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大川裕輝 代表、「人」を繋ぎ、「未来」を繋ぐ

現役医師が立ち上げる、人とITの力を繋いで医療現場の課題を解決する医療系ベンチャー企業

CEO PROFILE
大川 裕輝 (おおかわ ゆうき)
1991年生まれ、大阪府出身。株式会社CONNECTを2021年8月に創業。 
2017年    岡山大学医学部 卒業
        医師免許取得
        岡山済生会総合病院 初期研修
2019年    岡山大学整形外科 入局
2021年8月 株式会社CONNECT創業
2023年3月 整形外科専門医取得
    4月 法人活動に専念するため常勤を卒業し、非常勤医師
        として勤務(訪問診療:週2勤務)
経済産業省主催 起業家育成プログラム「始動」シリコンバレー現地派遣メンバー選抜

ー 大川さん、本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、大川さんのこれまでの歩みについてお聞かせください。

はい、よろしくお願いいたします。では、僕が事業を立ち上げたところからお話ししようと思います。株式会社CONNECTは、自分の原体験から、つまり医療業界における課題を解決するために立ち上げた会社です。
概略の通り2017年に大学を卒業し、2019年に配属が決まり、日々現場で業務に向き合う中で患者さんの多さや、業務の煩雑さを感じました。この状態って全然サスティナブルじゃないなと。
高齢者は増え続けているけど、医療現場で働く人は増えない。医療のインフラが崩壊するのではないのかと思ったわけです。そうなると、まさにコロナの病床不足などが記憶に新しいかと思いますが、必要なときに受診や入院ができなくなります。それをなんとかしたいという思いから創業しました。

最初に立ち上げたサービスは、医療現場の働き方を変えるべく、人材不足を補えるサービスを模索した結果、生み出したものです。看護師資格を持つ方は、全体で225万人いるんですが、現場には150万人しかいない。つまり3分の1程度が離職されているわけです。現場を離れている理由としては、例えば結婚出産などのライフイベントや、人間関係の悩みによって退職するとか。そういう人が、もし今また働きたいなら負担の少ない形で復職できるようにすればいいのでは?と思いました。単発や、1日限りのアルバイトにすれば、病院側も正規雇用をあてるにはトゥーマッチなポジションに、コストを抑えて必要な人材だけを配置することができる。そう考えたわけです。
1年ほど運用しましたが、改めて感じたのはレガシーな業界ということ。初対面のスポット人材という新しい文化に順応しにくいことから、使いにくいというハードルを超えられず、2022年の6月にサービスをクローズしました。

ーなるほど、初のチャレンジでは確かな課題を感じつつ、また別の課題があり立ち上がりが難しかったのですね。

はい。このスポットで人材を当てるというサービスはクローズしましたが、ちょうどその頃鳥取県の病院に転勤となり、時間は大いにあったので空いている時間はとにかく新しいサービスの構想を練りました。半年から8ヶ月ほどでしょうか。
そんな時、元々働いていた職場の理事長と話す機会があり、人材紹介会社から紹介される人材とのミスマッチが多く、早期離職によって採用費用が無駄になってしまうという話を聞きました。確かに僕も前に立ち上げたサービスを通じて、実際に登録者と話す機会がありましたが、組織が求める人材の質の担保に関するニーズは想像するに難しくありませんでした。

ーでは、現在はその新たな医療系人材サービスの立ち上げに奔走されていらっしゃるんですね。

はい。検証は去年の1月から始めました。その過程で、病院側にこういったツールを運用する担当というか、採用の責任者がいないという課題に気づきました。
病院での採用は、人事が書類管理をして、理事長や院長が採用面接をするケースが多く、現場との齟齬も発生しやすい環境があったんです。それなら、その中間を取り持つようなサービスを我々が提供しようと思いました。
リファレンスチェックを組み込んだリクルートサイト。早期退職による採用手数料の負担をなくすべく、手数料を月額にし、退職すると支払い任務が終了するというビジネスモデルです。なので定着すると、支払いが続きますので相場より多めにいただくということになります。

ー現在の事業もそうですし、前回のサービスをクローズされた後も、現職に注力することや、転職するなど、様々な選択肢もある中で絶えずトライし続けてこられた背景を伺いたいです。

そうですね。走り続けてこれたのは、事業というものへの強い興味関心というのもありますが、例えば、ドクターは1時間に救える患者さんの数が限られているし、ある意味自分の代わりなんていくらでもいるんですよね。そして、この領域を上り詰めても教授になる、というところでしょうか。それはそれで簡単なことではありませんが、僕の中では、こういったキャリアよりもっと自分の存在価値、替えのきかない存在になりたいという想いが強くありました。では、どんなことをすればいいのだろうと考えた時に、何かシステムを作り、もっとレバレッジを効かせて人のためになるようなことができたらいいのではと思いました。それが、ドクターではなく事業家としての人生を歩みたいと思ったきっかけでもあります。

ーきっかけで言うと、起業に関して何か影響を受けた人やことはありますか?

元々事業への興味関心が高く、以前はホワイトニングサロンをやってみたりとかもしたんですが、課題があってというより「事業をやりたい」が先行していたんです。そんな時、機会があって戸村光さんのセミナーに参加でき、アメリカのGAFAMの5社の時価総額が日本のTOP2000社の時価総額より何兆円も高いというお話をされてたんですがそこで刺激を受けて、事業をしたい!から、より具体的に目的意識や課題解決のために、という軸で起業しようと思いました。

ー現時点でパーパスやミッション・ビジョン・バリューは定めていますか?

弊社、と言っても今は自分1人なので誰かに語ったことはなく、ブラッシュアップしないととは思いますが、今思うのは「日本の医療のインフラを、ITの力を通じて強化する」です。
医療はどこまで行っても人と人との繋がりが、産業的構造として最終地点なんですよね。DXすれば全て解決するというものではなくて、人と人とのコミュニケーションではやはりどこか歪みや隙ができてしまう。そこをITの力で埋めたり整理して、強くできればと思います。

ー現役のお医者さんならではの視点、そして想いですね。そんなCONNECTさん、目下の目標はなんでしょうか?

まずはやはり、しっかり会社を立ち上げること。チームメンバーを集めて地盤固めをしなければならないですし、それこそ1人で続けていくイメージはないんです。僕はビジネスサイドの知見が長けている訳ではないので、そこはうまく仲間と協力して頼るところは頼りながらできればと思っています。
仲間集めで言うと、スタートアップはビジョン共感型と謳われる中で、その難しさも感じます。やはりビジョンとは原体験があってこそ掲げられるものだと思うんですが、応募してくださる方にとっては原体験がない。なので、完全にビジョンに共感させるのはかなり難易度が高いのではと思ったんです。ビジョンの共感も大事ではりますが、それが全てというよりかは、その人が実現したいことは何で、我々がその人に提供できるものは何か、その人にとっての我々はどんなバリューなのかについてお聞きしたいですね。

ーもし求職者の方に、逆に何を提供してくれますか?って聞かれたらなんと答えられますか?

本当にまっさらな会社なので、叶えたいことに対して柔軟に対応したいですね。なので、これを提供します!と、可能性を縛りたくないと思っています。例えば、セールスというポジションだとしても、マーケティングをやってみたいというならある程度任せたいですね。ふわっとした回答にどうしてもなっちゃいますが、やりたいことなんでもやれます、ゼロイチが作れますよ、って月並みな文言になっちゃいますかね。

ーでも、ベンチャーの醍醐味ですよね。最後に、求める人物像についてお聞かせください。

「ここだけは負けないぞ」っていうポイントがある方ですかね。ある程度なんでもさせてあげたいですが、それとは別で「なんでもできます」より何か一つ明確なものを持っている人のほうがフィットしそうです。