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ボールと「夢」を追いかけて。

2022年9月11日、YSCC横浜対SC相模原。
J3神奈川ダービーを4-0の大量点差で制した後にゴール裏で喜ぶ選手たち。
あの時僕は、泣いていた。

肩を組んだ選手達とスタンドのファン・サポーターが向かい合って飛び跳ねて、皆笑顔で盛り上がって勝利を称える。

このクラブでこういう光景が見たくて、こういう楽しい思いをしたくて、僕はSC相模原を応援しているんだと改めて感じた。


J3。決してサッカー最高峰ではない国の、3部リーグ。
去年SC相模原を応援するようになったが、それまでの僕と親交があった人は、何故このカテゴリーにいるこのクラブを応援しているのか不思議に感じる人も多いと思う。

そもそも、僕もそういう価値観の人間だった。
トップリーグこそが至高、一番強いのが一番面白い。
そこに何の疑問も持たず、プロスポーツを見て楽しんでいた。

強いことは一つの正義だ。
強ければ、多くのファンがついて熱が生まれる。他の追随を許さないプレーと結果で、多くの人を魅了できる。そして、人が人を呼んで更なる熱狂が巻き起こる。
勝負の世界、強くあることはやはりとても大きな価値がある。


けれど、ではなぜ僕は毎週末多くの人とJ3に所属するSC相模原をスタジアムで応援しているのか。

答えは出ている。
それは、"相模原でしか見れない夢を見れる"から。


海外サッカーを見るとあまりのスピードとテクニックに驚く。
J1の試合をスタジアムに見に行くと、試合中継やバラエティ番組で見たことのある有名な選手達が凄まじいエネルギーでピッチを駆け回っていて、見ているだけで興奮する。

強いチームのスポーツはどれも面白いし興奮する。
けれど、僕を心の底から熱くさせるのは、毎週全国どこへでも応援に行きたいと熱情を駆り立ててくれるのは、SC相模原とその選手たちしかいない。

プロスポーツの無かった街・相模原で育った僕に、「地元のプロスポーツ」を教えてくれたSC相模原。
このクラブには発展途上の環境、言い換えれば未来への希望がある。

クラブハウス、練習場、スタジアム、試合の演出、、、挙げればきりがないかもしれない。
その未来への希望は、そのまま夢の大きさとなる。


僕にとってのSC相模原は、同じ神奈川県内のビッグクラブの横浜F・マリノスや川崎フロンターレの下位互換ではない。いずれ彼等に追いつき、そして追い越したいと本気で思っている。

何年、何十年かかるか分からない。その日を見ることなく、僕はいつか死んでしまうかもしれない。

けれど、それでもいい。
その夢を持って、SC相模原と同じ方向を向いて未来へ歩むことが僕にとっては大事なことだと思っている。

フットボールは、ボールを追いかけ、ボールを繋ぐスポーツだ。
SC相模原を応援するうちに、試合で選手達が追いかけるボールは、クラブの夢そのものに見えるようになった。

放り込まれたボールを弾き返すように、困難に打ち勝つこと。
受けたボールを取られないように、身体を張って必死に守り抜くこと。
その場にいる全員の力を合わせて、ゴールという目標へ向けて、パスを繋ぎ前進すること。

歯を食いしばって、死力を尽くして、声を振り絞って、皆で追いかけるのは、ボールの形をした夢なのだと思う。


強くなりたい、もっと大きなクラブになってほしい、勝って皆で喜び合いたい。
そして、皆がスタジアムに集まって応援できる、SC相模原というクラブが、いつまでも続いて欲しい。

このクラブを作り、育てた多くの先人。クラブの歴史を見守り、チームと共に戦ってきた先輩サポーターの方々。

これから出会うであろうたくさんの新たなサポーター。そして、いずれスタジアムにやってくるホームタウンで育つ子供たち。


多くの人から繋がれたボールは、今のSC相模原、選手、チームスタッフ、ファン・サポーター、つまり僕らの足元にある。

もらったボールをどこまで前に進められるか、
次にパスを出す彼等に、どれだけいいボールを出せるか。

今この瞬間も、僕たちは夢の途上にある。


強いカテゴリーのクラブには、強いカテゴリーのクラブの良さがある。
多くのサポーター、人で溢れかえるスタジアム、超一流の選手たち、世界への挑戦。多くの人が楽しんで熱くなれる環境がそこにはある。

けれど、僕らにもそれに負けないドデカい夢と、大好きなスタジアムがある。


相模原で育ち、SC相模原を応援するようになってからは、もはやSC相模原の代わりとなるクラブは僕の中では存在しない。SC相模原でしか味わえないたくさんの思いがある。

強い弱い、好き嫌いなどではない、唯一無二のクラブ。それが僕にとってのSC相模原。


だから、勝てば涙が出るほど嬉しいし、負けたら唇に歯型が残るほど悔しくなる。
覇気のないプレーを見れば怒りたくなる。懸命に戦っても結果が出ないと、とても辛く悲しくなる。


相模原に、相模原ギオンスタジアムに、そんな熱くなれる場所がある。
きっと、いずれもっと多くの人がこの輪に加わると信じている。


限りない夢を抱こう。そして皆でどこまでも追いかけよう。
思い描く未来に向かって、共に育ち共に戦おう。

SC相模原を信じる人がいる限り、僕たちの夢は続いていく。

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