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【要約】ジェンダーの発達科学

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『ジェンダーの発達科学』という本の要約をまとめました。
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#女性

【要約】ジェンダーと経済格差(著:筒井淳也)

本文は『ジェンダーの発達科学』の第18章より。 社会に埋め込まれたジェンダー問題 ジェンダー研究はその系譜的に、「経験の言語化」により紡ぎ出される研究であり、日常経験と学問知が相互に影響し合うものであると言える。ジェンダーの問題化と社会とが関係を持ってきたということは、同時に、ジェンダーの問題化は時代や地域ごとに異なっていたということでもある。  社会経済の構造は資本主義の発展、すなわち雇用労働の変化とともに変化したが、同様に家族の形態も、父親という経営者を頂点とする自営業

【要約】メディアとジェンダー(著:田中東子)

『ジェンダーの発達科学』の第12章より、「メディアとジェンダー」の要約です。 はじめにこの章で扱うメディアの定義を、①伝統的メディア(新聞・テレビ)、②新しいメディア(インターネットやSNSなどオンライン上で展開されるもの)とする。メディアにおけるジェンダーの問題は3つある。   不可視化された女性、そして可視化にともなう困難不可視化される女性と規範化される男性  メディアの中に登場するジェンダーの役割やその比率の不均衡を調査したものとして、グローバル・メディア・モニ

【要約】対人関係とジェンダー(著:赤澤淳子)

 本文は、『ジェンダーの発達科学』より、第7章。 はじめに 本章では、成長の過程において男女関係が、対人関係においてどのような特徴をもって現れるのかを検討する。 仲間関係における性別分離 就学前における性別分離は3歳頃から始まり、同性の仲間を選ぶことにより分離が始まり、子供同士が互いの性別分離を強化して促進し合うということが分かっている。  保育や教育には2つの論理がある。即ち、男女を平等に扱う論理と、男女を分けて別の役割を与える論理である。後者は隠れたカリキュラムと呼ば

【要約】理工系進学を阻むジェンダー要因の分析(著:横山広美・一方井祐子)

『ジェンダーの発達科学』の第10章より。 理系の学問分野に女性が少ない理由のうち、社会的要因について検討する。 世界でも稀な高等教育の男女比 日本においては、理系全般について女子学生率が低いが、理系の中で女子学生率の違いについては研究において注目されてこなかった。ジェンダーや人種等の属性に限らず学習や研究機会の平等が保たれるべきである。理系の中でも、特定の分野について女性を排除する構造があるのではないか。  各学術分野に対するイメージを調査した結果では、学術分野に対する強固

【要約】学校教育とジェンダー(著:鶴田敦子)

本文は、『ジェンダーの発達科学』より、第9章。 はじめに 世界経済フォーラムによる日本のジェンダーギャップ指数は156か国中120位であり、経済・政治・教育・医療の4分野において、教育と医療はほぼ平等に近いが経済と政治が著しく不平等である。学校における教育内容が経済・政治へのジェンダー平等へと影響を与えていないのではないだろうか。 (この序文は名文だと感じたので、是非みなさん手に取って本文を読んでいただきたいです!僭越ながら要約させていただきました。) ジェンダー平等を避