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1203⁻11 あなたが最初というわけではないし、最後というわけでもないですから

1203
日当たりを求めて引っ越した新居ではじめての朝を迎える。
外から光が差し込んでリビングにあふれ、こぼれている。
ソファーにいるだけでごきげんになった。


1204
新代田feverにライブを見に行く。
ロンドンのバンド「deathcrash」の来日公演。共演したNOUGAT、downtの3組ともかっこよかった。
ゆっくり湧きあがる感情を拾って焚き付けていく、これを音楽で表現して、人に伝えることができるのはすごい。法事のとき偲ぶ気持ちに近くて、会場もなんだか厳かな雰囲気だった。(それでいて盛り上がっていた。)


1205
近所のスーパーにいったら、「今年最後のさんまですよ~」とラジカセで連呼していたので、まんまと買う。3匹で80円くらい。
新居はコンロがついてなかったので、妻と協議して選んで、Amazonセールで買っていて、グリルは今日が初陣だった。白色にして常にきれいにするという誓いを込めたカラーチョイス。台所が全体的に白かったので、なじんで気に入っている。
グリルは水なし仕様とコンロの取説にはあって、ほんとうに焼けるのか・・・?と火をはじめて見る人類のように、グリルのなかを見守った。しっとりしてうまかった。


1206
夜、東京に来た友人と飲みにいく。
「バリウム検査はSASUKEだ」という話題で盛り上がる。若年層へのネタバレになるので詳細は控えるが、これだけでおとなたちに伝わってくれると嬉しい。わかものよ、バリウムはロージンバック(滑り止めの白い粉)でしかない、気をつけろ!


1207
夜、M-1の決勝進出者が発表される。数年前劇場によく見に行ってた時期に出演していたヤーレンズ、モグライダー、真空ジェシカが勢揃いしていて、すでに楽しみこみあげる。
ちょっと時間が重なったため、録画をおっかけ再生して「いちばんすきな花」の9話をほぼリアルタイム視聴する。なんにんか親しい人がいて、ふたりだけ会うのと、一堂に会うのでは、受ける印象が変わると話すシーンに共感した。わたしはおしゃべりするなら、ふたりがちょうどよい。四人以上だと、空気というか、雰囲気つくりに回ることが多い気がする。さんにんはよくわからん。
noteは、話題によっては思い浮かべる場合もあるけど、不特定の誰かひとりに話している感覚が多く、どうでもいい話を連ねることが往々にしてあるのかもしれない。


1208
近くのショッピングモールの地下に買い物などをすませる。すませるというくらいには日用品の調達だった。新生活になじませることができるかどうか吟味しながら選定を進める。
買い物を終えて地上に出たときに、同じ地下にある5円コピー機で印刷するの用事を思い出す。数十円の差なんだけどなあと思いつつも、戻ってコピーしにいく。地下でコピーを終えて、本を置き忘れないかしっかり確認して、地上に出て家路を歩く。途中で印刷した紙を取り忘れていたことに気づく。数十円を笑わずにふんばったら、泣けるほど苦労が増えた。いにしえの金言よ、ふざけるんじゃないよ。


1209
がっつり風邪をひく。ちょうど1年前にコロナに感染していたので、12月はじめは相性が悪いらしい。ひたすら寝る。
ちょっと回復した隙をみて、読めていなかったマンガの新刊を読む。


1210
相変わらず風邪をひいている。予定はあきらめた。無念。
なにかをあきらめるとき、古典の『大尉の娘』の1シーンをよく思い浮かべる。僻地に赴任して凹む主人公に対して、現地の肝っ玉母さんが「悲観することはありません。あなたが最初というわけではないし、最後というわけでもないですから」となだめすかす、といったニュアンスの場面だったとおもう。脳内で何度も再生して湾曲しているかもしれない。
確かめたいけど、引っ越しの段ボールのなかにあって手元にない。はやく回復してひっぱりだしたい。ささいな一節が勝手に一人歩きしている状況も好きだけど。


1211
やや復調。しかしお腹に来ていて、あまり食べられてない日々。
そんな中、ヨーグルトの「牧場(まきば)の朝」がおいしくてよく(often)食べた。3個入りで売られているの甘いやつ。プレーンヨーグルトがはびこる世の中になってしまったけど、この激甘設定のヨーグルトが食べたくなる日がごくまれにくる。そんなときにまだ存在していて、しかもコンビニにも並んでいてありがたい。朝のみならず、昼も夜も、食卓は牧場となった。

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