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グローカルコラム 240221|人口だけを見るな。購買人口を見てほしい~オーストラリア食品バイヤーのメッセージから受けた衝撃の事実~

今週は認定専門家(海外輸出支援コンサルタント)
中 正宏によるコラムをお届けします。
https://glocal-solutions.org/expert/expert-1664/

面白い件名ですね。最後まで読んでいただくと「なるほど」って思っていただけます。
是非ご一読ください。

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株式会社KM Internationalです。

私達は日々日本産品、中でも食品やお酒などの飲料を輸出したい企業様を支援するとともに
地方の美味しい食品を海外に広めようと各国のバイヤーに商品をご紹介しています。

弊社では今年度、県や自治体などからの委託事業で
アジア各国・オセアニアで日本産品のプロモーションイベントを実施しました。

特に今年弊社が力を入れているのがマレーシア・オーストラリアで、
山形県産ワインの紹介イベント、奈良県産品フェア、徳島県産品フェアなど、
現地パートナーと協力して日本産品のPRに努めました。

弊社はイベント運営会社ではなく、あくまでそのような企画を考えてメーカー各社、
輸出入に携わる商社・輸入卸会社を繋いで定期的な輸出機会を創り出す役割を担っております。

そういった立場から、つい先週まで行っていたオーストラリアでの気づきをレポートしたいと思います。


■徳島県産品フェア、オーストラリア主要五都市で開催

オーストラリアの首都はキャンベラですが
ここは日本の東京のように政治・経済どちらも中枢を担っておらず
政治機能のみとのことで5都市に首都が含まれない、
という我々からは考えられないことなのですが、

実際にフェアを実施したのは、
シドニー・メルボルン・ブリスベン・ゴールドコースト・パースとなりました。

パースは私が20年前に住んでいたことがある街ですが、
当時から考えると日本産品フェアが行われるなど考えられないくらい小さな街でした。

私は今回の渡航でシドニー・、メルボルンの2都市で手伝いをしてきました。
今回はシドニーでのイベントの内容をシェアさせてもらいます。


■Tokyo Mart(シドニー)での試食販売

シドニー中心部から車で30分ほど離れた郊外のショッピングセンター内の一角、
日本のコンビニエンスストアの2-3倍くらいの敷地内に
所狭しと並ぶ日本食品・酒類・日用品の数々を見てまず感じたことが
その品ぞろえの充実ぶりと価格設定。

オーストラリアって日本の食品何でも入っちゃうの?
と思うくらい日本のスーパーとラインアップほぼ変わらないこと、
そして値段は日本の売価の倍ほど。

倍と聞くと皆さん『え?高?』と感じるでしょうが
オーストラリアの物価水準で考えると逆なのではと思います。

聞けばオーストラリア人の最低時給は日本円でおよそ3,000円。
週末働けば倍、祝日は3倍でクリスマスなど
特別な休暇では4倍出してもなかなか働き手が見つからないとか。

コロナ禍で日本からの学生やワーキングホリデービザ保持者が来なくなり、
その間日本語が話せる働き手を集めるのにかなり苦労したそうです。

そんな物価感ですから、今回試食販売した徳島県産の柚子もろみ味噌とすだちドレッシングは
まさに飛ぶように売れました。
驚いたことに1か月でギリギリ売り切れるだろうと見越して送った在庫が
1日でなくなるという事態・・・店長がホクホク顔だったのは言うまでもありません。

オーストラリア人は店側のお勧め商品は積極的にトライしてみるという好奇心が
他の国民より高いのではとのことでした。
Tokyo Martの客層は1日見ただけですが、
おおよそ現地人4割、日本人在住者3割、中華系3割、といったところでした。

この話を違うところで商売をしている食品・雑貨の輸入卸バイヤーにしたところ、
『え?いくらで販売してたの?』と聞かれたので
『7ドル』と答えると、
『Crazy!!私だったら25ドルで売るわよ。それでもかなり売れると思う』
と叫ばれました。
『うちとそこでは客層が違うしね。そんなに安く売ってそこのお店はちゃんと儲かってるのかしら?』
と心配されました・・・

彼女曰く、
『オーストラリアの物価水準は最低時給からもわかるように日本の3倍。
モノによってはもっと高いかも。
物価が高い分給料も高いから特に円安の日本の物はかなりお得感があるし、
オーストラリアで日本の物を買えない人ってそんなにいないと思うよ。
最近私の周りに日本に旅行する人かなり増えたしね。
ニセコと金沢が人気ね。京都は中国人しかいないって聞いてるので避けるようになってるね』
(だから小京都の金沢か、なるほど・・)

そしてもう一言。
『中さんはいつも東南アジアばっかり行ってるようだけど、
例えばベトナムあたりで日本の物を買える所得層って
全体の何パーセントだと思う?(おそらく数パーセント)
オーストラリアは逆よ。
日本の物を買えない人の方が少ないから約2600万人のほとんどが
購買人口と考えてもいいんじゃないかな。
今年は東南アジアに行く分、オーストラリアとニュージーランドに回したらどう?』

確かに、試食イベントをしていて価格を聞かれて
『高いね』とは1度も言われませんでした。

この後のメルボルンでもシドニー以上の光景を目にしたのですが、
その話はまた別の機会に・・・


アジア、オセアニア地域の食品輸出に関心がある
メーカー、商社の方はご遠慮なくご相談ください。


株式会社KM International
中 正宏(代表取締役)
Mail: jasvi0918@gmail.com

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