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『PUZZMETRO』プレイ感想

 先日遊んだ『PUZZMETRO』の感想記事を書く。当然、ネタバレ満載でお送りするので、未プレイヤーは読んじゃダメよ。


 PUZZMETROは『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』で作られたゲームだ。『はじプロ』で作られたゲームは、はじプロを持っていないと遊べない。僕はPUZZMETROを遊ぶためだけに、はじプロを購入した

はじプロプレイヤーなら分かると思うが、レッスン1の鬼ごっこゲーム制作を終えると【フリープログラミング】の項目が解放されてインターネットで公開されたゲームが遊べるようになる。僕は鬼ごっこを完成させてすぐにPUZZMETROを遊び始めた。

ここまでで何が言いたいかというと、僕ははじプロの機能をほとんど理解していない。したがって、これから書くPUZZMETROの感想は「はじプロでここまで出来るなんてスゴい」的な色眼鏡をかけていない。純粋に「ゲームとしてどう面白かったか」を語るというわけだ。

(まあ、僕はニカイドウレンジ氏が作るゲームのファンなので、別の色眼鏡がかかってるんだけどね^^;)


探索×パズルの親和性

 PUZZMETROは【探索×パズル】を謳っているが、これら両ジャンルの親和性は高い。超ざっくりと両ジャンルの面白さを紹介すると、以下のようになる。

■パズル
 「これ、どうやってクリアするんだ?」
 「あ!こうすればいいのか!」

■探索(メトロイド)
 「あそこどうやって行くんだ?」
 「あ!この能力をこう使えば行けるのか!」

このように、両ジャンルの体験は似ている。親和性が高く、混ぜても違和感が生まれない。逆に、混ぜることで両ジャンルの良さをお互いに高め合っている。


ぶっちゃけ作者がだいたい言っちゃってるよね

 感想書くぞ!と息巻いていたものの、ぶっちゃけ作者のニカイドウレンジ氏がゲームデザインについてだいたい言っちゃってる。

はい。おっしゃるとおりです。最後まで飽きずにパクパク食べられました。餃子おいしい。

個人的に一番面白かったのは、能力が増えることで逆に【かけ算】をしない問題が盲点になるところ。能力2つあるけど、実は1つ使うだけでクリアできる問題が面白かった。つまりいろんなタレをつけて食べてきたけど、ふと気付くと何もつけない餃子が美味しくなっているようなそんな感じ。


好きなところを語る

 ゲームデザインはもう解説されているので、マップ設計や能力設計で「いいなー!」って思ったところを語る。

PUZZMETROのマップを超ざっくり見ると、【BOX GENERATOR】+基本移動能力で行ける箇所を「メインストリート」としつつ、【BLOCK BREAKER】や【WARP DOOR】で行ける「小部屋群」が各所に点在し、そこから「領域外」があり、【%#^&@ ?/:)#",@!!】で「真・領域外」へとつながる。

■超ざっくりした全体マップ
「メインストリート」→「小部屋群」→「領域外」→「真・領域外」

各4エリアについて、「いいなー!」と思ったところを書いていく。


 まず、「いいなー!」と思ったのが、メインストリートの構造。メインストリート、階段状になっているのがいい。階段状のなにがいいって、WARP DOORによる移動の高速化が起きるのがとってもイイ。これでマップが横に延びていたり、縦に長かったりしたらこうはいかない。

さらにこまかく語ると、BOX GENERATORは一段上に上がる能力で、BLOCK BREAKERは一個横に穴を空ける能力なのだが、WARP DOORはこれら二つの能力をまとめたモノとみなすことができる。BOX GENERATORで上に登っていたところはWARP DOORでササッと登れるようになるし、BLOCK BREAKERで壊していたところはWARP DOORでスキップできるわけだ。この便利になった感はまさしく『スーパーメトロイド』的だ


 次、「小部屋群」について。便宜上、小部屋群と称したが実際には「小部屋1」と「小部屋2」が存在するような感じだ。そしてそれがそのまま「いいなー!」と思ったポイントだ。

つまりどういうことかと言うと、まず最初にBLOCK BREAKER入手時点では小部屋1までしか行けない。ここで壁の向こうにリンゴをちらつかせつつ、小部屋2を見せてくるわけだ。そしてWARP DOORを手に入れた段階で小部屋2へと到達できるようになる。この、壁の向こうに欲しいモノをちらつかせる手法もまたスーパーメトロイド的だ

そして、まだ行けないから戻る→獲得したリンゴでまた新しい能力ゲット→再び探索へ……という流れ。マップ中央に新しい能力を獲得できる広場を用意し、いくつかの小部屋と領域外の探索の終着点をマップ中央付近にしている構造の巧みさはもはや語るまでもない。

あと、ひととおり周り終えて戻ってきたらちょうど新しい能力を獲得できるリンゴの数を集め終えているのも、おそらく設計どおりなんだろうけどこれがまた気持ちいい。


 三つ目、領域外について。本当に飛び出してしまうまでに何度か「あれ?これひょっとして出られないのでは?」→「あ、ここから出られるわ良かった良かった」を体験させているのがニクイ。パターン化させてからそれをぶち壊す。丁寧な伏線がお見事だ。ショッキングな効果音と無音による演出も印象深い。餃子食べて楽しんでたところにからあげぶち込まれた感じ。

領域外のパズルは二個、「いいなー!」と思ったのがある。BOX GENERATORで作る箱と同じ大きさの地形があるところだ。同じ大きさの地形を用意することで、BOX GENERATORの出番なのでは?とアタリを付けられる。次に、どの位置に箱を生み出すか?なのだが、これは地形によって「ここに箱を生むと綺麗に道ができそうだな……」と感じるようになっている。これがスゴい。

人間は不完全なものを完全にしたがる傾向があるらしく、こういうのは試行錯誤しているうちにほとんど本能的に解答を導き出せるのだ。本能的、つまりキモチイイ!

 

 最後、真・領域外と%#^&@ ?/:)#",@!!について。一度、領域外へ飛び出すおどろきを用意しておき、そこからさらにもう一段階上の領域外へ飛び出すおどろきを叩き込んでくる。からあげでびっくりしてるところに、特大餃子が出現したような感じ。正直、これだけでも感服モノなのだが、%#^&@ ?/:)#",@!!はこれだけに終わらない。

・全体マップ
・全リンゴのありか
・ファストトラベル
・取れなかったリンゴが取れるように
・最後の目的地(+リンゴ)

これだけ意味と価値が用意されている。しゅごいね。


 あと、最後の演出について。こういうのは解釈を間違えてるとただただ恥をかいて終わるのであんまり言及したくない。けど、まあ、プレイヤー(ヒトというかロボット?)にとってあの世界は牢獄のようなもので、リンゴもただの実験報酬的な存在だったんだけど、最後に“外”に出て、樹になる本当のリンゴを見つけられたっていうそういうオチだと解釈している。


 ちなみに、このゲームの難易度はとても心地よい難易度だった。特に深刻に悩む問題はなく、サクサクと解いて気持ち良さを連続で味わい続けられる探索パズルゲームだった。パズルゲームというのは、「あれ?クリアできそうでできねえぞ?」を一度体験してしまえば、そこからの「分かったぞ!」までの時間はどれだけ短くてもなんら問題はないということをつくづく実感した。

あと、「はいよ!オマケでもう一個リンゴどうぞ!」って感じのリンゴ配置がこれまたスーパーメトロイドっぽかった。これも地味に好きなポイント。

PUZZMETROを遊ぶためだけにはじプロを購入する、これは相当なハードルの高さになっていると思う。PUZZMETROは、このハードルに真正面からしっかりと越えてきてくれたので大満足だ。餃子完食。皿まで舐めたぞ。


おわり


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