見出し画像

人間の証明

普段38度を超える熱が出たときの対処法が、

①某ビタミン飲料500mlを飲む
②半身浴をして毒素を出す

というものなのだが、今思えば、果たしてこの行動に効果がどれだけあるのか怪しいところではあるが、今まではこれをした次の日には熱が下がっていた。

が、その時はそうも行かなかった。
もしかしたらその当時流行っていた豚インフルエンザにかかってしまったかもしれない!と近所の病院に駆け込んだのである。

医師に38度から下がらない、豚インフルエンザかもしれない、と訴えると医師は、カルテの私の年齢欄をチラッと見て

「比較的若い子がかかるものだから違うと思うよ」

と。それがその医師の見解なのか、世の通説なのかは分からないが、医師が言うのであれば違うのだろうと納得した。
であればこの高熱はただのインフルエンザかもしれない、兎にも角にもどうにかして欲しいと伝えたところ、熱も高いし…と検査していただけることになった。

昔も今と変わらない、鼻の奥に長い綿棒のようなものを突っ込んでグリグリされる。涙が出るほど痛い。
研究者の皆様、大手企業の皆様、辛くない検査方法編み出していただけないでしょうか?
わがままで申し訳ないのですが、ご検討いただけますと幸いです。よろしくお願いします。

と、話がそれた。
10~20分検査結果を待った。その後、そそくさと戻ってきた医師に伝えられた言葉は…

「豚だね」

え?さっきならないって…いや、私の事を豚って言ったのか?それもまた失礼な…と呆然としているうちに説明を受け、薬を処方され、お大事に~と家へ帰された。

…そうか。私は豚(インフルエンザ)なのか。
当初、豚(インフルエンザ)の事は置いておいて、若い子がかかりやすいという言葉をプラスに捉え、かかったってことは若いってことだな!と楽観的に考えた。
私は家に帰って豚(インフルエンザ)の旨を家族に報告し、隔離されることになったのである。

隔離生活はトイレに行くにも、食事をするにもお風呂に入るにも、

「豚(インフルエンザ)は近寄るな!」

と理不尽な対応をされた。
いや、気持ちは分かる。新たなインフルエンザの発生に不安になるし、かかりたくない気持ちも分かる。でもさ、もっと言い方があるのではなかろうか?
と本当にショックで、かかってしまった私が悪いのかも知れないがそれはないだろうと悲しい気持ちで日々を過ごした。

さいわい、家族は誰もかからなかった。
理不尽に耐えた私の努力と、なんだかんだとケアしてくれた母のお陰である。感謝。

さて、私、インフルエンザは「豚」にしかかかったことがない。
その他のインフルエンザは家族がかかろうとも乗り越えてきた。
そこでふと、「豚」しかかかったことのない私は人なのか豚なのか。そんなくだらないことに悩み出したのである。

先日子どもが2度、型の違うインフルエンザにかかったが、私はかからなかった。
私はインフルエンザにかかる日は来るのだろうか、もしかかるのだとしたら人に流行しているインフルエンザであってほしいと、不謹慎にも願うのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?