記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

『Mother』プレイ感想

 Mother、遊びました。ニンテンドースイッチのオンライン加入特典の、ファミコン遊べるアレで。いやースゴいな。スゴかったよ。Mother……


※ストーリー / ゲーム内容めちゃくちゃネタバレしてるよ
※遊んだことない人は読んじゃダメだよ


スマート チュートリアル

 まず電気スタンドがいきなり襲い掛かってくるっていう導入からして面白すぎる。いわゆるポルターガイスト現象ってヤツ?妹の部屋で暴れてる人形と死闘を繰り広げる。どうにか倒して現象がおさまったら、人形に内蔵されてるオルゴールからメロディーが聞こえてくる。メロディーを覚える。「メロディーってなんのこっちゃ?」と思いつつ進めていく。

お父さんから電話が来て、いざ世界を救う旅へ(世界の危機なの?)。地下室の鍵をどこにやったか忘れちゃったらしい。

家の庭に居るペットの犬に話しかけると、「オレを“チェック”してみろ」と言う。チェックすると犬の首輪に地下室の鍵がぶらさげてある!グッズから鍵を取り出して地下室へ。プレゼントの箱を開けて、

:曾祖父の日記
・ボロのバット(装備するとオフェンスが上がる!)
・地図

を手に入れる。こ~の鮮やかなチュートリアルよ。

・戦闘の基本
・メロディーの存在
・とにかく人に話しかけろ
・チェックの使い方
・グッズの使い方
・電話でお父さんと話せる
・妹にグッズを預けられる
・お母さんに話しかけると回復
・装備
・地図

こういうの全部開始数分で学べちゃうわけ。SMAARRRRT!


プリミティブ ファン

 家から出ると道中でおにいさんとかおじさんとかカラス / 野良犬なんかと戦う。はい面白い。しかもおにいさんが強くて街まで辿り着けねえのよこれが。でも戦ううちにレベルアップしていって強くなって、勝てるようになってくる。序盤は特にこのプリミティブな【数値が上がる楽しさ】を存分に味わえる。ヤバくなったら家に戻って好きな食べ物食べて回復して、徐々にレベル上げ。ライフアップαを覚えたらついに回復ができるようになって、一気に視界が開ける。

町に着いた。ていうか本当に“町”なんだよ。シームレスマップ!広い!

中盤で使えるようになる電車での移動も完全にシームレス!線路で移動するところを徒歩で移動するのもできちゃう。お金を払って高速移動できるありがたみを実感するよね。リアルに作られているがゆえだ。

町の人から話を聞いているとどうやら主な話題は二つ。

「墓場からゾンビが出て来てる」
「動物が狂って暴れてる」

「ふーん」って態度で聞いてたら町中に居たゾンビに殺された!そう、他人事じゃないんだ。町がおかしくなってるって実感する。

デパートでキャッシュカード使ってお父さんが振り込んでくれたお金を下ろすとワクワクしてくる。120ドルもするスリングショットを買って気分はヒーローさ。町長さんから頼まれて、女の子を墓場から救い出せば本当の英雄になれる。

初めて家を出発したときとは比べものにならないほど強くなって、周辺に敵は居ない。町長さんについでとばかりに頼まれた動物園の問題だって楽勝さ!な~んて調子に乗ってたら動物園の凶暴な動物たち──ワニやゴリラ、タイガー / 巨象の恐ろしさを叩き込まれる。そして元凶、スターマンのむすことの闘い!

強くなったと思ったら、また自分よりも強いヤツが出てきて、それをさらに乗り越えていく。RPGの醍醐味の一つだ。「120ドルのスリングショットでこんなに強くなるなら、500ドルのふつうのバットならどんだけ強くなれるんだ!?」とかね。

町で人に話を聞いたら自然と浮かび上がってくる「自分のなすべきこと」。パンの隠れた使い道とかも気付ける。いろいろ探索しているうちにメロディーも集まってきて、「どうやらこれは重要なモノらしいぞ」となんとなく分かってくる。

・二発で倒してた敵が一発で倒せるようになる
・情報を聞いて、咀嚼 / 解釈して行動の指針を立てる
 →新しい発見!

さっきも書いたけど、序盤は特にこういうプリミティブなRPGの面白さがしっかりと確立されていた。他では見ない独特な世界観も相まって、むちゃくちゃ面白い。安全だと思ってた町でいきなりゾンビに襲われるのすげえびっくりしたもん。


アイテム リミット

 だんだん持ち物が8枠しかないのがツラくなってくる。お金を引き出すために必要なキャッシュカード。なんか重要そうな曾祖父の日記。地図。これだけでもう残り5つよ?回復アイテムとか、ダンジョンで手に入るアイテムとか考慮すると余裕が全然無い。

ほんで「曾祖父の日記、まだ必要なさそうだし預けとくか~」って預けた直後に必要になったわ。こうなるともう重要そうなアイテムはずっと持っておこうとしてますます持ち物欄が圧迫されちゃう。

どうにかマジカントを抜けて──出口が分からずめちゃくちゃさまよった──サンクスビギングに辿り着いた。そこでメガネの友達ができたときに思ったよね。「アイテム枠8つ増える!よっしゃ!」って。

実はこの認識は正しく、メガネの友達はあまりにも弱いので、戦闘で役に立たなかったんだよな。だから荷物持ちだった。

 マジカント出口に居る忘れられた男とか、学校の用務員さんとか、いい意味でめんどくさい会話があるのも面白いよね。


イベント シーン

 ファミコンのゲームなのに……という表現は適切か分からないけど、しっかりと作られたイベントシーンが随所にある。もちろん表現力の面では、昨今のゲームとは比べものにならないくらい貧弱だ。

でも、友達と理科室で変なことして爆発起こしちゃったり、ライブハウスでステージに上がってノリノリで歌ったり、女の子と二人でダンスして愛を囁き合ったりするのが、全力で堂々と表現されてるんだよ。やべえぜ。


クレイジー バトルデザイン

 メガネの友達が増えた辺りで、バトルデザインがおかしくなってくる。デスペナルティ、重すぎねえか?一人のときは死んだらそれでゲームオーバーなので気付かなかった。

・死んでるとゲームが進行しない箇所がある
・当然、死んでると経験値が入らない
・病院の受付じゃないと復活できない
 →受付、なのが厄介でハロウィーンとか病院に受付が居ない
・もちろん、復活にはドルを支払う必要がある

メガネが死んで「まあええか荷物持ちだしガハハ」と進めてたら、ダンカン北工場のロケットを前にどうにもできず棒立ちですよ。で、そこから病院まで徒歩で戻る。足パンパンになるわ!!(パンの活用はつい忘れがち&ちゃんと先を知らないと計画的に運用するのめちゃムズい)

スノーマンの女の子がパーティに加わっても、根本的なバランスは当然変わらない。ていうかレベル1で加入するから死にやすいことこのうえない。きつぅ~。敵の攻撃力も強いヤツは本当に強くて、攻撃が集中したらメガネや女の子は1ターンで瞬殺されてもおかしくなかったりする。マジカントに売ってるかなり強いと思われる装備──まふうじのコインとめがみのうでわ装備してもこれだもの。

そんなわけで、メガネと女の子は戦闘中ほとんどガードして主人公が一人で殴り殺すのが最後まで続いた。殴り殺せない敵が来たら逃げる / じげんスリップで。終盤の敵はもう強い敵しか出てこないのでひたすら逃げてた。

しかもこのゲーム、エンカウントまでの最低歩数保証とかないから、一歩あるいて戦闘→一歩あるいて戦闘がザラにある。ひえ~!

 ただ、この一見してキツすぎるバトルデザインも、なにも考えずにやっているわけではなさそうなんだよな。ということがだんだん分かってくる。


プレジャー オブ フリー フロム ストレス

 今はもうあんまり流行らないと言われている形式。ストレスを与えてから、そこから解放される快感を楽しませるスタイル。Motherは中盤から、いや最初からずっと?この方式を貫いているんだよ。

「徒歩の移動しんどいな~」からの
「電車はえええええ!」

「でも駅まで行くのも大変だわ~!」からの
「テレポーテーションきたああああ!」

「敵強くなってきてきちぃ~~!」からの
「3人目の友達つええええええ!」

「3人目の友達居なくなった;;」からの
「イヴつえええええええ!」

全部これ。

後半の3人目の友達居なくなった辺りでさすがにツラくなってきて、攻略サイト見ちゃったけど。もう少しだけ根気があれば、イヴに会えてたかも。サボテンにも気付いてなかったんだけど、ギター弾きの男がヒントくれるので最終的には辿り着けていたと思う。でもキツかったので攻略サイトと巻き戻し機能を少しだけ使っちゃった。

そう考えると設計がやっぱりしっかりしてる。

強すぎる敵のデザインは、侵略される側の感覚を的確に表現している。3人目の友達やイヴみたいに、力があってもより強いヤツにやられたり、相討ちになっちゃうんだ。ラスボスの倒し方も含めて、腕力だけじゃあやっていけない感じ。


メロディー オブ マザー

 全部のメロディーを集めたら、伏線回収というか、衝撃の真実というか、まあいろいろ明かされて一気にそのままラスボス戦へと移行できる。「さあ決着をつけにラストダンジョンへ行こう!」とかじゃないのよ。

お話の最初と最後が、ゲームの最後で一気につながる。この加速感と収束感が凄まじい。今までの冒険のすべてが、圧縮されて意味を持つ。ホーリーローリーマウンテンの頂上に、山を押しつぶしてしまうんじゃないかと思うくらい大きなマザーシップが眼前にあらわれる。ちっぽけで虫けらのような力しか持たないぼくらにできるのは、子守歌を歌うことだけ。

あの子守歌のメロディーが色んな場所に散らばっていたのは、クイーンマリーの「思い出そう」とする意識によるものか、それとも地球に干渉していたギーグの潜在意識によるものなのだろうか。

ゲーム中、何度も家に帰ってお母さんに好きな料理を作ってもらう。最後の敵に立ち向かうための手段が、母親の子守歌。宇宙人の侵略から、“母”なる大地──地球を守る。終わってみれば、Motherというタイトルが全体を包み込んでいるような気がしたよ。

Mother、スゴかったな……



エンド


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?