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「元」変人の矜持

今日も今日とて無職をやっていた。
ポップコーンに味の変化をつけようとしてにんにく塩を振りすぎて失敗した。めちゃめちゃしょっぱい。

ドクターペッパーを箱買いしたのでごくごく飲んでいる。
不味いと評されることもある味だが、私は嫌いではない。独特な甘みが好きだ。

しかし、「これじゃないとダメ!」というほどでもない。
私がドクターペッパーを箱買いしたのは単に通販で買うと安いからというのと、「マイナーなことしてる自分かっこいい」という一抹の見栄があるからだ。

このマイナー好みは今に始まったことではなく、物心ついたころからこじらせているものだ。
周りから変な奴だと思われるのが心地よかったのだろう、最初は本当にマイナーなものが好きだったのがねじ曲がってマイナーだから好きになり、そしてマイナーだから好きだったものがやがて本当に好きなものになる。私はそうした変な奴だったのだ。

だった。そうだった。
今や私はただの人だ。周りから変だと思われるほど、人の視線を集めることも、そのように勘違いすることも減ったように思う。
もはや私は変であり続けることに疲れた。周りの注意を引くために奇をてらって体を張るのはもはや不可能になってしまったのだ。

私がドクターペッパーを飲むのは、そうした「元」変人の最後の矜持というやつなのかもしれない。
一種の郷愁だと言ってもいい。
ペットボトルに浮かぶ炭酸泡のごとく、脆い感情だ。


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