こんにちは、グローカルセンターインターン生のみぞです🐶
2024年8月24日に、ラーニングイノベーションプログラムの参加型ワークショップ①を実施しました。
このプログラムでは、高校生、大学生、社会人の垣根を超えた多様な背景を持つ参加者が、月1回程度×6ヵ月間のプログラムで相互に学び合い、共創・実践する機会を通して、「学ぶ力」、「学びをデザインする力」を身につけます。公益財団法人トヨタ財団2023年度イニシアティブプログラムから助成を受けて実施しています。
▼キックオフの様子はこちら▼
本プログラムでは、キックオフの後、ゲスト講師を交えた参加型ワークショップが3回続きます。今回は、その第1回目で、同志社女子大学名誉教授、ネオミュージアム館長の上田 信行 先生をお招きしました。
上田先生は、セントラルミシガン大学大学院や、ハーバード大学教育大学院での研究・実践の経験を経て、「PLAYFUL(プレイフル)」をコンセプトに先進的かつ独創的な学び・働く場づくり、ワークショップを数多く実施されています。ご専門は、教育工学で、学習環境のデザインです。
自分たちで学びの「空間」を作る〜新聞の森〜
まず、全体でワークショップを始める前に、参加者みんなで「新聞の森」を作りました。音楽に乗りながら新聞を短冊状にちぎって、室内に張り巡らされたタコ糸にかけ、"森"を作っていきます。
START!
皆で作った「新聞の森」とともに、ワークショップが始まります。参加者の緊張もほぐれてリラックスした状態でのスタートとなりました。
まずは、呼ばれたい名前や、今の気持ち、今日期待していることを一人ずつ話してもらう時間(チェックイン)を設けました。チェックインでは、前回作成したコミュニティボールをトーキングオブジェとして活用しました。
チェックインを終えた後は、前回のワークショップで学んだことを振り返り、今回のワークショップの目的を全員で共有しました。
続いて、上田先生からのイントロダクションに移りました。
▼予測不能な時代で未来を予測するには
▼「プレイフル」ってなに?
▼もっとメチャクチャにしよう!
続いて、保育園の子供たちが新聞の森を作っている動画を見ました。
当日のワークショップは、与えられた空間でワークショップをするのではなく、自分たちで作った場でワークショップをすることを実際に体験しながら行いました。
▼プロッキーペンを使ってみよう
自分たちで作った「学びの空間」で行った最初のワークショップは、プロッキーペンを用いた、モンドリアン風絵画の合作です!音楽に乗りながら、皆で1枚の長い紙に縦と横の直線を描き、生まれた四角形を塗りつぶしていきます。
モンドリアン風絵画の合作を終えた後は、ペアになって感想を交換しながら鑑賞を行う「参加型鑑賞法」を用いて鑑賞しました。
レゴブロックを学びの道具に変える〜天井まで届くタワーを作ろう〜
続いて、新聞の森の空間で、レゴタワーを作りました。音楽に乗りながら、やることは簡単。「天井までの高いレゴのタワー」を作ることです。
レゴタワーの作成は案外難しく、どのチームも必ず途中で崩れたり、倒れます。そのたびに上田先生は「大丈夫、また、やり直せばいい」と声をかけます。その中で、参加者の皆さんは、「失敗しても、またやり直せばいい」という
「困難をしなやかに乗り越え回復する力(レジリエンス)」が高まっていきます。
タワーが完成したチームは、他チームのお手伝いや応援にまわり、全チームで天井まで届くタワーの完成を目指します。
全チームが天井まで届くレゴタワーを完成させることができました。
学習環境デザインって何だろう
新聞の森、モンドリアン風絵画、レゴタワーのアクティビティが終了した後に、サークルに戻り、上田先生からの解説がありました。
▼「学習環境をデザインする」
続いて、紙でできた立方体の展開図をもとにキューブを組み立て、そのキューブのある一面に「現在、自分の人生を全力で楽しんでる度」が何%か書き込むワークを実施しました。
数字(What)ではなく、なぜその数字なのか(Why)を考えながら書く。そしてどうすれば全力で人生を楽しめるのか(How)を考えてみる。
そしてその内容を2人1組のペアになって共有しました。
▼アクティビティを動画で振り返る
インターン生のベルくんが、当日のアクティビティを撮影し、ダイジェストを三分程度の動画(=リアルタイムビデオ)にまとめてくれました。
感想
▼参加者の感想(総合コンサルティング会社 人事部 土井孝允さん)
本気になること、夢中になれることに取り組めば、人は自然に自ら学ぶようになる。その対象は人によって違うから、「何か気になる」とか、「やってみたい」とか思ったときに、自然と試してみたり深めていったりすることができる環境や活動を、コッソリ仕掛けるのが大事なのだなという気がする。やらない言い訳や、やらせない言い訳を減らすということかもしれない。
活動の中で何が起こるかなんて誰にもわからないのに、結果をコントロールしようとするための制度ばかりを作るから、本気から生まれる本気の学びが生まれづらい環境になる。教えよう、育てよう、導こうとあれこれ制限するのではなく、それぞれが本気になって没頭できる環境や活動とはどういうものなのかを考えるのが大事なのだろうと感じた。
ただ、学校や企業では、「これを学ばせるべし」と求められる制約があるため、通常の人材開発や学校教育の中ではこのアプローチは取りづらい。新しい価値の探索・実現を目的にした、新規事業開発のような活動に親和性が高いのではないか。不確実な中でもモチベーション高く自律的に、他者と協調しながら探索することが重要なため、そうしたチームの働き方を設計する考え方としてとても有効だと思う。
▼インターン生みぞの感想
今回のワークショップで印象に残っていることは「夢中になること」についての話題です。「楽しみたい」というピュアな動機が原動力でいいんだ、ということを再確認できた気がします。「誰かのため/社会のために行動する」というと聞こえはいいのですが、他者が主語になると、やっていることがどんどんと他人事になっていくように感じることってありませんか?なぜ自分がこれをやっているんだろうって。
「誰かに褒めてもらえると自分が嬉しいから」「自分が楽しい社会をつくりたから」「自分が夢中になっているから」と、どこまでも自分に軸を置いていないと、どんどんと目の前のことが自分から離れていってしまう。けれども自分勝手に進めていくんじゃなくて、まわりを巻き込んで、あるいは巻き込まれて、主語を「私たち」にしていく。それだけで、世界は少しずつ変わっていくんだろうなという希望を持つことができました。
「本気で夢中になる」って、子供のころの私たちは自然にできていたことなのに、年を重ねていくと「これをやって何になるんだろう」「こんなことしてて大丈夫なのかな」と、足が竦んでチャレンジに躊躇する場面が増えたように思います。理屈で武装して、自分を守ろうとするんです。だけれども、そういう武装を捨てて、ある時はリスクを覚悟しながら(ドキドキしながら)、ありのままの自分で、目の前のことに全身全霊で楽しんで取り組むということが、私たちが持っていたはずの、一番初めのピュアな心なんですよね。そんなピュアな心を思い出しながら、色んな場面で一歩踏み出してみようと思います💪
長文となりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
執筆者
グローカルセンターインターン生
溝川彩夏