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ナッジ研究者が見たニュース#9:講演には遅刻してはいけない

プレゼンの神様・澤円さんのVOICYの「ミーティングに遅れてはいけない理由とは」が示唆に富みます。澤さんは、「聞き逃した部分を発表者に確認すると、貴重な時間資源を無駄にする」という切り口でお話ししていました。これはもっともです。素晴らしい内容ですので、ぜひ聞いてほしいです。

さらに行動経済学の観点から付け加えるのなら、「よいプレゼンは、クライマックスが冒頭にあるので、最初を聞き逃すと魅力が半減するため」という意味もあります。

人間の心理傾向(認知バイアス)のうち、プレゼンの設計に重要なものとして、「プライミング(先行刺激)効果」「一貫性バイアス」「ピークエンドの法則」があります。

プライミング効果:最初の印象(先行刺激)がその後の行動に影響する現象。
一貫性バイアス:一貫したストーリーを好む心理傾向
ピークエンドの法則:記憶に基づく評価はピーク時と終了時の平均に影響される心理傾向

プレゼンの名手はこれを踏まえ、聞き手に「明確な矢印」を指し示す設計します。具体的には、最初にピークを持ってきて、ポジティブなイメージを与え、冗長な話は真ん中に持ってきて、最後にすべてを回収させるような話でまとめて再度ピークを作り上げます。

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最初の話が100%で始まるために、真ん中が多少つまらなくても、魅力は低下しません。しかし、遅刻するとどうでしょうか?冗長な場面から聞き始め、最後に全ての話題を回収したときも、周りが笑っているのに意味がわからないかもしれません。

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当然、満足度も学びも低くなります。もったいないことです。そのため、私は開始直後にトイレに行きたくなっても10分我慢します。10分経っても面白くない話は、これがクライマックスなので、トイレに立ったまま帰ることもあります。私も演者の身として、居眠りやスマホいじりよりは、途中退席の方がずっとありがたいです。

一流の演者は講演の最初に全力を出します。それを聞かないのはもったいないことです。ぜひ、講演を聞くときには最初に集中してみませんか?




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