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勝手にアナリストレポート Vol1011:INFORICH(9338 TSE-G 時価総額392億円)

2024年に入ってから、グロース株には向かい風が吹き続けていますね。日経平均は好調なので、困ってしまいますね。しかし、昔から1月は成長株の仕込み場とも言われています。辰巳天井という相場格言もありますが、まずは登り龍に期待したいところですね。
今回はINFORICH(9338)です。グロース株軟調の波に勝てないだけでなく、中国での原子力電池開発や急速充電機種開発から受けるネガティブインパクトを懸念する人もいるようなので、改めて記事にしてみました。同社は上場前から「もちろん技術の進化については注視しているが、現状根念すべき状況にはない」との見解を示しています。ここもと株価が堅調に推移していたので、色々と難癖付けたがる人もいるのでしょう。是非本質を見るようにしてください。
【株式会社INFORICH (東証グロース:9338)】今後の充電ニーズの動向・バッテリーの技術革新等についての当社見解

電池技術の進化から受ける影響を考察

今後10年でネガティブな影響を受ける可能性は低い



<キーメッセージ>
グローバルで年初から株価が軟調なことに加え、原子力電池や急速充電の話題が再燃していることもあり、同社株式価値は軟調に推移している(昨年末比-15%)。

原子力電池はじめリチウムイオン電池に代わる電池技術や急速充電については、これまでも何度か話題に上ってきた。しかし、起電力、サイクル特性、省スペース性、物質安全性、量産性といった課題があることから、本格採用に至るまでの道のりは遠いと考えられる。

同社は、一部投資家がレンタルバッテリーに対する需要が電池技術の進化等により縮小・消失することを懸念していることを理解し、それに対して懸念する必要がないとの見解を上場前から示している。我々も技術革新が同社ファンダメンタルズに与える影響を短中期で懸念する必要性は低いと考える。


<本文>
INFORICH(以下、「同社」)の株価は、年初から15%低下している(1月16日現在)。グローバルで年初から株価が軟調に推移している影響を日本のグロースセクターも受けていることが主要因と考えられるが、一部で原子力電池や急速充電に関するニュースが出ていることに関連した下落と考える向きもあるようである。

具体的には、北京貝塔伏特新能科技有限公司が民生向けとしては初めて実用化できるレベルの小型化・モジュール化・低価格化を実現した原子力電池の開発に成功したと発表したことや、中国Realmeが2023年2月に発表したRealme GT Neo 5の急速充電機能を再注目する声があるようである。
充電不要スマホ実現へ。中国、50年間発電し続ける民生向け「原子力電池」を開発

原子力電池については、小型化および安全性の点で依然として課題が多いと考えられる。今回発表された原子力電池の公表電気出力は100μW(=0.1W)/Lとのこと。2025年には1Wの製品ローンチを予定しているとのことだが、現在のスマートフォン向けに使われているリチウムイオン電池の電気出力が1,000W/Lということを考えると、省スペース化の観点で実用性に乏しいと考えるべきだろう。加えて、日本では電気製品の安全性を認定するPSEマークの取得が求められる。欧米でもCEマークの取得が必要となる。放射線発生が伴う原子力電池には、放射線や核汚染物質をシールドする対策だけでなく、落下、高温・低温、発火、などに対応した耐久性・安全性が求められることになるだろう。耐久消費財であるスマートフォンに原子力電池が搭載されるには越えないといけない問題が山積みと考えるのが自然ではないだろうか。
急速充電については、Realmeに限らず、中国Xiaomiなどからも近年発売されているが、人気化はしていない。スマートフォンを選択する際の重視ポイントでも(OPPO社2021年調べ)、1位価格、2位バッテリーの持ち、3位カメラ機能となっており、充電速度はMust haveになっていないのが実状である。充電速度は安全性や耐久性とトレードオフの関係にもあることから、一般化するには時間を要するだろう。仮に一般化したとしても、充電時間が減少するだけで充電頻度が変わるものではないだろう。充電時間短縮は課金方法を調整することで売上に与える影響は最小化できると考える。

<ディスクレーマー>
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