、手動タスクとして残したことは、PowerShell、Azure Automationなどの組み合わせで実現できた可能性が高いですが、将来的な保守性を考慮し、採用をやめました。
まとめ
比較的簡単な仕組みではありますが、組織の体制やスキルセット、運用フェーズまでを考慮しながら設計・構築できたことは、今後に向けてよかったと感じています。
みんながメンテナンスしやすい社内ITの基盤を作り、きちんと保守・運用されていくようなカルチャーを作っていきたいと考えています!
※掲載内容は、2023年3月13日時点の情報となります。
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