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「指差すということ」

かつて老人ホームで働いていた頃、一人の女性入居者から、深い教えを受けたことがあった。

「私を指差してごらんなさい」と、彼女は静かに語りかけた。

私は彼女を指さし、その手先を見つめた。

「今度は自分自身の手を見てみて。」と、彼女は続けた。

私は自分の手を見つめた。すると、中指、薬指、小指が私に向けられていた。

「一人を指さすということは、三本の指があなたに向けられていることになるのですよ。」と、彼女は教えてくれた。

「指差すことは、悪口を言うことと同じ。相手を傷つけ、自分自身も傷つけてしまいます。」と、彼女は言いました。

誰かを指差して馬鹿にすることは、相手を傷つけるだけでなく、自分自身を傷つけることにもなることを教えてくれたのです。

「指を差すことはやめましょう。3本の指は自分自身を向いていますから。」と、彼女は優しく微笑みました。

その言葉は私の心に深く刻まれ、私は彼女の教えに感謝したのでした。自分自身を向き合い、努力することこそが、人としての成長と向上につながることを、彼女から学び取ったのです。

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