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『空戦ファイア』制作記録

 『空戦ファイア』というゲームを作った。

ツイートに書いてあるとおり、第27回Unity1週間ゲームジャム お題「1ボタン」参加作品として公開した。というわけで、作ってた際に考えてたこととか、完成させてみてどうかとか、いろいろ書いて自己満足に浸ろうと思う。自分用の記事。


なんで作った?

 さっきも書いたとおり、Unity1週間ゲームジャム(通称 unity1week)に参加するために作った。じゃあなんで参加したのか。実を言うと、「unity1weekにはもう二度と参加しない」という発言を過去に二度している。今回でめでたく二度目のウソになった。

unity1week に参加しなくなった理由は単純で「1位が取りたいけど取れないから」だった。unity1week は最終的に上位50位までランキングが公開される。そのランキングで1位になりたかったんだけど、できないのでふて腐れて参加するのをやめた。これが一回目。

しばらくして機嫌が直ってきたのでなんとなく復帰するも、「unity1week全体の評価と僕の評価が合わないな…」とふて腐れて参加するのをやめた。これが二回目。

ここでの評価は、自分のゲームに対する評価もそうだし、他の人が投稿したゲームに対する評価も同じ。ようは「えーこれが1位になるのぉ?」とか「いや、これもっと上位でしょ」みたいなことが起きていた。1位や上位を取ってる人ごめんなさい。ただ、これはよく考えれば当たり前のハナシだ。僕はゲームマニア…批評家気取り…うーん、なんか適した表現が思いつかないんだけど、とにかく、まぁまぁゲームを遊んできたので、遊ぶゲームに対して「あーハイハイこういうゲームね」とかそういう態度を取りがちになってきている。そういう人間の評価基準∥価値観というのは世間とズレがち。世間って言うと大袈裟かもしれないけど。とにかく、unity1week がそういう“拗らせゲームオタク”みたいな僕と評価がズレるのはむしろ歓迎すべきことだった。初心者歓迎イベントだし。そんなわけで鼻息を荒くして参加するのはさすがにもう終わりにしよう。緩やかに見守っていこう。と、二回目よりはポジティブに別れを受け入れて去った。(ちなみに自分のゲームに対する評価と周りの評価がズレるのは当然。自分が楽しめるように作ったら自分のゲームは面白く感じるに決まっている)

とかなんとかお気持ち長文を書いたが、ぶっちゃけ自分が1位を取れていたら「ガハハ!unity1week最高!ガハハ!」とか言って参加し続けていたのは明白である。逆に考えれば、そもそも評価システム∥ランキング発表自体が無ければ、気楽に参加し続けていた可能性があるわけだ。他者評価は祝福と災いをもたらす。メンタルよわよわな僕は他者評価との向き合いかたが下手くそで、unity1week に参加するたびに脳を灼かれてしまっていた。「unity1weekは好きだけどランキングで評価が出ちゃうのしんどい……」実のところ、そのような声は各所で細々と挙がっていた。そしてその結果……

unity1week 主催者、ないちさん…動くッ……

じゃあこれで参加することにしたのかというと、実はそんなことはまったくなかった。単純に参加意欲が湧いてなかったので「ほぉーん」ぐらいの態度で unity1week 開催を見ていた。お題「1ボタン」かぁ。今までのお題って動詞系が多かったし、攻めてるなぁ。みんながんばえ~。みたいな状態。一応、ネタはいくつか考えてみてはいたが、面白いモノが浮かばなかったのでそのまま不参加かなーと思っていた

と横目でみんなが制作しているのを眺めてたら「参加しないの?」「ランキング非参加できるならunity1week出るって言ってたよね?」と何名かに軽く詰められる。言ってたっけそんなこと。言ってたな。バッチリ覚えてるわ。

じゃあ、作るかぁ。七回目の参加だ。

こんな風に書くと主体性ゼロというか、人のせいにしてるみたいだからフォローしておくと、むしろ背中を押してもらってありがたかった。少なくとも押してもらってないと参加してない。

制作の流れ

 ここまで長かったな。こっから実際の制作振り返り。簡単な制作の流れを見てみる。

・水曜日の夜から開始:基礎挙動実装
・木曜日:遊び検証
・金曜日:遊び検証
・土曜日:絵
・日曜日:音

こんな感じだった。木曜日の時点で「これおもろくならねえな…」と見えてきてモチベーションが下がりつつもなんとか気合いを入れ直して完成させた。ゲームジャムの締め切りがもたらすパワーには毎回感心してしまう。unity1week だと最後の土日だけで圧倒的な進捗が出がち。このときに生じる力で人類のエネルギー問題解決できるんじゃないか。

遊び

 ここからは遊びの振り返り。ようはゲームシステムをどう考えて作っていったかみたいなことを振り返る。

あらためて言うと、今回の unity1week はお題「1ボタン」。いい機会なので、まずはワンボタンゲームについて考えることにしよう。

ワンボタンゲーム考察

 大変分かりやすい桜井政博さんの動画。ワンボタンゲームは大きく分けて四種類に分類できる。すなわち、連射∥タイミング∥早押し∥切り替え。明快明解!

長押しがゲーム性に貢献しにくいとのことだが、これは人によって異論がありそう。長押しは始める or やめるのタイミングでしかないので、タイミング分類になる、ということだと僕は解釈したが……それをやるならもう連射∥タイミングの二分類でいい気がする。早押しもタイミングだし、切り替えもタイミングと言えるハズ。

一歩視点を深くして、今度はABAさんの記事を見てみる。ABAさんがどういう人か軽く説明すると、一年でワンボタンゲームを111個作るような人だ。怖い

ワンボタンでもいろいろできる。とはいえ、やはり先ほどの桜井さんの分類から外れるゲームは見当たらなさそうだ。

ワンボタンゲームは大きく分けると四種類。連射∥タイミング∥早押し∥切り替え。連射は桜井さんも言っているとおり、個人差が大きくて覆せないし、疲れる。そして早押しと切り替えは実質タイミングになっている。

というわけで、ワンボタンゲームは【ボタンを押す or 離すタイミングを図るゲーム】しか作れない。ちょっと極端な言いかただけど。

問題なのは、ゲーム進行をプレイヤーがコントロールしにくい点だ。多くの場合、自動で進行するなにかに合わせてボタンを押す形になる。どうしても受動的なゲームになってしまう。これが個人的に感じているワンボタンゲームの壁だ。この壁をどうにかして突破できないか。ワンボタンゲームを構想するときに毎回挑戦するが、弾かれる。ちくしょう。

既にある良作と違う方向性を考える

 受動的なゲームになるのはもう仕方ない。諦める。次は既にある良作とは違う方向性を考える。同じことをやってもしょうがないからね。

好きなワンボタンゲームはいくつかある。

『qomp』
『グミ・シューター』
『Rinne』
『GIGAFALL』
『コンパスコンビ』
『密林ターザン』
『ジャンプボーイ』

うん。好きなゲーム並べただけだな。この辺りのゲームと同じ方向性を目指してもしょうがない。しかしあらためてこれを見るとやっぱりもう作れるゲームが出てこないなぁ。あと、タイミングを図るゲームであればリズムに乗る系が強い。けど『リズム天国』あるからなぁ。リズム天国やったことないけど。

ようやく本題

 さっきから前置きを一生やってるな。

お題「1ボタン」と聞いたときに少し考えていたネタで作ることにし始める。参加を決めたのが水曜の夜で、時間的に余裕無かったからね。

・羽ばたき+ショット
・落ちたら死ぬ
・通常ショットで敵を画面下部に溜める
・溜めショットで溜めた敵を一掃!

こういうネタ。これだけ。さっき並べた好きなワンボタンゲームと被っていないところは、自分で敵を溜めて一掃するところ。ワンボタンゲームの多くは瞬間的な判断を何度もするゲームになりがち。なので、一定の下ごしらえとそれを解放する気持ちよさ、それらの“流れ”を作ってみたかった。といってもそこまで強く意識していたわけではないけど。あとから考えると、無意識に領域が被らないようにしてたのかもなーって感じ。

溜めショットは大きく落下した状態じゃないと撃てないようにして、落下で死ぬ直前に溜めショットをぶっぱなす!というスリルと快感を隣り合わせにしたいなと思った。ここがキモかな?と考えた。最初は一定時間落下すると自動でチャージが溜まるようにしていたが、操作感覚との乖離が気持ち悪すぎたので結局長押しに変えた。

・撃墜の仕様
 最初は敵にライフがあって、弱い敵は通常ショットで、強い敵は溜めショットで倒す。という仕組みにしていたが、プレイヤーが落下したら死ぬ仕組みなんだったら、敵も落ちたら死ぬ仕組みにして統一したほうがいいな。と思ってそうした。

・高度補正
 敵の高度に応じてリアクションの度合いを変える仕組みを思いついて導入したけど、これは結構よかったんじゃないかと思う。敵をイイ感じに下に溜められるようになった。

モグラ叩きのイタチごっこ

 いつもどおりなにも考えずにゲームを作っていると、問題がポコポコ湧いてくる。それに対して逐一対処療法的なアプローチでモグラ叩きのように対応する。これを何度も繰り返す。イタチごっこ。モグラ叩きのイタチごっこ。言いたいだけ。本当は実装前にちゃんと考えるべきなんだけど、アホなので考えても見えない場合が多い。悲しい現実。締め切りも迫っているので手ぇ動かしたほうが速い。

・敵の減速
 敵を下に溜めたい。なら通常ショットを当てると敵の速度が遅くなる、という仕組みにするといいんじゃないか?と思いついて実装する。するとどうなるか。速度の落ちた敵集団が一度プレイヤーの下まで到達すると、一生下に降りられない地獄みたいな待ち時間が発生する。これは一定時間経過で敵の速度が元に戻る仕組みを追加して問題軽減を図った。

・溜める動機
 いつでも溜めショットができるようにした結果、ひたすら溜めショット連発してればよくなってしまった。敵を下に溜める必要が無い。これは敵にショットを当てるとゲージが溜まっていき、MAX になったら溜めショット可能にして解決を図った。撃てるタイミング=敵が溜まってる。あと、撃つ機会が限られてるので、なるべく溜まったところにぶっぱなしたい。この仕様変更で、UIなど含めたゲージが溜まる仕組み、溜めショットできるかどうかの判定、などなど工数が増える。溜めショット機会が限られるなら、撃ちやすくするために溜め時間減らす調整もしないと。

スコアシステムとコンボを導入して敵を自発的に溜めてもらう方法もあったが、敵を規定数倒してクリアにしたかったので悩みつつも不採用にした。規定スコアを稼いだらクリア、みたいなのは納得感が無いんだよな……エンドレスゲームにしちゃえばいいかもしれないが、このゲームシステムで最終的にゲームオーバーになってもらうとなると理不尽感が強くなりそうだし。一定時間で終了系もアリっちゃアリだけど……クリアを作りたいんや!と駄々捏ねて終了。

初志貫徹してもその初志がよいものとは限らない

 ガチャガチャ弄って最初にやりたかった「通常ショットで敵を下に溜める→溜めショットで一掃!」が成立した。

……これを繰り返すだけなの、おもんないな。うん。やりたかったことを実現できても、それが面白くない。いつものゲーム作り。もう何度も体験しているので、そこまで落ち込まない。成長……か?いいことなのかこれは?

・悪あがき
 その後、ショットが効かない岩石を避ける!とかやろうとするも、下に溜める→一掃の遊びと上手く接合しなくて諦める。並列してくっつけられる遊びが見つからねえ!結局【撃っちゃダメなアイテムを取るとパワーアップ】を導入して少しだけ悪あがき。ただ、アイテムの見た目を「ドラゴンが取ったらパワーアップするアイテム……?ドラゴンフルーツしかねえだろ!!」とかその場のノリで1秒で決めた。このせいで見た目が危なそうになったのでこれを取るプレイヤー誇張抜きで0人だと思う。

・クリア条件
 【100匹撃墜できたらクリア】も適当に数を設定してる。「とりあえずキリのいい100にしとくか」やりがち。ぶっちゃけ多いと思うけど時間無かったので放り投げた。

・敵の種類
 結局バリエーション出す方法が思いつかなくて速く&デカくしただけで終わった。通常ショットで落とせる敵とか居たけど、溜める→一掃がぼやけるから消した。取り回し悪すぎるだろこの遊び。

・難易度と説明不足
 自分が楽しめるようにしてるので難易度も相当ムズくなってる。しかも必要な説明を一切していない。ただの不親切。この記事を書いてる途中でクリア報告を見かけてびっくりしてる。誘導してないから「THANK YOU FOR PLAYING!!」まで見てもらえてなさそう。

なにがダメだったのか

 初志が間違っていたわけだが、じゃあなにをどう間違えていたのかちょっとだけメモっておこう。遊びを作る猶予が三日しかなかったから間に合わせるために初志貫徹した……が、それで良いゲームが作れなかったのは言い訳でしかない。……良いゲームを作れないのはいつもどおりだが。このゲームのなにがイケてないのか。先も書いたとおり、敵を溜める→一掃、これをやるだけだとおもろくない。飽きる。すぐ飽きる。だから可能であれば、なにか他に楽しいことを用意するのが筋だろう。それができれば今回こんなゲームを作っていないわけだが。

・敵を溜める→一掃
・一定数撃墜でクリア
この二点にこだわりすぎた。もちろんどちらもやりたいことだったので、これを否定するのは本末転倒だ。しかし通したところで破滅しかない道理が存在するのをいい加減認めなくてはならないのかもしれない。自分がやりたいことではなく、ゲームがなりたい姿にするのを優先すべきなのかも。

さらに根本的な部分を言うと、常に死亡リスクと隣り合わせなのはストレスフルだ。となると、プレイの流れの中でそのリスクから解放される瞬間を作るのがよかったのかもしれない。そもそも100体撃墜でクリアはやはり多すぎた。めんどくさいゲームを公開するのは自分の中で許容できる行為だが、それを unity1week という場でやるのは自重したほうがよかった。前回参加のときに抱いた思いをもう忘れている。unity1week は比較的ライトなゲームが歓迎される傾向にあるため、ちょっとぐらいヘビーなゲームを叩き付けてもいいだろう──前回も今回もそういう気持ちが少しあったが、これはやはりただの迷惑行為のように思えてくる。いい加減に学習するべきだ。

(あくまで自分がそういうゲームを公開することへの感情であり、他の参加者様がどんなゲームを投稿しようが自由だと考えていることは念のため表明しておきます)(あ、でも著作権とかは守りましょうね)

演出

 土曜日と日曜日で演出をどうにかする。

Q.ゲームが面白くないとき、どうすればいい?
A.演出を盛って誤魔化せ。

カメラ揺らしまくって誤魔化した。

 プレイヤーは【飛ぶ&なんか撃つ】ってことでドラゴンにしてみた。じゃあ敵は鳥にしよう。我が物顔で空を飛んでる鳥に、誰が空の支配者か思い知らせてやる!というフレーバーに。欲を言えば鳥はもっと【悪そう&強そう】な見た目にしたかった。ハゲタカとか、猛禽類系。画力ゼロなので無理だった。あと配色が分からなすぎていまいちキマらなかった。

・多重スクロール
 かねてより、ていうかもうずーっとやりたいと思っていてやっていなかった多重スクロールをやった。今回のゲームシステムなら簡単に使える!とウキウキで作った。これができただけで今回のプロジェクトは大満足。画力ゼロなので雲っぽくないけど、実装できたので嬉しかった。今回は画面一枚ちょっとぐらいの幅の雲を描いたけど、それだと繰り返しパターンが露骨に現れすぎるという学びを得た。今回はカメラが動かない初級編だったので、次はカメラが一方向に動く中級編、その次にカメラが左右に自由に動く上級編と挑めたらいいね。いつになるか分からんけど。

あと配色が分からなすぎて太陽が昇ってる時間帯のつもりだったけど、なんか夜っぽく見えちゃう。

 時間も押してるし、いつもどおり適当に。

今回は溜めショットできるようになったときの通知音がよかった。理想を言えばエフェクトも出すのがいいんだけど、音で分かるようにできたのはよかった。

これやりたかったな

 時間があればここもうちょい凝りたかったなリスト。

・敵の配色もうちょいなんとかならんか
・ショットをもっと炎っぽくする
・プレイヤーのアニメもっと充実させる
・鳥が高度下がると焦ってる感じ出す(汗のエフェクトとか)
・ドラゴンフルーツ入手時にエフェクトをブワってさせる
・溜めショット周りのエフェクトとかもうちょい付ける
・音楽にベース付ける(元がアレなんで大して変わらんだろうけど)

なんか無限に出てきそうだな。

結び

 そんなわけで間に合わせた。タイトル考えてなかったので1秒で決めた。適当すぎる。

やっぱこう、ゲームジャムの締め切り間近のときの、「うおおおおおああああああ間に合ええええええっ!だあああああらあああああ!!」みたいな脳を溶かす勢いでぐしゃぐしゃになる感じと、そこから解放されてひと息ついてるときのホッとした感じ、いいよね。これたぶんゲームジャム中毒者あるある。

五回振りの参加だったけど、よかったです。多重スクロールできたし。ゲーム自体はアレだけど。

unity1week 主催者のないちさんに感謝!いつもお世話になっております。誇張抜きで、ないちさんに unityroom を運営していただいていなければゲーム制作こんなに続けられてない。


おわり


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