ベビーパウダーをくぐって

ベビーパウダーという商品がある。
主に赤ん坊に対して使われることから付いた名前らしく、振った場所の水分を吸って最適な状態に整え、皮膚の異常を抑える効果があるらしい。

私が子供の頃、このベビーパウダーは家に常備されていた。
夏に用いられることが多く、あせもができた部分によくパフで塗っていた記憶がある。
これを塗った箇所はさらさらとして気持ちがよく、特に異常のない時にも使いたくなったことを覚えている。

なんなら今も使いたい。
ここ最近の湿度多めな暑さにはいい加減うんざりしてきているのだ。
暑さや汗が原因で皮膚に異常が起きているわけではないが、使うことでこのべたべたと気持ちの悪い気分が多少でもマシになるのなら是非とも使いたいところである。

ただ、実際に使うことになったときのことを考えてみると、少し怖いものがある。
ベビーパウダーというのは、パウダーと名のつく以上粉状のものである。そして、私が子供の頃に使っていたそれは、フタがかなり緩いものだったように思う。
器と大きさこそあっているが、フタを閉めるというよりもむしろ被せるとかそれくらいの強度で、誤ってひっくり返した日には対処のしようもなくぶちまけられていただろうことが想像に難くない。
これを今の家でやるとそれはもう大変なことになる。私のことだから、日常的に使うものを手の届かないところに保管しておくなんて面倒なことはしないだろう。座椅子に座っている状態で手を伸ばせば届く範囲に置くはずである。そしてそれは、なにもベビーパウダーに限った話ではない。
スマホ、ゲーム機、パソコン、そういった電子機器も必ず私の周囲に置いてある。これら精密機械に粉塵がぶちまけられるとどうなるか。考えるだけでも恐ろしい。子供の頃はひっくり返しても精々床が一時的に粉塗れになるくらいだっただろうが、機械を粉塗れにすると取り返しのつかない故障を起こす可能性がある。

そういうわけだから、不快さを紛らすにしても別の方法を探したほうがいい。
何かいい感じのものはないだろうか。