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SC相模原の、共に育ち 共に戦うスタジアムMCの話

2022年のSC相模原には、共に育ち共に戦う、とても心強いスタジアムMCがいた。

今季からSC相模原のホームゲームで、スタジアムMCを務めている福田悠さん。

地元・相模原市出身の福田さんは、サッカーのスタジアムMCはSC相模原が初挑戦。

福田さんのMCの特徴は、現役フットサル選手でもあるその経験を生かしたフットボール眼。
前半を終了してハーフタイムに選手がピッチから引き上げる際には、自身が見た相模原の選手のホットプレーをすかさず取り上げてスタジアムに共有する。
また、試合前にはサッカーの用語に関する話や、前節のアウェイゲームの簡単な総括などを全て福田さん自身の言葉でまとめているのも印象的だった。

サッカー観戦2年目の自分は、福田さんの言葉からプレーの新たな側面を認識したり、サッカーそのものをより深く知る機会をもらっていた。


だが、福田悠さんを語る上で欠かせないのは、その熱いSC相模原への愛だと思う。

ホームゲームの試合中、福田さんはピッチレベルのメインスタンド下で立って戦況を見つめている。試合中は必要に応じて、傍に置いてあるマイクで試合進行に関わるアナウンスを行う。

ゴール裏から横目でメインスタンド下を見やると、福田さんはいつもゴール裏の応援に合わせて手を叩いてチームを応援している。
プレーに一喜一憂して、応援に入り込んでいる様子がよく見えた。

相模原のゴールが決まった際に叫ぶゴールコールも、局面やゴールの内容によってはゴールコールがゴラッソコールに変わる。
また、ゴールアナウンスでチームや選手を深く応援しているからこそ発せられる言葉がとても印象的で、気持ちを高ぶらせてくれた。

僕の推し選手、浮田健誠選手の初ゴールの際は、ゴールコールのあと、(若干記憶は曖昧だが)

「相模原の皆が待っていた初ゴール!ただ今の得点はSC相模原No.9、浮田健誠選手のゴールでした!」

と声を震わせながらアナウンスしていて、それを聞いてスタンドで涙がこぼれたのを思い出す。


福田さんのチームへの愛は、ホームゲームだけには留まらない。
アウェイゲームにおいても、相模原を応援するゴール裏スタンドへ足を運んで、僕達と一緒にSC相模原を応援をする。

SC相模原の声出し応援初戦となった、アウェイ・カターレ富山戦。
試合中、大きな声と大きな手拍子でチームをスタンドから後押しするその背中は、まさしく背番号12番をつけるサポーターの姿そのものだった。

試合が終われば、試合の感想を周囲の人と話しながら、応援団体の方と一緒にゴール裏の横断幕の撤収にあたる。

こんなに共にチームを応援してくれる方が、スタジアムMCをやっているという事実に、ただただ心動かされた。


フットボールは、人の心を丸裸にしてしまうスポーツだと思う。

実際に試合をする選手・スタッフ達がどれだけ必死にやっているかやっていないか、ずっとスタンドから観察していると何となく分かるようになる。

そして、それを見て応援する我々もまた、感情を丸裸にされる。

試合を俯瞰的に見る人、一歩引いて見る人、
斜に構えて見る人、熱中する人。
色々な人がいるが、どんな見方をする人であろうと、クラブやチームを応援する熱量があるかないかはすぐ分かる。

SC相模原のスタジアムMC・福田悠さんは、間違いなくチーム愛に溢れた最高のスタジアムMCだった。


試合中のMCについて、福田さんと話をさせていただいたことがある。

「試合に入り込んでいっちゃって、ついつい足が前に前に出ていってしまって、気付いたらマイクが遠くにあることがあるんです笑」

と仰っていたのがとても記憶に残っている。


本気で応援しているから、本気でスタジアムMCをされているからこそ前へ出る足。

チームと、サポーターと、共に前へ。
2022年のSC相模原のホームゲームには、ピッチレベルでマイクを握る背番号12、サガミスタの鑑とも言える最高のスタジアムMCがいた。

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