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『METROID Other M』プレイ感想

 『メトロイド ドレッド』に備えて2Dメトロイドを遊んでおこうシリーズ第五弾。最後は『METROID Other M』を遊んだ。

2Dメトロイドを遊んでおこうシリーズと書いたが、METROID Other M(以下、アザーエムと呼んでしまう)は3D的な表現・遊びが入っているので、2Dメトロイドとは言いがたい。アザーエムの内容についてまったく知らない状態で始めたので「2Dじゃねえじゃん!」となった。

まあでも、せっかくなので2Dメトロイドを遊んでおこうシリーズとして感想を書く。

プレイ環境はWiiUのバーチャルコンソール、WiiUゲームパッドで遊んだ。アイテム回収率は63%だった(いつもだいたいこのくらいになる)

2Dメトロイドはだいたいプレイ済みなので、少しアザーエムと他作品を比較してしまう。


※以下、ネタバレ注意※



「映画じゃん」って10回くらい言った

 ここまでメトロイドシリーズは2Dの、主にドット絵で構成された画面を体験してきたので、据置機のWiiになって映像がリッチになっていてド肝を抜かれた。プレイ中「映画じゃん」って10回くらい言ってたと思う。

これは単に映像が綺麗になったからという理由だけで言っているのではなく、ゲームプレイ──遊びの部分も映画的表現のために存在していると感じたからだ。

ゲームプレイが映画的になっている根拠の最たる例が、ゲーム中冒頭で、サムスは装備の使用を制限されるところだ。これによって、こういうことが可能になる。

サムスが窮地に陥る
「サムス、○○を使え!」
使用許可された装備で無事に危機を乗り越える

※もちろん、【同一主人公ゲームシリーズ続編あるある】の【なんで最初から最強装備使わない・なってないんだよ問題】への対応でもある

ゲームプレイによってシーンが展開するのではなく、シーンの展開に合わせたゲームプレイがある。用意された筋書きをなぞるようなものだ。これは当然、よい・わるいではなく、方向性の違いだ。アザーエムは映画的ゲームであることを貫き通している

圧巻なのがラストシーンだ。シナリオの黒幕とも言える存在がついに本領を発揮し、多数のクリーチャーを操り、脅威を示す。しかしここでのゲームプレイにおける“正解”は、【奥に立っている黒幕を注視する】だ。たったこれだけでゲームが進行し、ムービーが始まり、黒幕は死に、スタッフロールが流れ出す。

こんなのはふつうのアクションゲームだったらありえない。操っているクリーチャーを倒すと、操っていた黒幕とのバトルが始まり、そのあと黒幕が第二形態になったりして、苛烈な戦いの末に銀河に平和がおとずれたりするだろふつう。しないんだよなあ…スゴい!

そしてスタッフロールが終わったあと、思い出したかのようにゲームプレイにおけるラストが始まる。さっき言ったようなふつうのアクションゲームみたいな激しい戦闘が始まって、ちゃんとラスボスも出てきて──シナリオ的にはいきなり出てきたこいつなんなの?って感じだが、最後はメトロイドシリーズではお馴染みの脱出シーケンスで〆だ。

僕はいわゆる“映画的なゲーム”を一切遊んだことがなかったので、この、【映画パートとゲームパートの大胆な切り分け】にはおどろかされた。いやこんな構造があっていいのかよ

いくつかのRPGで、ゲーム的ラスボスのあとにシナリオ的ラスボス(ここはボタン押せれば進行するような難易度)、というのは体験したことがあるが、逆は無かった。スタッフロールのあとにがっつりゲーム的ラストをやらせるゲームとかあるぅ?

 よしあしについてはなんとも言いがたい。でも、映画パートの終わりは確かにそれが自然なシナリオの流れだと感じたし、納得感のあるラストだった。ゲームパートでは、最後の脱出シーケンスでエネルギー残り3・爆発まで残り1分という状況で一発クリアできて、ものスゴく手に汗握った。一粒で二度美味しい、と素直に捉えればいいのだろうか。

いやでもホントびっくりしたわ。


お話についての感想

 まあ面白かった。これまでのメトロイド作品と比べると登場人物がはるかに多く、それゆえに話の展開も複雑になっていて、やはり「映画じゃん」と言った。

変化していく状況や登場人物たちとの関係から、シリーズではこれまで描写されていなかったサムスの内面を深く掘り下げている。孤独・寡黙でプロフェッショナルなフリーのバウンティーハンターというイメージとはまた別の新たな一面を見せることで、サムス・アランがより魅力的なキャラクターになっていると思う

となんやかんや言ったが、個人的には期待していたのとはちょっと違う。なんとなく、サムス以外のキャラクターがみんな魅力的なので、シナリオ全体を見たときにサムスがあまり活躍していないような印象を受けた。

端的に言うと、僕はもっとカッコいいサムスが見たかった

いやまあ、「それは今までのシリーズでさんざん見てきたでしょ」ってことだろうけど。実際、アザーエムはメトロイドシリーズファン向けのタイトルだと思う。メトロイドシリーズを遊んだことのない人がこのゲームを遊ぶと、「マザー?リドリー?誰やねん」ってなるし、「サムスがクイーンメトロイドの腹の中に入って自殺するんですけどどうしたらいいですか」ってなると思う。


探索要素薄めのメトロイド

 ゲームプレイへの感想を書こう。アザーエムは探索要素が薄い印象だった。まず、パワーアップは既にすべて手に入れており、シーン展開に合わせて使用が許可されるようになっている。そのため、プレイヤー自身の力で新しい能力を獲得した感覚はまったく無い

となると、残されたパワーアップアイテムはエネルギータンクとミサイルタンク、あと今作特有のチャージ時間が短くなるアイテムもある。まずエネルギータンク、これはスゴく嬉しい。アザーエムは戦闘に力を入れていて、敵が強いのでエネルギーアップの嬉しさはシリーズでも随一だろう

エネルギーパーツという4つ集めるとエネルギータンクになる──ようは『ゼルダ』でいうところの【ハートのかけら】がある。しかしこれは嬉しさ4分割……よりももう少し薄味で、4つ目集まるまではなにも感じないレベル。ちょっと微妙。

次にミサイル。これはあんまり嬉しくない。というのも、ミサイルはそもそも使用機会がやや少なく(というか気軽に撃ちにくいシステム)、【コンセントレーション】という新アクションによって、いつでもミサイルを満タンに補充できてしまうからだ。最後、チャージ時間が短くなるヤツ。これは時間という体感しづらい要素なため、強化の実感が薄い…

結果的に、探索してパワーアップしていく楽しさはシリーズ最低になっていると言える

 また、シナリオに沿ったゲームプレイが展開されるため、ほとんど愚直な一本道のように感じた。一応、隠された道を見つける体験が皆無なわけではない。が、非常に少なかった印象だ。また、アザーエムのアイテム配置の特徴として、今はまだ取れないアイテムが多い気がした。かなり【焦らし】が多い印象だった


また、ゲームの序盤で【引き返すとイベント進行する】をいくつか体験したせいで、中盤以降に迷ったら戻ってしまい、時間を無駄にするイヤな迷いかたを何度かしてしまった。

さらに厄介だったのが、2Dメトロイドに慣れきった体でプレイしたので、「3Dゲームの探索、むっず…」となってしまった。アイテムの取りかたがわからないことわからないこと。マップも見かたがわからないYO!

そういう意味で言うと、一本道なのは個人的にはよかった(引き返すと進行するイベントのせいで結局迷わされたが)

ただ、モーフボール状態で狭いところを通るシーンのダイナミックな表現にはスゴくワクワクした。3Dメトロイドの『メトロイドプライムシリーズ』も遊びたくなった。


というわけで、【一本道+報酬が弱め+焦らし多め+3Dムズい】なため、【探索→パワーアップ!】の楽しさは他メトロイドと比べると皆無だ。ただ、【強くなった感】はシリーズでも随一になっていると思う。なぜなら、アザーエムは戦闘に力を入れたメトロイドだからだ。


戦闘要素濃いめのメトロイド

 アザーエムは戦闘要素に力を入れていて、そのための新アクションがいくつか用意されている。

【センスムーブ】がその筆頭で、敵が攻撃してくるタイミングで十字キーを入力すると、サムスがカッチョイイ動きで攻撃を避ける。攻撃を避ける際にビームをチャージしていると一瞬でチャージが完了する。つまり、攻撃を回避→すかさず強力なチャージビーム、とカッチョイイプレイができるのだ。

この【センスムーブ】は、判定が結構易しめで、適当に入力しても発動できる。そのため、チャージビームを結構な頻度で撃つことができる。そのせいか、アザーエムの敵の耐久力は高めな印象で、チャージビームを何回か当てても死なない

全体的に敵の耐久力が高いので、ビームがパワーアップしたときの【オレTUEEEEEEE!感】はシリーズでも随一だと思う。倒すのにあれほど苦戦していた敵をプラズマビームやスクリューアタックで紙屑のように瞬殺できたときの快感はすさまじい。


なお、アザーエムのミサイルはWiiリモコンを画面に向けてFPSモードに切り替えたのち、敵をロックオンしてからチャージして放つ。つまり、ミサイルも実質溜め攻撃のような大技になっている。他のメトロイド作品ならパパッとミサイルを撃って敵を簡単に黙らせることができたが、アザーエムはミサイルをなかなか撃たせてくれない。

そんなわけで、アザーエムは骨太な戦闘が楽しめるメトロイドになっている。


といっても、最初から楽しかったわけではない。初めのうちはミサイルを撃つ際のFPSモードへの切り替えに戸惑い・もたついたりしていた。

中盤からは操作に慣れてきて、【回避→チャージビーム→怯んだ敵にミサイルをぶちこむ】、というプレイができるようになってきた。これがめちゃくちゃ楽しい。メトロイドシリーズ特有の自分がサムスになるかのような感覚が今作でも味わえた。


 また、アザーエムは他にも新アクションとしてチャージしながらジャンプして敵の頭上を取ると強力な攻撃が発生したり、怯んだ敵にチャージしながら近づくとフィニッシュムーブが発生したりする。この辺りもバトルアクションの気持ち良さを存分に追求していて、サムズアップせざるをえない

ただ、上記二つのアクションは発生する瞬間がわかりづらい。ゲームUIの表示などが一切無いからだ。おそらく映画的演出追求の一環だろう。また、発動機会もまちまちで、例えば【ボス戦の最後は必ずこれらのアクションで締める】といった統一感は見られなかった。少し残念だ。ラスボス戦でやりたかったなあ……あったのかもしれないが見られず。


まとめ

 最後、なんか散発的に印象的なシーン書いて終わる。

 ライアルが死んでいたシーンで20分くらい詰まった。背後の緑色の液体を調べると先へ進むのだが、これにまっっっっったく気付けなかった。いや、ライアルの死体を調べるのかと思うし、周辺に緑色の草生えてるし、保護色とかでさ、わからんて、わからんて。

アダムかっけぇ。少女サムスかわいい。アンソニーいいヤツ。裏切り者予想立ててスマンかった。つーか全体的にムズい。めちゃくちゃゲームオーバーになった。回復&セーブシーケンス、カメラワークがめっちゃカッコいい。部隊長のおっちゃん、悪そうで好き。『メトロイド フュージョン』→アザーエムと経て、銀河連邦の株が大暴落してる。はよ組織改革してもろて……

アンソニーいいヤツ。


 アザーエムは、2Dメトロイドのような【探索→パワーアップ!】の楽しさを期待しているとガッカリしかねない。しかし、映画的表現をとことん追求した大胆なゲーム構成や、気持ち良くて歯応えのあるバトルアクションによって魅力的なゲームに仕上がっていると感じた。異論はないな?

でも「See you next mission」って言って終わらなかったのはよくないよ!

というわけで代わりに言う。


See you next mission!惑星ZDRでの任務が待ってるぞ!

惑星ZDR行ってきました。


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