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パン職人の修造26 江川と修造シリーズ 背の高い挑戦者 江川Flapping to the future

「さあ!次は?」マウンテンはカンペを見た。

「ふんふん!はい!パン職人さんの日常!次はお二人で生地を分割して並べて頂きましょう!」

杉本がカッコつけてスケッパーで生地を分割している。

「普段と違いすぎるだろ」と言いながら藤岡が丸めて箱の中に並べていく。


「なるほど~こうやって生地が丸まっていくんですね、もっと早く出来るんですか?」
「はいできますよ」

「凄い!お願いします」

杉本は出来るだけ早く分割し始めた。

「さすが!凄い早いですね〜もっと早くできます?」
「はい!」

めちゃくちゃ早く分割し出した杉本に
「大きさがバラバラだよ」と藤岡が言った時、慌てすぎてスケッパーが親指の第一関節辺りににカン!と当たった。

「ウワオ!」杉本が叫んだ。

親指を押さえてる杉本にマウンテンが「大丈夫ですか?」と聞いた。
「大丈夫です。気にしないで撮影を続けて下さい」

藤岡は痛がる杉本の親指を調べた。
「良かった。骨折はしてないみたいだな、、ハハ」と苦笑いした。

マウンテンは「さあ次は?」とカンペを見た。

「クイズ職人さんの知識〜!職人さんにパン屋さんならではの知識を披露して頂きましょう!では質問です」

マウンテンはADがスケッチブックに書いて見せたカンペを見ながら
「Roggenロッゲンとはなんの事でしょう?」と聞いた。
「ラ、ライ麦」
「さすが!正解です」江川はほっとした。

そしてゆるい問題が出る様に祈った。

「では次の問題は、小麦の粒の問題ですね!小麦の粒の表皮ってふすまって言うそうですね」
「はい」
「それではその表皮の部分は小麦の粒の全体の何パーセントでしょう?」
「え?えーとえーとふすまのパーセント、、たしかそんなに多くないんだ。。あー!わかった!15パーセント!」
「おー!さすがですね!それではこれが最後の問題です」

江川は緊張で頭がクラクラしてきた。
修造に早く帰って来て欲しい。

「パン生地をこねる事をニーディングと言いますが、では生地の腰を出す為に台に叩きつける事をなんと言うでしょうか?」

「え?えーとえーと」ピーリングでもカーリングでもない、、ボーリングでもない、、

よく聞く言葉なので解っているのに、いざ答えるとなると江川は頭が真っ白になってしまった。

えーとえーと?江川は目を白黒させた。「アーリング、イーリング、ウーリング、、」アから順に思い出そうとしていた。

そこにやっと修造が帰ってきた。
店の奥のショーケースの陰で親方が寝転んでいる。

「親方!何やってんですか?」

「おう、、修造おかえり、、」
親方は力を使い果たして立てなくなっていた。

工場を覗くと「あ!まだやってるのか。でももう終盤かもしれないし。。」
そう思って撮影の真っ最中の江川を見た。

「もう一度聞きますよ〜あと1問ですよ~」と時間がかかったので撮り直すためにもう一度マウンテンが江川に問題を出した。

江川が顔面蒼白になり口をパクパクさせてあうあうとなってるので、修造がADのカンペを取り上げてマジックで答えを書いてみせた。


「あ!修造さん!」

江川は急に元気になり答えた。

「ビーディング!」

「さすが〜正解です!さあ、ここまでトントンときましたね。お次は最後の問題です。クイズ〜!私と仕事どっちが大事〜!」

「さあ、それではこちらの職人さんに目隠しをして頂きましょう」

「エッ?!」

つづく



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