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サッカード素人の相模原市民が、相模原一体で勝ち取った勝利に酔いしれた話

9月4日、SC相模原のJ2リーグ第28節は、オリジナル10のジェフユナイテッド市原・千葉を迎えてのマッチアップとなった。

思い返せば4月、相模原のJ2アウェイ初勝利を飾ったのは、ジェフの本拠地フクアリだった。

あの試合は振り返れば、ロングスローからの得点で勝利こそ収めたものの、終始ジェフに攻め立てられた苦しい試合だった。


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今回は相模原ギオンスタジアムにジェフを招いての一戦。

ビジターチケット販売期間の都合で、ジェフサポーターは少しの人数しか来場することは叶わなかったが、それでもあのオリジナル10、千葉のサポーターがギオンスにやってきたことを思うと、不思議な感覚になった。

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試合は、春の対決と同じく、相模原にとって苦しい展開が続いた。

前半からジェフにボールを回され、多くのクロスを上げられ、何本もシュートを打たれた。

一方相模原は、五輪中断明けから新戦力が台頭し素晴らしい善戦が続いていたが、その核とも言える#15川上・#38成岡の両ボランチがあまり仕事をさせてもらえない状況が続いていた。
千葉の高い位置からのプレスに手こずり、うまくボールを運べていない印象だった。

決定機とも言えるピンチが何本かあった。しかしそのことごとくをGK・#21竹重が身を挺して止めた。

防戦一方の前半を、何とかスコアレスで終えられた。


後半に入り相模原・高木監督は次々と選手を入れ替えた。

その一人、#37兵藤が大きく流れを引き寄せた。

65分、#8高山と共に相手陣内に攻め込んだ兵藤は、高山からのパスを足裏で返し、見事な決定機を演出した

ゴールこそならなかったものの、横浜F・マリノス-コンサドーレ札幌-ベガルタ仙台とJ1クラブを渡り歩いたベテランの冴え渡るパスワークを目の当たりにした。


そして、耐えに耐えた86分、ついに相模原が重たい扉をこじ開けた。

#37兵藤のコーナーキックが鮮やかに描いた放物線の着弾点、そこに#31木村が完璧にタイミングを合わせ、頭でゴールへ叩き込んだ。

80分以上耐え抜いた末、試合終了間際の鮮やかな得点劇、思わず飛び上がってしまった。

きっと、勝負の神様がいたとするならば、それは相模原に微笑んだんだろうと思った。それほど、ゲームの"流れ"というものを感じる得点シーンだった。


前節・アウェイ磐田戦では先制点を守りきれず試合終了間際に同点弾を食らったが、今日は得点後の守備も冴えていた。
ボールを持たれても、全ての列で相手とがっぷり四つに戦って攻撃の選択肢を絞らせつつ、後ろを5枚ガッチリ締めるディフェンスを貫き通せた。


90+4分が過ぎて長い笛を聞いた瞬間、両拳を握りしめて全身が震えた。

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雨の相模原ギオンスタジアム、あのジェフにシーズン2戦2勝と、本当に素晴らしい成果を収めることができた。

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勝利後、選手・スタッフがスタンドに挨拶に回る光景が僕は好きだ。

皆晴れ晴れした顔をしているし、特に今節は選手・サポーターお揃いの特別ユニフォームで多くの人が笑顔を共有できた。

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今節は「SAGAMIHARA ENERGY FES」と題し、相模原全体をエネルギッシュに盛り上げるコンセプトのもと開催された特別なホームゲームだった。

アウェイエリア以外の来場者には、今日のための特別ユニフォームが配布されたため、普段よりとても多くの観客がギオンスに訪れた。


SC相模原には今年からDeNAがスポンサーについているが、DeNAは同じ神奈川県内で、野球のベイスターズでは「YOKOHAMA STAR NIGHT」、そしてバスケのブレイブサンダースでは「KAWASAKI ENERGY DAY」という特別なホームゲームをそれぞれ催している。


SC相模原でもその一環として「ENERGY FES」が行われたものと思われるが、この1週間の相模原の高揚感は素晴らしいものがあった。

相模原の主要駅、相模大野駅と橋本駅では今節のポスターやのぼりが駅を埋め尽くし、相模原市をはじめとしたホームタウンの市役所では、職員がここ数日は特別ユニフォームを着て勤務していたそうだ。

京王電鉄の橋本駅や多くのSC相模原スポンサーでも、たくさんの人達が職場で特別ユニフォームを着て「SAGAMIHARA ENERGY FES」の雰囲気を作っていっていた。


僕は今年SC相模原に出会ってサッカーを見始めたド素人だけれど、流石にここまで大規模に演出をすると、SC相模原にまだ出会っていなかった世界線の僕もSC相模原のことが気になるようになっていたかもしれない。


おそらく、ジェフ戦にやってきた多くの観客の中には、そういうシチュエーションでやってきた人もいるのだろう。

その人たちが見守る中で、劇的な勝利をあげたことは本当に意義深いことだと思う。


きっと、今日の試合を見にきて、サッカーの感動を目の当たりにした人がいる。

相模原に、こんなに心動かされるものがあったのか、と思った人もいただろう。

その純粋な気持ちが繋がりを見せ、また新たな感動を呼び起こすために結びつくとき、サッカーに血が通い、サッカー以上の素晴らしい価値が生まれるのだと感じた。


相模原には、まだまだたくさんのエネルギーがある。
きっと、もっと盛り上がる。

その景色を見つけに行きたい、エネルギッシュな地元・相模原が見たいと思わせてくれたSC相模原には、本当に感謝の念に堪えない。


オリジナル10、ジェフユナイテッド市原・千葉を迎えて行われた「SAGAMIHARA ENERGY FES」、
未来に向けて、相模原にサッカーという希望の種を蒔く、素晴らしい光景を見れた。


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