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『探索ジャンパー』制作記録

 ゲームを作ったので恒例の振り返り記録。

■制作スケジュール
 ・1日目、基本的な挙動+マップ
 ・2日目、マップ
 ・3日目、細かな演出や音(完成)


制作に至った経緯的なアレ

 このゲームを公開する数日前、こんな記事を書いた。

『スーパーメトロイド』の探索についてアレコレ解釈した記事だ。こうやってゲームデザインについて考えていると、なんかモヤモヤしたものが溜まっていく。

「この解釈は本当に合っているのか?」
「ただ好き勝手に一方的な解釈を並べただけじゃないか?」
「実際に自分でゲームを作ってみて確かめてみるべきではないか?」

理論は実践してナンボなのではないか。そういう考えが頭の中を埋めていく。これを発散するには作るしかない。小さくてもいいからとにかく作る。

というわけで作り始めた。

まあ、正直なハナシ、ゲームデザインについて「ここがこうなってて、それに対してプレイヤーは多分こう感じるから面白いんじゃないか?」と考えるだけでも楽しい。そんなわけで、別に独りよがりな解釈を並べるだけでも構わなかったのだが、たまには考えたことを適用して作ってみるのもいいよね。


制作過程的なソレ

「スーパーメトロイドみたいなゲームを作るぞ!」

これを大して実力もない個人開発者が言っていたら、全力で止めたほうがいい。さいわい僕は実力はないが、自分の力量は把握しているつもりだったので、ハナからスーパーメトロイド級のゲームを作る気はなかった。

しかしそれでも夢想してしまうのがメトロイドの恐ろしいところ。

「こういう能力あると楽しそうだなあ」
「この能力とこの能力をシナジーにして……」

ついつい夢が広がってしまう。しかしここでなんとか正気を取り戻し、妄想をグッと押さえ込む。

最近の僕のゲーム開発はとにかく小さく作っている。なんかもう、ゲームを完成させた事実が欲しくてとにかく小さく作っているフシがある。そろそろ中規模(あくまで自分の中で)なゲームを作りたいところではある。


 小さく作ると決めて数秒後に【ジャンプ回数だけ増やしていく】手法を思い付く。よしこれだけで作ろ。短慮即決。いま作った四字熟語。

このジャンプ回数だけ増やしていくシステム、作り始めるとすぐにいくつか問題が露呈しはじめる。いつもどおり作る前に気付けない。

■問題
 ①到達可能高度が上がりすぎて要求されるマップがどんどん広くなる
 ②大量のジャンプ入力が面倒臭い

他にもあると思うけど、大雑把にこの二つの問題があった。

で、どうしたかと言うと。

■解決方法
 ①到達可能高度が上がりすぎて要求されるマップがどんどん広くなる
  →ジャンプ力を低くする
 ②大量のジャンプ入力が面倒臭い
  →諦める

(②、解決方法じゃねえ)

実はこれらの問題以外にも、入力具合でジャンプの高度が変化する仕様にしたため余計に大量のジャンプが面倒臭くなる問題なんかもあった。入力具合でジャンプの高度が変化する仕様を切るのもアリ、というかそうすべきだったのだが、ジャンプの手触りをよくするためには譲れなかった。この点にかんしては無駄なこだわりを持っている。

何回もジャンプして高度を稼ぐときにプレイヤーがスペースキーを押す指先に思わず力が入ってしまうような作りにしたかった。しかしそのせいで遊びにくさがハンパないことになった

そして作っている途中で思ったが、このプレイヤーの仕様ならマップはもっと極端な縦穴構造にしたほうが良かったと思う。あとジャンプじゃなくてホバー形式にする。スペースキー押してるあいだ能力値の続く限り上昇していく。(とはいえこれは結局、後述する0か1か方式にできてないのでやらんと思う)

と、いろいろ問題を抱えまくっていたのだが、無視して強行した。小さいゲームだし、構わん!


スーパーメトロイドの手法

 ようやく本題に入る。スーパーメトロイドの探索で使われている手法を自分のゲーム制作に使ってみた。

しかし、当たり前のハナシだがスーパーメトロイドが持っている各要素を前提とした手法も多い。つまり、サムスの挙動の細かな仕様やパラメータ、敵、画面サイズ、そういったものがないと使えないテクニックもある。

こんなもんちょっと考えなくてもすぐ分かることだが、僕は実際に作り始めて気付いた。まるっきりアホである。

今回のゲーム制作では、探索ゲームなら各要素を問わず使えそうな手法を取り上げてそれらをとりあえず使ってみた。

■使った手法
 ・(入り口から)遠いところを順路にする
 ・道中で【できなかった体験】をする
  →そのぶん報酬を多めに配る
 ・閉じ込める,一方通行
 ・チラ見せ
 ・隠し通路=順路

この辺りを使った。

実際に効果を発揮したかどうかはプレイヤーの感想を聞くしかない。聞くしかないのだけど、聞く手段や機会を用意していないので効果のほどはあまり分からない。(アレ?作った意味なくね?)

まあこの点に関しては今後感想をもらえるといいなーとしておく。


いただいた感想

 この記事執筆時点ではクリア者コメントが3名。獲得チップ数11枚で詰んだ人が1名。

やはり6枚以降の構成が甘い。6枚以降は2日目にこしらえたものでマップ構造が散漫としたものになってしまった。初期衝動の熱が薄れ、能力上昇に合わせたマップ構築が難しくなったがゆえに作りがヘタになった。逆に言えば6枚目まではちゃんと作れたと思うのでそこだけは評価できる。

スペースキーの押す長さでジャンプ力が変わる問題についてのツッコミがあった。ここは探索の根本にかかわる問題なのでやはり無視すべきではなかった(たりめーだ)

あからさまな問題を放置して公開すると、その問題への感想が多く引き出され、欲しい感想が引き出せなくなるという学びを得た


作ってみた感想

 で、今回小さい探索ゲームを作ってみて、まず第一に思ったのが、【能力上昇は0か1かにしたほうがいい】だ。今回作った『探索ジャンパー』では、ジャンプの回数によって行ける場所が変わる。

「ここは6回で届くけど、ここは8回じゃないと届かないからこのタイミングで7回になるようにして……」

こういう感じの開発工程、死ぬほど面倒臭かった。また、プレイヤーを閉じ込めたり、一方通行にする手法はこのせいで使いにくかった。よって、能力上昇は【その能力があるかないか?】の0か1か方式で構築したほうが圧倒的に作りやすい

今回作った隠し通路、壁があるかのように見せかけているが実際はハリボテで触ると消える『Celeste』式の隠し通路にした。しかしこれは探索ゲームとしてはやや物足りない印象だった。プレイヤーになにがしかの破壊アクションを用意して壊せる障壁を探り壊せるようにしたほうが多分楽しい。Celesteもダッシュでぶつかって壁を壊して見つける隠し通路があるし。おそらく壊して暴くことで【自分が見つけた感】が強くなる。

【できなかった体験】と報酬、これらは種類が多いほうが楽しいだろう。今回作ったゲームでは【届かなかった】しか作れないので物足りない。やはり探索ゲームは一定の物量が必要なように思う。

チラ見せと隠し通路=順路、これらは使いすぎると陳腐になっていく感じがスゴくした。これもまた当たり前のハナシだが、一辺倒にならないように複数の手法を組み合わせ、緩急を織り交ぜて出していく必要がある。


 やはりちょっとうわべを真似ただけでは再現には至れない。スーパーメトロイドのマップは、熟練のレベルデザイナーが数年かけて積み上げたハズなので、当然と言えば当然なのだが。

まあ、2日クオリティならこんなもんだろう。と自分をなぐさめる。

とりあえず探索アクションを作るならプレイヤーの能力を入念に検討してから本マップ制作にとりかかるのが良さそうだ。


おわり


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