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身近なバイアス④:自分の意見と一致する投稿ばかり読んでしまう心理(確証バイアス)

登場人物 ドクター紅(くれない):ナッジの魅力に気付いた公衆衛生医師。竹林博士:ナッジの面白さを伝えるのが大好きな研究者。

竹林:多くの人には、たくさんの情報の中から自分が信じた内容の裏付けを取りたくなる心理(確証バイアス)があります。

紅:それはわかります。喫煙者は、喫煙の健康被害のニュースは目に入りません。が、「タバコでストレス解消」の投稿を見つけると、大喜びしますものね。

竹林:最初に誤った情報を信じると、それを裏付ける情報を見つけて理論武装していくので、どんどん勘違いが深まっていく可能性があります。

紅:そもそも自分の信じていることだって、原因を探究すると「あの人が言ったから」といったものが多いかもしれないですね。

竹林:一度思い込みが始まると、その後、根拠ある科学的情報を得ても、確証バイアスによって思い込みと折り合いをつけるように曲解したり、正しい情報の方を否定してしまったりしまうこともよくあります。人間、自分の見たいものしか見えないものです。

紅:わかります。脱水症状の危険性が立証されても、「運動したときに水を飲むと逆に疲れる」という都市伝説によって、水分補給の普及が現場で遅れましたものね…。

竹林:一連のコロナ騒動の中でも、正しい情報は少なからずありました。でも、それをきちんと受け付けられなかった一因は、私たちのバイアスです。不確実な情報が私たちのバイアスを刺激し、正しい情報の受入態勢を取らせなかった、と言えるのかもしれません。

紅:最初に相手が信じた情報が根付いてしまうことを考えると、SNSでは確実な情報以外は発信しない方がよさそうですね。

竹林:私もそう思います。

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