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White Light/White Heat - Early 70's US Counterfeit (Repro)

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70年代初頭 USリプロ盤

The Velvet Underground
White Light/White Heat
Verve Records – Early 70's US Counterfeit

リプロ盤は少なくとも3種類

僕の知っている限りですが、WL/WHのリプロ盤(ニセモノ)は、少なくとも3種類はあります。Aタイプ、Bタイプ、Cタイプと下に書き出してみました。

A : 1970年代初頭
スカル柄ナシ + 他すべてUSオリジナル盤・初期西海岸プレスと同仕様
Discogsのリンク

B : 1977年
スカル柄ナシ + There, Lead Guitar, Warhol(初期クレジット)+ Sunsetラベル
Discogsのリンク

C : 1998年
スカル柄アリ + Here, Guitar, Warhol(修正クレジット)+ Sunsetラベル + ラベルにWhite Light/White Heatの記載ナシ

ヤフオクやebayなんかのネットオークションで見かけるのは、AタイプとBタイプです。そのAとBの目撃頻度の割合は、僕の感覚だと9:1くらいで圧倒的にAが多いです。Aの仕様は、一応USオリジナル盤を匂わせることができていますが、Bは、Sunsetラベル(参照記事)が付いている時点で、偽物として目指すもの?がUSオリジナル盤ではないわけで、そういう意味でAに需要があるのだと思います。けっこうな頻度で見かけるので、いったいトータル何枚プレスされて今何枚日本国内にあるんやろかと不思議に思います。

スカル柄アリのCは、いまだお目にかかったことはありませんが、うっかり買ってしまうような類のリプロ盤ではないのではと想像しています。ひと目みて明らかに偽物とわかるようなオモシロ盤なんじゃないかと思うんです。表ジャケのバンド名・音源名のフォントからして、ちょっとおかしいとか、ラベルにWhite Light/White Heatの記載がないとか、そういう情報があります。なかなか趣きがありそうで、けっこう欲しいです(たぶん高い)。

最も多い70年代初頭リプロ

僕が持っているのは前述のAタイプで、1970年代初頭に出回ったとされるUSリプロ盤Discogsのリンク)。ヤフオクでも3000円〜5000円くらいで出品されているのを頻繁に見ますし、実際に落札されていきます。出品者はリプロともオリジナルとも言わずに「US盤」とか「謎盤」とか思わせぶりな説明で止めていることが多いです。中古レコ屋に売ると二束三文なので(または、レコ屋も自分の店の店頭で売りたくないので)、ネットで素人相手にUSオリジナル盤を匂わせながら売っているのだと思われます。特徴を書いてみます。

もちろん音はマズい、だが最悪ではない

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マスター音源がパチもんなんで、もちろん音は良くないです。コモり気味でハイ落ちしています。スピーカーに幕を一枚かぶせたようなイメージです。同条件でデジタル化して波形を並べると、リプロ盤の波形はUSオリジナル盤よりもひとまわり小さくなります。リプロ盤のサウンドをフェーズスコープで見てみると、位相のズレはマシなのですが、USオリジナル盤と比べてLR幅がかなり狭い図になります。広がりのないサウンドです。ただ、これはごく個人的な意見なのですが、だからといって、最低レベルのダメダメサウンドには聴こえないんです、不思議と。このリプロ盤を作る際に使われた偽マスターは、おそらく初期USオリジナル盤からの盤起こし音源を使っていると想像します。70年代初頭に出回ったリプロ盤なのであれば、年代的に考えて、お手本として選択できた元音源は、初期に近いUSオリジナル盤しかなかったと考えるのが自然だと思います。ハイ落ちもあるしコモりもありますけど、聴くと確かに、れっきとしたUSオリジナル盤と同じ系統のサウンドではあるんですよね(苦笑)。もちろん良くはない、マズいけど、このマズさよりも、もっといやなマズさのある音が鳴ってしまうオフィシャル盤のアナログWL/WHもたくさんあると僕は思っています。

スカル柄は無い

このリプロ盤、表ジャケからはオリ盤の風格が漂うんですけど、、スカル柄はありません。判別しにくいほどのコンディションではありますが、いくら見てもないです。日本で流通するWL/WHのリプロ盤は、おそらくすべてがスカル柄ナシだと思われます。

重要 : 存在しないアートにクレジット

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クレジットなどの仕様はざっと以下の様な感じです。

曲名の誤表記
There She Comes Now(未修正)

Lou Reedの担当楽器名
Lead Guitar(未修正)

Cover Conceptという項目
Andy Warholの表記アリ

裏ジャケのクレジット仕様は、最初期USオリジナル盤と同じ仕様です。

それがなにを表すかというと、表ジャケにスカル柄がないにもかかわらず、裏ジャケにWarholeクレジットがある、、存在しないアートに対してのクレジットがあるということです。この点が、偽物としての決定的な特徴です。ましてや、初期オリ以降の流れとして、Lou Reedは、スカルの有無に関わらずAndy Warholeのクレジットを削除してしまおうって態度だったわけですから(参照記事)。

このリプロ盤がこういう仕様になった経緯を予想すると、、リプロレーベルが、最初期ジャケのUSオリジナル盤を手本にして、裏ジャケやラベルは完コピしたけど、表ジャケのスカル柄は印刷技術的に(または工数を惜しんで)再現できなかったんだと思われます。その結果、再現できなかったスカルと、再現したWarholクレジットの間に矛盾が生まれたのだろうと。

こまごましたスペックをひとつひとつチェックするまでもなく、

スカル柄ナシ + Warholアリ

が揃えば、リプロ盤、ニセモノと言えます。

スパイン部にバンド名表記がない

で、あともう一点わかりやすい特徴としては、ジャケのスパイン部(背中)にバンド名表記がないこと。「バンド名表記なし=本物を完全否定」ではない説もあるようですが、かなり怪しい要素だとされています。十中八九リプロ盤と思われます。

ラベルの色 : 青味が強い

ラベルは青銀Verveでそれっぽいんですが、青がやたらと濃くてほとんど紺色に近いです。

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ラベルのテキスト : にじみが強い

文字群の印刷がにじんで太っていてとても感じが悪い。画像でもわかるように、B面の曲名などはテキストが潰れてしまっています。

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ラベルに接着剤が浮いている

ラベルの貼り付けに使った接着剤の質が正規盤とは違うようで、ラベルの下で汚く浮いてきています。画像にあるように、B面のラベルで顕著です。ebayやヤフオクでみかける同仕様のリプロ盤も、この症状を持っていることがとても多いです。

実店舗で購入&なんか憎めない

僕の場合は、道具屋のようなたたずまいのレコ屋でUS盤2500円の札がついたコイツを見つけて買いました。お店にただようワテらロックとかパンクとかぜんぜんわかりまへんねん的なムードと、スカル柄の有無がわからないほど汚すぎる表ジャケ、思わせぶりなドリルホール(偽物にドリルってもう騙す気満々やんか!)など、なんかトータルの雰囲気にのまれて、これはもしかしたらなんかしらなのかもなあって感じで検盤もせず(←あほ)買って帰って、で、このザマですわ。いちおう手放さずに持ってます。ニセモノのクセにこんなボロになりながらも50年近くもゴミにならずに何人ものオーナーを経て、なんでか僕のところまでたどり着いたことをおもうと、ちょっとはかわいいんですけど。

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