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西成サービスハブ小林大悟さんへのヒアリングー西成から見えたことー

初めまして!PTC_TOYOTAプロジェクトの新メンバーのサヤです。
(私たちの、これまでの活動はコチラです。)

今回は貧困に焦点を当てて6/11(土)に大阪の釜ヶ崎市にある西成区に赴き、支援活動をされている小林大悟さんにお話を聞いてきました。

私たちが肌で感じたことをお届けします!

<小林大悟さんについて>
小林さんは現在NPO法人釜ヶ崎支援機構の事務局長補佐、広報責任者の他、あいりん地域まちづくり会議委員としてまちづくりに関わったり、釜ヶ崎の町案内をするなどソーシャルワーカーとして幅広く活動されています。
自身が18歳の頃に釜ヶ崎でボランティア活動を始めた経験が現在のホームレス状態の方々の支援活動に繋がっています。日々の活動についてのドキュメンタリーです

▽小林大悟さんの詳しい活動についてはこちらをご覧ください。
https://note.com/daigo_nishinari/n/n4c2e3a7e1608

(ひと花センター)

<西成から見る最近の貧困>

近年は絶対的な貧困は減少している一方、相対的な貧困は高い水準にあります。また、地域コミュニティの希薄化、インターネットの普及などにより困窮状況に気づいてくれる人がいない、相談できる人がいないなどの弊害が起こり貧困の点在化、潜在化が進んでいます。そんな中、西成では未だ困窮状態、ホームレス状態の人がたくさん集まることから状況や問題が可視化されやすく、多様な支援の充実に繋がることが西成の支援の強みと言えます。

〈内から見る西成と外から見る西成〉

Q.西成とされる場所を歩いていると、想像以上にゴミの収集や清掃作業がされている場所が多く、ホームレス街というイメージと全く異なっていました。また、居酒屋が連立し賑やかな商店街やホテルが連立している所などもあって、西成も「ホームレスの街と一言で語り切れない街」だと印象を持ちました。

A.実際にホームレスが集住している地域というイメージは、あいりん地区(現在は釜ヶ崎)といわれる一部の地域のことで、メディアで取り上げられる西成の地域と現実は異なると感じています。また、ホームレスが町中にたくさん居住しているイメージや過激な暴動が多発していたイメージなども数十年前の話で、現在のイメージとは異なります。しかし、現在でもそのようなイメージを持ち続けている人が多いのは事実ですね。

<生活保護自給制度について>

Q.現在、生活保護は多くの方が受けられているのですか?
A.現在、全国的に生活保護は以前に比べて受けやすくなっており、2000年代と比べ生活保護自給者は増加しています。若者層の生活保護受給への抵抗も薄まっており、若者の受給者も増えています。

<小林さんから見た西成の課題>

Q.実際に西成で活動されている小林さんから見た現在西成が抱える課題は何だとお考えですか?
A.若者にあまり興味を持ってもらえていないことですかね。今は高齢者の方が多いけれど、今後を考えて若者にシフトした支援も考えていく必要があるかなと。実態の話が見えづらい若者への情報発信、若者にここに来たいと思ってもらえるサービス作りに力を入れていきたいです。

(今年の4月に新今宮駅高架下の市有地にオープンした、新たなおもてなし・にぎわいづくりの拠点となる施設「さんかくち」)

<小林さんの支援スタイル>

Q.小林さんが支援活動をされる中で意識されていることはありますか?
A.釜ヶ崎は貧困といった面で日本のゴールキーパー的役割なんです。
私たちがやることはホームレス状態の方々に選択肢を提示し続けることです。彼らも1人間であり当たり前ですが選択権は相談に来た人たちにある、僕らが提示したカードを引くのは相談者さん自身なんです。だからなるべく選べる選択肢が増やそうという意識で日々活動しています。

<小林さんの見る10年後の西成>

「現実的なゴールで言えば今の釜ヶ崎の力(社会資源、包摂性)を次の世代に繋いでいくこと。それぞれの団体が本当に必要な活動をしているので安定的、継続的な活動を続けるための力をつけること。そのためにはお金も必要だと思います。大きく言えば西成という場所を一種伝統工芸のような形で社会資源としてここを残したいです。そのためにも、今まで積み重ねてきた包摂性や技術を活かして今のニーズに応えられるようにシフトしていきたいです。」

(2022年4月22日に新今宮にオープンした星野リゾート)

▽読売新聞 小林さんのコメントも

<プロジェクトメンバーの気づき-よくしていくとは何か->

小林さんのお話を受けて1番考えたことは「よくしていくってどういうことなのだろう」ということです。小林さんの話されたことで最も印象的なのが「街の中でスーツを着て働いている人はほとんどでいなくて、ここだから働いて胸張って生きていける人がいる。」というお話でした。私は、小林さんにお話を聞くまでゴミが落ちていれば拾えばより良いし、治安が悪ければ警察などの外の力を借りて良くしていけば良い、それが現状を良くしていくということだと考えてきました。お話を聞いていなければ西成だから胸を張って生きていける人がいるなんておそらくこの先も考えもしなかったと思うし、いつも私が考えているよくしていくはどの立場から、誰にとっての、何を持ってのよく、なのか、明らかにして考えられていなかったと思い返すきっかけになりました。また、経験に基づく憶測、判断が貧困へのイメージを作ると考えるとなお、支援する側は一方向からの目では足りないのだと感じます。小林さんの「完全悪はない」という言葉も、町内会の人、商売の人、支援団体の人、いわゆるホームレス状態の人、区役所の人、西成を取り巻くさまざまな人と関係性を築いてこられたからこその言葉だと思いました。今回のヒアリングを受けてどこまで行っても自分目線で考えないこと、「よくしていく」など言葉の裏側を考えることの難しさと必要性を痛感しました。


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