深く「読む」技術  1

§01 外国語を習得する際の自分の保ち方
冒頭から身の保ち方の問題が出てきますね。12ページの小見出しの下にある2行です。
ドイツ語とは異質の言語である日本語を学んでいるうちに自分が変わってきていることに、学生たちが気づいていないのです。」とあります。
一度読んでください。次にドイツ語を英語に変えて、自分ならどうだろうと考えてみてください。
中学生なら新しい言語を学ぶことで嬉しくてしかたがない人がいるでしょう。逆に、なんで英語なんか勉強するんだよう。英語なんて一生のうちでも使う機会なんて無いほうが多いじゃん。

こんな反応が典型的なのかもしれません。でもこれは自分の保ち方とは関係がありませんね。
日本の場合、そのまま高校まで英語の授業が続き、その先に受験があるので、外国語を習得する際の自分の身の保ち方を考える余裕はないかもしれません。
とすると、その身の保ち方に気づくのは大学に入ってからのことになるでしょう。それでも高校までにヨーロッパ系の言語を一つ勉強していたということは大学での外国語の勉強に役立つはずです。

でも、それも身の持ち方とはあまり関係がないかもしれません。私の本では、同じ小見出しの下の最後から3行目から最後までが身の持ち方にずばり関係します。引用します。
上級の学年になるほど、この変化に気づいていない。上級にいけば、言葉ではなく文学や仏教思想を学んでいるのだから、もっと自分が変わっているはずなのに、それに気づいていない。」
わけがわからない。それで助手に理由を訊いてみたところ「ドイツ人は一般に変わることを望まない」という返答でした。
これも要領を得ない。
この返答にも私は納得しませんでしたが、みなさんはどう思いますか。意見があったら、お寄せください。

                 NPO法人日本論文教育センターGlobe
                 代表理事     今野 雅方


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