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茶室と数寄屋

茶室と数寄屋とは、同じ括りで区切られますが、実は似ている様で、違う所は多いです。
全く違うとは言えない所が面白い所でもあります。

茶室は、大まかに言えば、数寄屋建築の中にある、ジャンルの一つといえます。数寄屋建築とは、奥が深い建築です。


数寄屋建築

数寄屋造りの始まりは、母屋とは別に、離れに小さな茶室を作ったのが、始まりとされています。
その為、数寄屋建築の元になっている考え方は、茶室の考え方と似ているのです。

・茶室

茶室には、大きい部屋の広間と、小さい部屋の小間がある。同部屋にも必ず炉を切られています。
茶室は四畳半以上は広間とされています。
茶室の中でも、広間小間とで材料の使い方が違ってきます。

  小間

小間は、2畳や3畳程の広さなので、離れに独立して建っている事が多い。
部屋が狭く、天井が低く、入り口が狭い、それが小間です。
本当に必要最低限のスペースですが、その隅々までに意味があったり、使い方が決まっています。

小間では、柱や梁など構造部分を、木の丸太をそのままの姿で使って建てる。
その場にある材料を使う』という考えで、そこで侘び寂びの世界観を出しているものです。

丸太を組むという事は、綺麗に丸に加工された材料とは違い、一つ一つ、同じ形はない材料です。
なので、それを加工する技術には、繊細な仕事が必要とされます。

二畳中板の小間

  広間

広間は4畳半以上の広さですが、8畳が一般的な広間でしょう。大人数でお茶会をする場所は、広間になります。
広間になると天井も高くなり、出入り口が、障子や襖になります。

広間となると、材料も加工ものが多くなります。
柱も四角く加工された材料を使ったり、面だけ皮を残す面皮柱などを使います。
天井も式目天井(目透かし天井)竿縁天井(羽重天井やイナゴ天井)などといった、加工材料を使う仕上げが増えます。

茶室の広間の造り数寄屋造りは形的には同じような感じですが、決定的に違う所は、『檜など香りの強い材料は使わない』という事です。
建物の香で、お茶会を邪魔しないように、という意味があります。
なので、杉材が多く使われています。

広間の茶室(10畳)

・数寄屋造り

数寄屋造りの建物は基本自由です。
私のイメージですが、「茶室の色々決まった感じを取り払った、好き物の大工が自由に作った』って感じです。

  数寄屋

数寄屋建築は茶室から始まって、料亭や家屋へと広がっていった様式なので、ベースは和風建築です。
茶室では、庭もお茶会では使う場所でしたが、数寄屋では庭も、見て楽しむ場所になります。

数寄屋の面白さは、ライン(線)を楽しむ所です。
屋根の高さを下げたり、軒を多く出したり、屋根の厚みを薄くしたり、庭を見せるために窓の高さを変えたり、たまに様式を取り入れたり、現在になるまでも色々な変化をしたりして生きている作り方です。

それらを、

構造も考えながら形を作り出すのは、数寄屋大工さんの仕事です!
基本、木で作りますが、時には金物も使います。
コンクリートも使うかもしれません。

どんな方法でも考えて作り出す技術は、日本建築の大事な所でもあります。

  現代数寄屋 吉田五十八

猪俣邸 吉田五十八

現代数寄屋として、吉田五十八先生が作り上げた、数寄屋建築の新しい形などもある。
吉田五十八先生は、本当に線を見え方を、大事にした設計をしてきました。

昔ながらの数寄屋建築とはまた違いはありますが、生活の変化などと同じように変わった形は、数寄屋建築を蘇らせたような、凄さがあります。

私も吉田五十八先生の建物は大好きです。

岸邸 吉田五十八

※これらは、全て自分の考えを元にして書いています。
他にも、考えがあったり教えてくださる事があれば、何でも教えて下さい。
よろしくお願いいたします。

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