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ラストリゾート頭痛薬

明日はいよいよ初めて歯医者で抜歯をしてもらう日である。
自分の「危機管理能力に劣り、生死を分けるような判断についても他人事のように感じる」という、現在の境遇にある原因の一つである性格が、今回に限っては良い方向に作用している。つまり、あんまり怖くない。
とはいってもそれは問題が解決したり怖いものが実際に怖くなくなったりしているわけではないので、明日になって施術台に乗せられたら完全に絶望しきってしまうことは間違いないのだが、まぁそれは明日の私の話なので今の私にとってはどうでもいいのだ(という考え方を万事に適用した結果、何度も死にかけている)。

今の私にとっての問題と言えばやはり歯痛、頭痛である。
前回の通院からずっと痛んでおり、メンタルクリニックで処方されたロキソプロフェンを飲むなり氷枕をあてるなりしてなんとか耐えているのだ。
痛い。実に痛い。他の物事に全然集中できず、QOLは著しく低下している。
いささか遅すぎる判断ではあったが、歯医者に行くことを決意した私は本当に偉大だ。ありがとう、過去の私。

たった今、最後の痛み止めを飲み下したところだ。
これ以上痛みが発生しても、今日のこれ以降及び明日の通院前は何の対処もできない。ラストリゾートというやつだ。

ラストリゾート。Last resort。最後の行楽地、ではない。
日本語にするなら「最後の切り札」くらいの意味になる。なんで? と思うかもしれないが、どうもresortという語には行楽地(リゾート)以外に「手段、頼り」といった意味もあるらしく、故にLast resortは「最後の手段」という意味になるのだそうだ。

このラストリゾートという語と初めて遭遇したのはいつの頃だっただろうか。
確か何かのゲームの技の名前とかで採用されているのを見たのが最初だと思う。その時もまさしく「最後のリゾートってなんだ?」と疑問に感じて、一通り調べた結果上に書いたような意味らしいと理解していた。

思えばこういう「意味が分からないけど使われている(目にすることがある)単語」というのはかなりの数ある。
ゲームなんかを趣味にしている人々にとってはとりわけ顕著だろう。技の名前、エネミーの名前、あるいは聞きなれない慣用句なんかに出くわすこともあるだろうか。
私はこれをそのままにしておくこともあるし、ラストリゾートの例のように意味を調べて納得しようとすることもある。
その分からない語を自覚することがまず運次第であり、意味を調べるかどうかも気分次第、その意味を覚えたままでいることは記憶力次第なので、そういった語の知識が身についていくのはそうそう頻繁にあることではない。

なぜか私はラストリゾートの意味を忘れず覚えており、今回の記事の題名に採用することにしたわけだが、別にこれは「ラストリゾート」という語を使う必要性があったわけではなく、上のような話をして文字数をだらだらと稼ぐため、ないし自分の知識をひけらかすためにそうしたのである。
「ラストリゾート頭痛薬」って名前の商品がありそうだなぁと思ったのも要因の一つだが、これはただの語感の問題で、常用するはずの頭痛薬が毎回最後の切り札であっては堪らない。

今の私がまさしく体内で分解中のロキソプロフェン(時間が経ってますます効いてきた気がする)は最後の一錠だったので正しくラストリゾートなわけだが、今後はこんなちょっとしたピンチにならないように、薬の使い方や備蓄状況については気を付けておく必要があるだろう。
少なくとも、明日の施術後には忘れずに処方をお願いしたい。抜歯だし流石に出るだろう。

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