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パン職人の修造23 江川と修造シリーズ 背の高い挑戦者 江川Flapping to the future

はじめに

このお話はフイクションです。実在する人物、団体とはなんら関係ありません。


今日は修造の休みの日。

アパートの部屋のグリーンのソファに寝転んで修造は大あくびをした。

「ふぁーーーっ」

「律子と緑は友達の誕生日会に行ってるし、久しぶりにゴロゴロしてテレビでも見るか」

修造はテレビをつけた。

バラエティ番組が流れている。


ボーッと見ていると子供が3皿の料理を順番に一口ずつ食べている。

ママの作った料理はどれでしょう?おいおい、毎日食べてるんだからわかるだろ?えー!それは一流シェフの作ったヤツだ、それはコンビニの!やばいあの子コンビニのを選んだぞ!それがママの料理って、、あーほら。ママが泣き出した。

俺だったらどうかなあ。律子の料理だからわかるだろ。

そんな事を考えながらウトウトしていた。

ひまだな~

そうだ、これから鳥井シェフの所に寄ろうかな。

ドイツから帰って一回挨拶に行ったきりだし。

そうしよう。

ーーー

一方パンロンドでは社長の柚木(通称親方)にまたしてもNNテレビの四角ディレクターから電話が掛かって来ていた。

「はい、あー四角さん。その節はうちの職人達がお世話になりました。え?撮影?うちでですか?何するんですか?パン職人の一日?何ですか?それ」

電話の向こうで四角が答えた。

「パン屋さんにお邪魔して、パン職人さんが普段何をしてるのか撮影して視聴者の皆さんに知ってもらうコーナーです。夕方のニュース番組の中程で三十分やります」

「撮影はいつですか?」

「次の水曜日です。放送はその次の日です」

「とにかくでりゃあ良いんですね?はい了解〜」

「それで、どなたか職人さんの奥さんに持ってきて欲しいものがあるんですが」

「なにそれ?」親方は四角の説明を聞いてニヤッとした。

「楽しみだなあ」

ーーー

修造は電車に乗って鳥井シェフの店ベッカライVogelnest(鳥の巣)に来ていた。

鳥井シェフの所に来るといつも美味しいドイツパンを御馳走してくれる。それが楽しみの一つでもあった。
今日はミッシュブロートにBlauschimmelkäse(青かびチーズ)にイチジクとナッツがのったパンとチーズプレッツエルを出してもらった。
どちらも修造の好物で美味すぎてもうここに住みたいぐらいだ。


「ご無沙汰してすみません」

「久しぶりだね修造。あれからどうしてるの?」

「はい、これからパンロンドの親方に恩返しした後、国へ帰ってパン屋を開業しようと思ってます。それで今は自分が抜けた後困らない様に後輩を育てています」

「開業!そうなんだ!それは楽しみだな!じゃあ俺がパンの機械や材料の展示会に連れてってやるよ。来週の水曜空けといてくれよ」

鳥井に大きなパン関連の展示会に連れて行ってもらう事になった。

「どんなのだろう!噂では聞いてたけど行ったこと無かったから楽しみだなあ!」

修造は帰り道、パンロンドの柚木に電話した。

「もしもし親方ですか?あの来週の水曜、、」

「おっ!修造丁度良かった!来週の水曜うちにテレビが来るんだよ」

「えっ⁉︎」

「パン職人の1日とかいう放送をやるんだってさ」

「あの〜その水曜なんですが、俺用ができてどうしても行かなきゃならなくて。収録は何時なんですか?」

「十時からって言ってたよ。用が済んだら絶対来てよ」

「わかりました」

と言いながら、テレビが嫌な修造は収録が終わった頃を狙って店に帰る計画を立てていた。

そして水曜当日、修造は律子に「今日展示会に行ってくるよ」と言った。

「パンロンドにテレビが来るんでしょう?それはどうするの?」

「パンロンドに戻ったらもう終わってるかもね」

そう言って修造は律子と行ってきますのハグをした。

いつもの通り律子からフローラルなトリートメントの香りがする。

ーーー

東南駅から展示会場迄は電車で20分だ。

駅を降りると展示会場に行くっぽい人が何人か歩いているのでその人達について行った。

修造と鳥井は展示会の入り口で待ち合わせていた。

「大きな会場ですね」

「ここは業界一の展示会なんだよ。なんでもあるだろ?まずオーブンから見ていこうか。」鳥井が会場見取り図を見ながら言った。

「はい」

その会場は1日では回り切れないほどのパンやお菓子関連の機械屋、袋屋、資材屋、大型店用、小売店用などの様々なものがそれぞれ会社ごとに展示してあって、どれもこれも珍しくてワクワクするものだった。

鳥井があの会社はこうでこの会社はこうでと色々説明してくれていた。

その時、、、


つづく

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