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エルデンリング道中記、その2

さて、昨日に引き続いてエルデンリングの未クリア時点考察・感想を書いていこう。
当然ネタバレ、憶測、妄想に塗れた記事になっているので注意されたい。




昨日の記事ではレナラが第二形態に移行する際に声だけ登場した魔女ラニとは誰か? という話で中断した。
ムービー中のセリフにあるように、ラニはレナラの娘である。そして、これは忘れている人がそれなりにいるかもしれないが、褪せ人に霊呼びの鈴を渡してきた、真っ白の装束に魔女帽子の女性が、そのラニだ。彼女は鈴を渡して「もう会うこともないだろう」と言い残して去るが、攻略ルート次第では再会どころか非常に長い付き合いをすることになる。
そして、ラニの兄弟に当たる人物は、作中に複数登場する。

その一人が、戦神にして万夫不当の英雄、星砕きのラダーンである。円卓での話を聞けばわかるが、彼は大ルーンの保有者の一人だ。
朱い腐敗の蔓延るケイリッドの地で、腐敗の神マレニアと相討ちになり、なお亡霊の如くケイリッドの古戦場を彷徨っている……本作で相対するラダーンはそういったデミゴッドである。
褪せ人は「ラダーン祭り」という戦祭り、恐らくはラダーンを葬送するための催しに参加する形で、ラダーンと対峙する。祭りという名に違わず、このボス戦ではNPCを無数に呼ぶことができ、まさしく祭り状態で挑むことができる。このNPCは時間で復活するため、NPCと共闘しながら神話の英雄たるラダーンの討伐を目指す……というのが開発側の想定解の一つだろう(もちろん、単身で倒してもいい)。
実際このラダーンはかなり強いボスで、超遠距離射撃に怒涛の連続攻撃、瘦せ馬(ラダーンの巨大な体躯を支えるには余りにも小さすぎる馬だが、これにはちゃんと理由がある)に騎乗していることからの機動力の高さ、 果ては重力魔法を用いた攻撃に武器の強化と、圧倒的な手数が脅威となる。他のボスと違って第二形態に遷移するムービーは挿入されないが、HPが半分に迫ったあたりで戦場を離脱、しばらくした後に自ら隕石の如く落下することで大範囲攻撃を行うことで、実質的な第二形態に移行する。第二形態では周辺に小隕石を浮遊させ、予兆とともにそれを飛ばす攻撃が追加される。この隕石は飛び道具にもかかわらず異様に威力が高く、当たればほぼ間違いなく即死する。隕石を呼び出してからそれを飛ばしてくる攻撃までにはかなりの時間的猶予があるので、プレッシャーを恐れずに懐に突っ込んで短期決戦を試みることで撃破することができた。
さて、上にも書いてあるように、ラダーンはその武勇を誇る戦神であると同時に、重力魔法の使い手でもある。体躯に釣り合わない痩せ馬に乗っているのも、重力波を攻撃に用いるのも、隕石の如く自ら落下して攻撃してくるのも、隕石を纏って飛ばすことができるのも、この重力魔法の効果だ。それともう一つ、ラダーンが重力の使い手であることは、シナリオ上重要な意味を持つ。
ラダーン撃破後、夜空の星が動き始めたかと思えば、突如超大規模な流星群が発生する。そして一際大きい一条がエルデの大地に落下、大爆発とともに地面に大穴を穿つ。ラダーンは重力魔法を用いて流星を封印していたというのだ。この様は、ラダーンの英雄としての格を大きく上げている。作中の人物も言及するが、「まさしく神話の英雄」なのだった。
ちなみに、穿たれた大穴の先は先述した魔女ラニとのイベントを進める際に攻略することになる。この件についてはまた後ほど。

さて、レナラの子供たちの話に戻ろう。私が確認している中では、レナラの子供は作中にもう一人登場している。これまた円卓で話を聞くことができる、大ルーンの保有者にして冒涜の君主、火山館の主ライカードがそれだ。これで、大ルーンを保有する五名の破片の君主のうち実に三人がレナラの子である(琥珀の卵、ラダーン、ライカード)ことが分かる。満月の魔術師レナラの母たる神としての性質の強さが分かる事例だ(魔女ラニは破片の君主ではないが、ルート次第でシナリオにめちゃくちゃ絡んでくる。やはりレナラはただものではない)。
で、このライカードという人物は、「蛇の如く嫌われた男」と円卓で紹介されるのだが、文字通り蛇の姿をしている。「冒涜」を遂げるために不死を求め、不死なる蛇の力を欲した結果であるらしい(ライカードもラダーンも、かつては作中で見える姿ではなかったのだろう。ライカードは自ら欲して変化し、ラダーンは恐らく英雄としての成長かあるいは赤い腐敗の影響であそこまで巨大化したものと思われる)。
彼、そして彼に仕える者たちのいう「冒涜」とは何かというと、黄金樹、黄金律、そして神々に弓引くことである。ライカードは現状最も分かりやすい形で「神々を殺す」と言葉にしている人物だ。栄光に固執したゴドリック、狂って眠りに耽るようになったレナラ、流星を封印していたラダーンと違って、明確で積極的な目的がある。しかも、既存の秩序である黄金樹やそれに連なる神々を破壊するのがその目的だ。黄金樹や二本指に対する不信感を募らせている人物はちらほら登場しているが、ここまで明確な敵意をむき出しにしているのは非常に珍しい。
第一形態では蛇神として現れ、それを討伐すると蛇の背に浮かぶ人面相となったライカードが「気に入った、蛇の家族となり、共に神々を打ち倒そうではないか」という旨を喜びとともに伝え、骸の塊で出来た剣を得物に振るう第二形態に移行する。火山館に現れる、かつてライカードの臣下であった霊が「蛇となったライカードはもはやかつてのライカードではない、蛇を殺す槍を置いておくから、それを使って彼を殺してくれ」と頼んでくるのだが、果たしてその槍はあろうことかボス部屋に入って目の前にいきなり置いてある。兵士の亡骸が、跪いて掲げるようにして槍を持っているのだ。この槍、実質このライカード特効武器であり、ライカード戦中のみ、「蛇はその武器でしか殺せない」とか言われていたのも納得の超々射程と筋力補正Bなのにろくに筋力振ってなくてもえげつないダメージが出る仕様となっており、比較的楽に倒すことができる(とはいえ、専用武器の存在や跪いた亡骸、そしてその巨大な威容から、ボスとしての、そしてゲームプレイとしての魅力は十分にある)。
ライカードを倒すと、マルギットと同じように彼もまた「蛇は死なぬ」などと不死を仄めかすセリフを遺して消える。実際のところどうなのかは現時点ではまだ分からない。
ライカードは不死の蛇となり数多の英雄を食らうことによってその力を得て「家族」と成し、彼らとともに神々を弑することを目的としていた。第二形態では蛇の体が部分的に裂け、人体の一部が蠢いている様子が見て取れる。無数の人体の集合体という意味ではゴドリックにも似るポイントだが、ゴドリックにとっての接ぎが己の肉体と先祖の威光を守るための手段に過ぎなかったのに対して、ライカードが英雄を殺して取り込むのはその英雄と家族となって律に仇なすという目的の一部であった。ライカード亡き後に火山館を訪れると、ライカードに使えていた人物たちはほとんどが「力はより大きな力によって飲まれるのが定め」と主人が弑されたことを受け入れ、火山館を去る。ライカードを殺して欲しいと頼んでいた臣下の亡霊のいた位置には、「感謝」のエモートが遺されていた。


と、ラダーンとライカードという二名の破片の君主についてまとめてみたが、今日はもう少しだけ書いておきたいことがある。
彼らの兄弟である魔女ラニについてである。
実は私はエルデンリングのエンディングにラニルートというのが存在するのをゲームプレイ中に知ってしまった。というのも、大ルーン獲得→各地の神授塔でルーンの力を復活という流れを毎回やるものだと思っていたので、リエーニエの塔に到達できないのがどうしてもむずむずしてしまったのである。実はリエーニエの神授塔はルーンの力を得る場所ではなく、ラニイベントを進めるための場所だったのだ(琥珀の卵の大ルーンの力は他のものと違って失われておらず、神授塔に行かずとも効果を発揮している。ちなみにその効果はテキストを読むだけでは非常に分かりにくいが、要するに「産まれ直し(ステ振り直し)ができるようになる」という意味である。レナラ戦にみたような不完全な産まれ直しの子供たちの様になることなく、完全に産まれ直しをすることができる(あんな感じにならなくて済む)ようになる、ということだ)。
実はラニはライカードと同じく既存の秩序を破壊することを目的としている。同じくとは言っても厳密には異なるだろうが、ラニが目的を果たすためには少なくとも「指」に対抗する手段を用意する必要があった。いわばラニにとって黄金律を排することは大きな目的を達成するための小目標であり、ライカードのそれは「冒涜」という言葉を文字通りに受け取るのだとすれば、黄金樹、黄金律、大いなる意志、指の全てを破壊するのが目的であり手段でもあると思われる。
それじゃあラニの目的とは何ぞやという話なのだが、恐らくそれはシナリオ中で少なくとも彼女の計画していた部分までは達成された(細かく覚えていない)。しかし、褪せ人がお節介を焼いたことによって、ラニは褪せ人を伴侶とし、褪せ人に王になるように求めてくるようになる。
これはゲーム開始当初から言われ続けている「王になれ」という文言と似て非なる意図の言葉である。恐らく黄金律陣営であろう円卓の面々が王になれと言ってくるのは、既存の秩序を取り戻すためである。誰かが王になり、黄金律を正し、荒廃した世界を元に戻す、というのが恐らくの意図である。この場合、主人公はマリカの伴侶となり、黄金樹もとい黄金律の元にエルデの王となる。
ラニと伴侶になったうえで王になるというのは、黄金律を排して新たなる理を布くことを意味していると思われる。すなわち新時代の訪れだ。これは一見荒唐無稽な考察に見えるかもしれないが、黄金樹以前に文明が存在していたことはあちこちのテキスト(主に「坩堝」に関連するテキスト)で明言されており、黄金樹が絶対のものではないことを示している。
ラニイベントの途中で相対するボス、「暗黒の落とし子、アステール」は、「外なる神」であるという。そして、おそらくこいつはラダーンが封印していた流星そのものである(流星に穿たれた大穴の最深部で待ち受けるボスがアステールである)。また、イベント及びダンジョンを進めていくと、満月の魔術師レナラは異星の知識に通じていたであろうことが分かる。このダンジョン、永遠の都ノクステラ及びノクローンには、銀色のスライム状の敵が登場する。また、この敵の残骸と思しきアイテムとして銀雫の殻というアイテムがそこかしこに落ちている。このアイテムのテキストには「雫は生命を模倣し、それはいずれ王となる」といった旨が記載されている。実際、このスライム状の敵はゲームを進めていくと人型に変形したりする。
また、レナラ討伐後に可能となる産まれ直しに必要な素材の名前は「雫の幼生」であり、テキストを見る限りだと銀雫の殻と起源を同じくするらしいことが分かる。産まれ直しとは即ち模倣のことであったようだ。
この雫と呼ばれるテキスト群は、ノクステラ及びノクローンに集中して存在しており、その大ボスは異星の神、そしてレナラの称号は「満月」であり、ラニイベントの最後に登場する重要アイテムが課された名は「暗月」である(ラニイベント完遂時にもらえる「暗月の大剣」は、推定本作の「ムーンライトソード」である)。
このことから、レナラを始めとするカーリア王家には星々、異星の知識の探求があったものと思われる。

さて、また一気に書いて非常に疲れた。
私がエルデンリングをクリアするのはまだまだ当分先のことになりそうだが、とりあえずラニルートに進むことは確定している。
流石に暗月の大剣を使いたかったので、産まれ直しで上質振りから魔法剣士振りにステータスを振り直して、今では月光剣をぶんぶん振るったり憧れだった豊富な魔法を要所要所で使って攻略を進めたりしている。
またゲームが進んで何か書きたいことが出来たら、あるいはエルデンリングの一周目をクリアしたら、こういった記事を書こうと思う。
取り敢えず、ライカードを倒したので神授塔を探そう。まだまだこのゲームは私を楽しませてくれる。

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