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『メトロイドⅡ』プレイ感想

 『メトロイド ドレッド』に備えて2Dメトロイドを遊んでおこうシリーズ第二弾。今回はシリーズ二作目、『メトロイドⅡ』を遊んだ。

その感想を書く。ゲームを遊んだ感想を書く。すなわち、ゲーム内容のネタバレを含む。閲覧の際は注意してくれ。ほんと、めちゃくちゃネタバレしてるから

プレイ環境は3DSのバーチャルコンソール。まるごとバックアップ機能とかは使わなかった。そういう添加物は不要なのだよ。


これを書いている時点でのシリーズ経験は以下のとおり。

3DSの『メトロイド サムスリターンズ』でメトロイドデビュー
→Nintendo Switch Onlineで『スーパーメトロイド』
→同じくNintendo Switch Onlineで『メトロイド』

と遊んできた。サムスリターンズを遊んでいたので、「あっここサムスリターンズにもあったなあ!」と思うシーンがいくつかあった。

 この記事では、第一作のメトロイドからどのような進化を遂げているのか、また、今作で生まれた要素がのちのスーパーメトロイドにどのような影響をもたらしているのかを中心に感想を書く。したがってメトロイドおよびスーパーメトロイドのネタバレも含むので注意


舞台は据置機から携帯機へ

 初代メトロイドはファミコン(ディスクシステム)専用ソフトとして作られた。続編のメトロイドⅡはゲームボーイ専用ソフトだ。

つまり、メトロイドは据置機から携帯機へとハードを移している。

据置機から携帯機への移行は、素直に言ってしまえばパワーダウンである。事実、初代メトロイドは画面に色が付いていたが、メトロイドⅡでは画面が白黒になっている。

そんなパワーダウンの状態で、任天堂はこのゲームをメトロイドⅡと言い放った。これはⅡだ。続編だと。大丈夫ですか?

大丈夫でした。

一作目からバッチリ進化して、スーパーメトロイドを生み出す下地を作り出している。白黒の小さな画面でも存分におどろいたし、興奮した。


初代からどのあたりが進化しているのか、どのようにスーパーメトロイドに影響をおよぼしているのか、ちょっと書いていく。


アクションとパワーアップが増えた

 しゃがめるようになった!しゃがみ撃ち!ジャンプからの下撃ち!とアクションが増えた。相対的にボムの攻撃価値が減り、ボムは探索用のアクションになった。

回転ジャンプ着地後の“滑り”が無くなっているが、個人的にこれはちょっと寂しい気もする

メトロイドⅡの目玉パワーアップは、やはりなんといってもスパイダーボールだろう。壁・天井を舐めるように移動できるのは探索の面白さを飛躍的に伸ばしている。

さらに、丸まり状態でジャンプできる【スプリングボール】や、無限にジャンプできる【スペースジャンプ】で探索の面白さが限界まで向上した。

それら以外にも、【スペイザービーム】や【プラズマビーム】なども登場した。プラズマビームはほとんどのザコを蒸発させる驚異的な性能でテンションが上がる。

また、一作目には存在しなかったエネルギー / ミサイルを全回復してくれる補給ポイントも実装されている。無限湧きするザコを狩らなくて済むなんて!最高だ!


このように、据置機から携帯機に移行したもののゲーム内容は前作から大幅に充実しており、続編を名乗るのも当然のクオリティだった


コントロールされ始める探索

 第一作目のメトロイドでは、探索を制御するような試みはほとんど見られなかった。プレイヤーの行動を操ろうとする印象は薄く、いわば無秩序な面白さがあった。一方でメトロイドⅡでは、マップ設計に「こう遊んでもらおう」という意図が見え始める

分かりやすく“意図”を感じたのが、次のようなシーンだ。

「壁の向こうにエネルギータンクが見える!」
「でも壁に阻まれて取れない!」
「どうすればあちら側に行けるんだ?」
「マップの反対側に大回りして回り込めないかな?」
「回り込めた!取れたぞ!」

こういったマップ構造は前作にはあまり見られなかった。Ⅱではこうした【チラ見せ】のテクニックが使われ始めている。始めやがったなコイツ…!


おどろきを仕込み始めるメトロイド

 Ⅱでは、「うおっ!」と思わず声が出てしまうような“おどろき”を随所に仕込んでいる。これも一作目にはなかった要素だ。

地面があるように見えて、実は穴が開いているところにいきなり落ちる。おどろきつつも下に降りていくと、そこには剥き出しになったパワーアップアイテム──【スパイダーボール】が落ちている。「うおおお壁に張りつけられる!」新しい能力を使って壁を登り、無事に元の場所に戻ってくる。「ふぅー…びっくりした!」

のちのスーパーメトロイドに通ずるような、おどろき・新しい能力を使いこなさないと出られない部屋が出てくるのだ。

こうした展開がゲーム内の至るところに仕掛けられている。


 特にパワーアップ周りは入念に構築されている。パワーアップアイテムと見せかけていきなりボスが登場→倒すとパワーアップゲットは印象深い。

他にも、鳥人像の手のひらになにも載っていなくて、周辺の隠し通路を進むと、鳥人像が本来持っているハズの玉が大量に置かれている。それらを壊してかきわけると、一番下にバリアスーツが埋もれている、といったシーンもあった。

扉から入らず、鳥人像の裏側から入るシーンもアツかった。

これらは鳥人像=パワーアップというお約束を逆手に取ったおどろき演出と言える。Ⅱではパワーアップ部屋にのみ扉──ミサイル5発当てると開く扉が設置されているのも興味を惹き付ける要因だ。


 パワーアップ以外だと、やはりメトロイドだ。始まりからしてシリーズ経験者にはおどろきの展開だ。なにせ見知ったクラゲっぽい見た目ではなく、おそろしげなクリーチャーへと脱皮を遂げている。変異体メトロイドの周辺には、脱皮の痕跡である抜け殻が落ちているのも印象的だ。これもスーパーメトロイドにつながる、“無言のチュートリアル”に近い。

【抜け殻=近くにメトロイドがいる】、この図式をプレイヤーの頭に刷り込んだあと、抜け殻を見せずにいきなりメトロイドを登場させたりしてくる。他にも、メトロイドとは広い部屋で戦うのが基本だと思わせておいて、いきなり通路で戦わせたりしてくる。

さらに、変異体メトロイドの成長がある。変異体メトロイドは、より強固でおそろしい個体へと進化していく。強い個体と戦う一方で、たまに弱い個体も出てきて、バトルに緩急が付けられている

また、Ⅱでは規定数のメトロイドを倒すと道を塞いでいた毒沼の水位が下がり、先に進めるようになる仕組みになっている。この“規定数”のさじ加減も上手い。

6体倒して先へ進めるようになる→8体倒して先へ進めるようになる、といった具合に、それなりにまとまった数を倒さないと先へ進めないと思い込ませてから、「1体倒しただけで進めるようになったぞ?!」とこれまた緩急を付けてくる

極めつけはラストシーンだろう。メトロイドの反応は残り1体、いよいよ最後の個体を仕留めたら任務完了だ。そのとき、地鳴りと共にメトロイドレーダーが反応を見せる。

「残り1体だったハズの表示が増えている!?」
「そんなバカな!」

予定調和なんてクソくらえ!というわけだ。


演出を覚え始めるメトロイド

 しかし、一番「うおおっ!」となったのはなんといっても序盤~中盤辺りに出てくるパイプのシーンだろう。

そのエリアを探索し始めた最初に、意味深な二本のパイプを見かける。ただの背景だろうと決めつけてそのときは通り過ぎる。そのあと、別のところで隠し通路を進むとそのパイプの中を通るのである!雰囲気を出すためにちゃんとパイプの外側は真っ暗に表示されている。これにはシビれた。

そしてバリアスーツ入手。しっかりとスーツがパワーアップする演出付きだ。か、かっけえ……!

携帯機ながら“演出”を使いこなしている。メトロイド体験に演出が組み込まれる最初の一歩であろう。白黒で小さな画面のゲームボーイでよくもまあこんな……


また、音楽にも注目したい。メインエリアは明るく勇ましい曲で、さあ進むぞ!という気分になる。一方で、サブエリアはメトロイドの鳴き声を思わせる不気味なサウンドが特徴的だ。

サブエリアのメトロイドを殲滅してメインエリアに戻ったときは達成感と安堵感がある。音楽によって緩急が付けられているのだ。これは、下へ下へ潜っていくゲームプレイも相まって没入感が素晴らしい。


まとめ

 惑星の深部でクイーンメトロイドと壮絶な一騎打ちをしたあと、生まれたばかりのベビーメトロイドと共に地上を目指す。ジャンプして、またジャンプして、目の前に銀河の星々が広がったとき、強烈な感動があった

地下のジメッとした空気は置いてきた。地上で吹く風の心地よさに目を細めたような気さえする。白黒の小さな画面なのに。自分の宇宙船に乗り込むときには誇らしさで胸がいっぱいになった。


 据置機から携帯機へパワーダウンするも、中身は正統進化の堂々たる続編。白黒の小さな画面に、おどろきをもたらす仕掛けを随所に仕込み、演出を柱の一つに据え始める。

スーパーメトロイドの息づかいを感じた

あとサムスリターンズ、神リメイクすぎる


次は『メトロイド フュージョン』を遊ぶ。


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