温泉宿に泊まれない
先日、箱根に1泊2日の家族旅行をしてきました。
車無し・ベビーカー子ども連れで敢行したのが予想以上にハードで、その辛さだけでもたっぷり話したいのですが!
今回はアレルギーの話を中心に書かせてちょーだい。
温泉宿に泊まりたい
今回のプチ旅行はおっとりさんの「温泉行きたい」リクエストが発端でした。
温泉=箱根と安直に決めて宿を調べていくと、「オムツが取れていない子は大浴場お断り」の記述が多数!!
そうかー、となると家族風呂のある宿じゃないといけないねと、たどり着いたのが今回泊まった某温泉宿でした。
大豆アレルギーで醤油が食べられなくなったこの4年で、初めての和風宿での宿泊。
これは結構な冒険でした。
なぜなら「醤油食べられない奴、和食なんて無理」だから。
はっきり言う。
避けてた。
出産前(=コロナ前)の旅行先はグルテンフリーが普及しているオーストラリアへ。
出産後の気晴らし1泊旅行では都内の外資系ホテルを利用。
どうしてもそこしか選択肢がなかった正月帰省では、バイキングの中からアレルギー記載を見てどうにか食べられそうなものをピックアップ。
できれば「醤油に頼らなくても食事が提供できる」と想定できる場所を選んできました。
大豆が食べられなくなって4年で、とうとうきてしまった温泉宿。
ザ・和食の場所。
正念場は、醤油ダメと伝えた後の食事の対応。
さて、どう来るか。
内心ヒヤヒヤしながら、子どもがいる旨とアレルギー対応が必要な大人が1名いる旨を添えて夕食&朝食付きで1泊の予約をし、先方からの連絡を待ちました。
宿泊予定日の1週間ほど前に電話があり、定型と思われる諸事項の説明や子どものご飯をどうするか決めた後、とうとう私のアレルギーについての確認が。
「グルテン、大豆、りんご、もも、ココナッツがアレルギーとのことですが、調味料はいかがですか?」
「いえ、調味料もダメです。醤油も食べられません」と伝えると、一瞬逡巡した後「確認して折り返します」とのこと。
ここからだ。
頼むよ板前さんたち。
プロ魂を見せてくれ。
翌日、再度電話がかかってきました。
いよいよ結果がわかる!
日課のヨガ中ながらも、中断して勢いよく電話を取った私にフロント担当が伝えたのは予想を上回る最悪の回答。
「調理場に確認しまして、お食事の提供はできないこととなりました」
えっ…!?????
ゼロ…!???????????
ご飯抜き…!????
箱根の山奥で????
どうしろと???????????????
「提供できません」で良いわけないだろーーーー!!!!!!!!!!!
なんでその結論に至ったんだ馬鹿野郎!!!!!!!!
完全ゼロと告げられるとは思わなかったので、頭の中は大混乱。
あわあわしながら持ち込み条件の確認を試みました。
「あの、カレーをチンしてもらって白米と一緒に提供は…?」
「温めることはできますが、カレーは匂いが強いので控えていただきたい」
「冷凍のハンバーグ種を持ち込んで、焼いていただくことは?」
「温めるだけならできますが、焼くといった調理が関わるものはできません」
えっ…無理くさくない?
もしかしてこれが世に言う"詰み"ってやつ?????
頭が混乱して今はいい流れに持っていけないと判断し、話題を朝食に切り替えます。
「わたし、朝食は洋食でリクエストしてましたよね?
果物とヨーグルトとスクランブルエッグで提供いただけないでしょうか」
「フルーツ、ヨーグルト、スクランブルエッグ…はい、それなら出来ます」
よし、朝食は確保。
「夕食についてはちょっと考えてみます」で一旦電話を切ってその場を終わらせる。
まずい。
非常にまずいぞ。
こちらが具体的にリクエストをしない限り、箱根の山奥に車も無しで空腹のまま放り出される。
どうする?どうしたら提供してもらえる?????
途中だったヨガを再開しても、頭は「どうしたらいい?」と「拒絶で返すなや」の怒りで頭がいっぱいで集中できない。
頭がこんがらがったまま、どうにかヨガを終えて再度打開策を考える。
当日の予定を見直してみよう。
朝から箱根に移動して、子どもオムツOKのユネッサンで遊んだ後に夕方にホテルに到着。
元々ユネッサンでわたしが食べられるものが提供されないのはわかっているから、昼の弁当持ち込みは予定してる。
夜もってなると、さらにもう1つ弁当を1日中持って歩かなければならないことになる。それは重量的にも衛生的にも避けたい。
…やっぱり、どう考えても弁当持ち込みはしたくない。
となると、朝ごはんのように具体的にメニューを指定して用意してもらうしかない。
純和風の温泉宿が用意するのが簡単で、わたしでも食べられそうなものは…!?
・・・ぽく、ぽく、ぽく、チーン💡
海鮮丼!!!!!🦐🦑🐟🐙🦀
脳裏に閃く、わたしがご飯を作れない時に頼る必殺外食・海鮮丼。
これだ!!!!!!!!
刺身と白飯だけ用意してもらって、醤油代わりのものを持っていけば、海鮮丼にして食べられる!
ご飯ゼロからは逃れられる!!
これを閃いてから30分しても他に良案が思い浮かばなかったので、刺身と白飯を用意して欲しい旨を電話で伝えて一旦終了。
「果たしてわたしの欲張り胃袋はそれだけで満足できるだろうか」と疑問は一瞬浮かびましたが、その小さな不安は日常の忙しなさの中に消えていきました。
わたしは甘かった
そして迎えた当日。
ベビーカーでの駅移動に時間が想定よりかかり、いきなり予約していた新幹線に間に合わないところからスタート。
どうにか次の便に乗り、早くも気分を削がれつつ箱根へ到着。
ユネッサンではピヨ吉が楽しく過ごせたので、親のわたしも一安心。
これで次の夏からは外遊びのバリエーションも増やせそう!
来夏への期待を胸に宿へ向かったら、最後にバスで一悶着!
もー!車無しのベビーカー箱根辛いって!!!!!
ベビーカーのしんどさを嘆きつつ、どうにか宿に到着し、チェックイン。
夕食と家族風呂をいい時間で予約できたのに満足して、部屋でダラダラしながら夕食の時間を待ちました。
そして、いざ夕食会場へ。
到着し「奥様のお席は手前側に用意してございます」と案内される。
見ると、子ども椅子の隣にたしかに刺身プレートがどんと置かれている席が。
見た瞬間悟りました。
「あかん、これは、お腹いっぱいにならない…」
綺麗な和食器に美しく盛られた少量の刺身。
ただの刺し盛りとしてみたら、とても華やかだし豪勢。
でも、これと米だけと言われると物足りない。
そんな量。
女性の胃袋をファンタジー化し過ぎてないか。
いや、そもそも最初のリクエストがそもそも甘かったかと、ほぞを噛む。
うーん、やっぱり副菜と汁物は欲しかった。
インスタントで持参できるものが売られていない、悲しいアレルギー事情。
無邪気にママのお刺身を取ろうとし、わたしに拒まれるピヨ吉。
代わりに取れたレモンを秒速で口に入れ、顔を顰めていました。
純粋すぎて眩しいけど、この刺身はマジで今日のわしの命綱なんや。死んでも渡さへんで。
ピヨ吉の襲撃が止まないので、他の2人の夕食が運ばれてくるのも待てずガードしながら刺身を食べ始めるわたし。
向かい側の席をあてがわれているため、何もできないおっとりさん。
そうこうしている内に運ばれてきたピヨ吉のお子様御膳。
見たらそもそもお子様御膳の方が量が多かった。いいなぁ。
一人暇を持て余したおっとりさんが見比べて驚く。
「お品書きの量の差!」
ここで勘の良い方なら気付くでしょう。
これだけ品数に差があると、すなわち二人の食事時間に大きな差が出る。
これは通常コースのおっとりさんにもダメージがある問題でした。
おっとりさんに豪勢な先付けと何かが運ばれてきた頃、わたしはほぼ食べ終わりに近く。
通常コースの2品目が食べ終わる頃にはわたしの夕食は終了してしまいました。
わたしはピヨ吉にご飯を食べさせることに専念しながらも、「お腹がいっぱいに、ならない…」と苦悩。
おっとりさんは「もっと持ってくるスピードを早めて欲しい」と呟く。
宿の料理担当がアレルギー対応を投げ捨てたおかげで、しっちゃかめっちゃかな食卓になりました。
ふとよぎる「こんなところに泊まるんじゃなかった」。
ピヨ吉があらかた好きなものを食べてお子様御膳から興味が離れた頃、「この腹加減じゃ眠れない」と思い、ダメもとで
「あのぉ、こんなこと言われても迷惑なのは百も承知なんですが、何か肉を焼いたものに塩胡椒だけして提供してもらえませんかね…?」と給仕の男性に伝えてみる。
「通常の夕食と比べたら金額的には余裕あると思うけど」とフォローしてくれるおっとりさんに「いやぁ、それ用の素材の仕入れをしてないから難しいかもね」と消極的なわたし。
結局やはり提供不可とのことだったので、その場で白飯のおかわりと、生卵、梅干し、海苔をリクエスト。
旅館に取扱のなかった梅干し以外を手に入れて、卵かけご飯にしてかっこむ。
懐石料理の傍らで卵かけご飯をかき込む姿がなんとも物悲しい様子だったのか、おっとりさんも自分に提供された笹かまぼこをつまんで「これなら食べられると思うんだけどなぁ」などと言ってくれる。
「あー食べれそうだねぇ」と言うだけで、どちらも特にキッチンに確認などはしない。
だって最初に断られた身だから。
おっとりさんの夕食待ちとわたしの空腹を卵かけご飯で少し埋め、ピヨ吉にご飯を食べさせることに再び専念していると、給仕さんから「デザートをご用意します」と申し出が。
ぜひ欲しいとお願いし、「わたしがまだお腹が空いていることは伝わったようだね」とおっとりさん相手に鼻息を荒くする。
いやお前が食いしん坊過ぎる節はあるけどな。
デザート提供の申し出は、顔の見えないキッチン担当の精一杯の譲歩だったのでしょう。
本来、客から「何か出せ」とメニュー外のことを言われるのは心外だろうし。
デザートが届くと、奪おうと躍起になるピヨ吉との攻防を繰り広げながら、ゆっくり味わう余裕もなく完食。
おっとりさんの通常コースはまだ土鍋ご飯も炊けていない。
完全に時間を持て余しているピヨ吉とわたしに、おっとりさんが「動画観ていいよ。先に部屋に帰られるよりは。」と譲歩してくれたので、ピヨ吉はyoutube kidsを見始め、わたしも遠慮なくイヤホンをして動画視聴。
TVerでドラマ「ブラッシュアップライフ」の好評ぶりを聞いて、今になって必死で追いかけている最中だったのでこのタイミングはありがたく、3話の途中から再生。
黒木 華さん演じる玲奈ちゃんの不倫男に対する切りっぷりがあまりに爽快で、スマホに向かって思わず「おー」と言いながら拍手をするわたしを冷めた目で見るおっとりさん。
健常な人から見たら異常なファミリー。
動画のおかげでおっとりさんの食事が終わるのを待って、部屋へ戻ることができました。
翌朝も似たような展開。
予定通りの朝食をあっという間に食べ終わったわたしが時間を持て余す。
おっとりさんの白飯、生卵、海苔を奪って卵かけご飯を追加で食べて「もっと頼んでおけばよかったかな」と呟く。
こうして旅館のご飯の思い出は全て卵かけご飯になったのでした。🥚
🍳🍳🍳
いやー、ある程度の危機感は持っていたものの、宿泊先でキッチンから匙を投げられる大変さを思い知った1泊でした。
チェックアウト後、おっとりさんが
「今回の代金xxxxx円だった」と言うので
「へー安いね」と返すと
「………。うん。
もしふり子が俺と同じようなご飯食べれてたら、安いね」と少し沈んだ声で話していました。
どうやらこの件は健常者側から見ていても思うところがあったようです。
田舎の温泉宿のキッチン担当の皆様におかれましてはアレルギーの人が来ても匙を投げないでいただきたい旨は全力で伝えたいのですが、
アレルギーを持つ側も万一断られたら、極力具体的に、コースとの時間の差が生まれることまで考慮して詳しく料理指定をなるべくたくさんするべきだと勉強にもなりました。
量が足りないかもとは一瞬予想できたけど、食事時間の差を持て余すことは予想できなかったー!!!
今後同じようなことが起こったら
くらいの粘り強いリクエストをしてみようと思います。
しつこく、具体的に品名を事前に出しておくことが大事。
朝ごはんも普段より多めになるよう欲張りリクエストをしておこう。
もし大豆アレルギーのまま日本に住むなら、こちらも交渉力を上げていかなきゃね!
サポートありがとうございます!値段のないところにお金を出してもらえるって、本当にありがたいことだなぁと感激しています。大切に使って、そこから得たものを書いて恩返しさせてください。