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着物警察について思うこと

こんにちは、gminimumです。

つい最近、Twitterを中心にSNSにて、着物を趣味生業にしている界隈ではある言葉が若干バズってました。「#着物警察」という言葉です。

とあるTwitter記事が大きく拡散され、話題になりました。個人的に普通にあれは犯罪だと個人的には思っていますがそれは置いておき、今回お話ししておきたいのがこの着物警察についてです。

着物警察とは

正式に定義されてる言葉ではありませんが、「自分が考える着方・ルールを守れない人に自分の正義を押し付ける人」のことだと個人的には考えています。

参考: https://toyokeizai.net/articles/amp/259293?display=b&amp_event=read-body

正式な着こなしのルールってあるの?

そもそも確かに着物には、特にフォーマルな場で着こなす際のルールというものが存在します。時期によって着て良いとされる着物(●月〜●月は袷着物など) 、柄(季節の先取りが基本)、帯の種類など、数多くあります。着方についても、帯締めの紐の括り方、帯の締め方、合わせ方など様々なルールや見解が存在しています。

でも忘れちゃいけないのが、どの時代であっても着こなしのトレンドは変化しているし、どんな着方をするかによってルールの存在意義も変化します。普段着物であればもちろんがちがちにフォーマルで着る必要はないし、洋服と合わせたり新しい組み合わせを純粋に楽しむのも全然ありです。

気候も、ライフスタイルも、ルールが固まったころから大きく変わっている

またそのルールについても現代では少しずつ見直されたり再解釈されたりしています。たとえば明治・大正の頃と、現代の夏は暑さが全く違いますよね。確実に平均気温は上昇しているし、その当時は単衣で過ごせたかもしれないけど、現代で同じ時期にそれをやったら確実に熱中症になる。みたいなこともざらにおこる。

また着こなしについてもどの時代にもトレンドが。

自分はそこまで詳しくないのでぜひ着物について生業としている方々の発信情報などもお読みいただきたいのですが、帯結びや着物の襟あわせの角度など、時代によって着付けのトレンドも大きく変わっています。

最近だと「紗ドレス」やタートル、ブラウスインした洋ミックスな着物の着こなしが普通になってきました。自分も洋服の上から着物を着たり、羽織も洋服に使えるカーディガンを活用したりしていますが、洋服との組み合わせで普段着物としての楽しみ方も様々な広がりを見せています。

帯が結ばなくても、紐やリボン、ベルトで「帯結ばない帯結び」ができるようになっていたり、帯結びについても様々な可能性が。楽しく着られる機会はたくさんあると思います。

訳も背景も知らずに振りかざすのは正義じゃない

個人的に今回の件も含めてよく問題になる「着物警察」というのは、どんな場面で、どんな用途で着てるかも知らんくせに、

・自分が知っている着方やルールを全てだと思って

・相手に押し付け強要したり、傷つける発言をする

ことだと思っています。どうして、どこに、何のために着ていくのかも知らぬまま、その着付けた苦労や思いを踏み躙るようなことを言ったり行ったり押し付けたりできるのか。

これだけ時代も変わり、トレンドも変わる中、どんな用事があって何のために着物を着ているかはわからないわけですから。

この着方はおかしい!この柄はおかしい!とか、ファッションとしての要素に口を出したり、無理に帯結びを変えたり、着付けをやり直させたり(本当にあるんですよこういうケース)するのはまじで良くないし、一歩間違えば犯罪行為になります。

本当にピンチっぽい時は声かけていいと思うんです。例えば、もし帯結びがどうしても解けそうだと見つけた時とか。

でもそういう時だって思いやりは必要です。そっと

「ちょっとだけ、ごめんね。もしかしたら帯が解けてしまいそうなんだけど…」

って一声かけて相手に教えてあげたらいいんじゃないでしょうか。誰だって、慣れてきたとしてもちょっとしたミスや直し忘れはあったりします。無理に引き止めて、「あんた、帯解けるよ、なんでこんな結び方したの!!」と叱るのも違うでしょう。一生懸命着付けた人の身にもなってあげてほしい。

誰だって最初はビギナーだったはずなのに

着付けって正直大変です。工程を覚えるのも、覚えたとしても綺麗に着られるまですごく練習したり、努力して着付けてるはず。その経験は、そういう自分の正義を持ってる着物を着られるひとりひとりにあったはずなんですよね。

大事なのは結局捉え方と伝え方なのかなと、一般論かもですがまじで思います。

粗探しじゃなくて、人は人で過ごしたら平和

着物を着ている人を見て粗探しするのってなんか嫌じゃないすか。あの着こなしいいなとか、あの色合わせいいなとか。そういう「良いところ」を見つけてみるとかね。自分ならそうは着ない、と思ったとしても「用途が違う」「着付けで大切にしたいポイントが違う」とか、人によっての違いは気にしない方がいい。

全部一緒なんて、ありえないし無理なんですから。

違いと変化を嗜み楽しむくらいの余裕、持ちましょうよ。

と、未来の自分にも語りかけつつこの辺で終わりたいと思います。平和に生きたい。

警察なんて呼ばれる不名誉を背負い込まずに、着物を純粋に自分らしく楽しめる人ばかりになることを切に願います。




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