【根が深い】陰謀論と精神世界・スピリチュアル。コンスピリチュアリティ
Abstract
現在ネットを中心に反ワクチンのひどいデマが流行っています。
この反ワクチンデマを垂れ流す人達のSNSアカウントなどを見ると、陰謀論やスピリチュアル(精神世界)に関する言説が多いです。
これら反ワクチンの根拠にあるのは、決してサイエンスではなくて「信仰」であり、陰謀論とスピリチュアルがごちゃまぜになったものだと考えています。
そしてこれに関してはコンスピリチュアリティ(陰謀論+スピリチュアル)という指摘があるようです。
現在のこのコンスピリチュアリティはQアノン系の陰謀論の影響が大きいとされます。
現在のこのコンスピリチュアリティの絡む異様な事態の素地は、昔から欧米、日本に既にあったと私は考えています。
反ワクチンの根拠
今現在 反ワクチンの主張がSNSを中心にかなり出回っています。
反ワクチンを主張する人の中には、しっかりとした科学的・医学的な考察を重視する人もいるのかもしれません(いるのかどうか私はよく分かりません。正直言うと、はたしてまともなサイエンスをベースにする反ワクチンの人がいるのかどうか怪しい)。
個人的な印象だと、サイエンスではなくて、何か違ったものを根拠にしている人達だらけのように感じます。
その根拠とはズバリ、陰謀論とスピリチュアル(精神世界系)です。他には偏った自然派やトンデモ医療系などもいるのですが、これらなんかもスピ系と絡み合ったりしています。
反ワクチンは「信仰」
多くの反ワクチンの人達は、実は反ワクチンを訴えてるのではなくて、その根っこにある陰謀論やスピリチュアルを訴えているように感じます。
つまり宗教的信念(信仰)です。
(まぁ、こういった人達だけではないとは思いますが、しかし反ワクチンの大きな集団だと感じます)
陰謀論スピリチュアルの情報がもし「ワクチンは神(高次元存在、正義の側の宇宙人、銀河連邦、大天使、龍神、瀬織津姫、、、、、、などなど)の導きによって開発された素晴らしいものだ。ワクチンによって闇の勢力の支配構造から脱することが光の勢力の計画だ。アセンション、大覚醒、緊急放送だ。夜明けは近い!」とあれば、「ファイザー元副社長」やエイズウイルス発見者がなんと言おうと、たとえ副反応だとされる画像や動画をテレグラムやBitTubeで見ても、「接種後に何人が死亡!!」といったニュースを見ても、ワクチン推進派になるような人達が多いと感じます。
信仰だからです。
なのでワクチンについて、陰謀論スピリチュアル信仰という背景を同じくしない場合には意思疎通が絶望的に難しいと感じます。
信仰とはそういうものです。
反ワクチンデマを真に受けていたり垂れ流す人達はスピリチュアルな言説も多いのではないでしょうか?
ヨガや瞑想、子宮系、チャネリング、スピ系量子力学、波動パワー、ヒーリングとかの人が多くないでしょうか?(私自身も瞑想系の十分にスピ系の人なのですが)
そのように感じませんか?
コンスピリチュアリティ(陰謀論+スピリチュアル)!?
なぜ精神世界(宗教、スピリチュアル、ニューエイジ、オカルト、自然派信仰など)と陰謀論は一緒くたになっているのでしょうか?
なぜ一緒くたになって反ワクチンをやっているのでしょうか?
よく分かりません。
しかし心理学的なものが関わっているだろうとは個人的に思います。一方を信じるような知的・精神的傾向、素質は、一方を信じることにも通じるのかもしれません。
精神世界と陰謀論の体系には似通ったものがあるのかもしれません。
実は以前から陰謀論とスピリチュアルはごちゃませになっているという指摘はあるようです。
コンスピリチュアリティ(conspirituality)というものです。少し前に知りました(conspiracy=陰謀)。
kazzhirockさん(Twitter)のブログ:あなたがあなたの救世主 より
記事:コンスピリチュアリティ - 「ニューエイジ」と「陰謀論」における「信念の重複」
noteのクリエイターのみつおさんの解説
反陰謀論#5コンスピリチュアリティとは何か?
ちびまる a.k.a 大仏, 雨宮純さん(Twitter)のスレッド
楽天ROOM:【本】コンスピ関連
コンスピリチュアリティは人間の性(さが)なのかもしれない。例えば反ユダヤの陰謀論
スピリチュアル、陰謀論そしてコンスピリチュアリティを生み出すのは、ひょっとすると人間の認知、思考、情動の傾向による性なのかもしれないと私は感じます。
人類の歴史を眺めると大昔からあったからです
例えば反ユダヤとそれに絡む陰謀論です。
反ユダヤ主義というのは政治的、経済的なものだけではなくて、明確に宗教的な要素もありました。
キリスト教の歴史を見れば分かるように、しばしば反ユダヤ主義は正当化されてきました。
マルティン・ルターにも過激な主張があります。例えば↓↓
この反ユダヤの歴史を見ると、これは非常に陰謀論と相性が良かったようです。
この人類史に残る最悪の事例がヒトラー・ナチスでした。
界隈では有名な悪名高い陰謀論偽書『ユダヤ議定書(シオン賢者の議定書)』というものがあります。
これも神智学の関係者など西洋オカルティストに支持されたようです。
日本でのコンスピリチュアリティ
日本でのコンスピリチュアリティ(陰謀論+スピリチュアル)の歴史は、私は現時点では全く詳しく調べてないのですが、明治時代には既に存在した、もしくは素地ができあがっていた、と考えています。
幕末黒船来航・明治以降に、欧米の脅威を目の当たりにして民族意識が高まり、その民族意識に刺激されたような(エスノセントリズムの要素のある)宗教(神道系新興宗教など)が誕生していったと認識しています。
たとえば「神示」「お筆先」といったのがある宗教です。
「欧米は金銭や物質のみを重視する体主霊従、我善しの悪の勢力」「日本は霊を根本とする霊主体従の霊(ひ)の国。世界の雛型、神の国。世界を救う使命がある」みたいな主張があったようです。
「西洋(ロシアを含む)の物質文明の背後には邪神、悪神がいて、神の国である霊(ひ)のもとの国・日本を虎視眈々と狙い様々な陰謀を企てている。しかし日本のまことの神が目覚めて、大峠(終末)を経て、日本も世界も救われる。三千世界の立て替え・立て直し・大洗濯。神一厘の仕組み」みたいな主張です。
これには欧米の物質的繁栄、科学文明、軍事力を目の当たりにして、脅威を感じ、かつ劣等コンプレックスも心理としてあると思われます。
今日の精神世界系の一部には、日本を霊的に特別視する思想がありますが、その起源の一つになっているようです。
参考:安倍昭恵夫人のスピリチュアルな言動に見る、右派も左派もスピと繋がるわけ
また現在でも「手かざし系」の神道系新興宗教がありますが、こういった宗教の源が明治時代の新興宗教にあったりします。
界隈では知る人も多い岡本天明の『日月神示』も思想的にはこの頃の宗教に連なるとされます。
現在では一部の反ワクチン陰謀論系の人達の中で『大日月神示』なるものが流行っているようですが。これについてはよく分かりません。
さらに明治以降にはユダヤ陰謀論も日本に輸入され、その影響も見られたようです。
大正時代には上述の『ユダヤ議定書』が伝わり、当時の宗教、精神世界界隈でも流行ったようです。
参考:日本における反ユダヤ主義
当時の日本の精神世界界隈ではユダヤ陰謀論を取り込んで「世界支配を企み、そして最後の砦である神の国、日本を狙う欧米の悪の勢力の中心がユダヤ(フリーメーソン、国際金融資本、およびその背後にいる悪神・邪神)」などという主張もあったようです。
(一方で日ユ同祖論のようなものもあり、これも精神世界に影響を与えていて少し複雑)
このコンスピリチュアリティ(ユダヤ陰謀論+精神世界)は戦後も界隈で影響力を発揮し続けます。
ちなみに日本でのユダヤ議定書や反ユダヤ主義について読むと「酒井勝軍」という人物が出てきます。トンデモ系偽書『竹内文書』関連でも有名な人です。十分にスピ系な人です。
凄惨な宗教テロを引き起こしたオウム真理教の教祖が宗教活動の初期の頃に酒井勝軍に少し影響を受けたようです。
このオウムも陰謀論の団体でした。
概観すると明治・大正時代というのは、日本の精神世界(スピ系)のカンブリア紀(カンブリア爆発)のような時期だったのかもしれません。
そしてこの時期にユダヤ陰謀論は精神世界に影響していました。(もちろん全ての精神世界関係が陰謀論を取り込んだわけではありません。取り込んだ人物、団体があったというだけです)
欧米由来の宗教、オカルト、スピリチュアリズムが流入した影響もあり雨後の筍のように、新興宗教、霊学、霊術(ヒーリングなど)諸派が誕生しました。
多くは絶滅しましたが、今なお影響力があったり、他のものに変貌を遂げたり、取り込まれたりもあります。
有名な手かざしヒーリングのレイキもこの時代に誕生しました。
マクロビオティックもこの頃です。
合気道の創始者、植芝盛平もかなり宗教的な人物でした。
中村天風もこの時代を生き抜いた人です。
Qアノン反ワクチン陰謀論を受け入れる素地はあった
ワクチン忌避自体は大昔からありました。
ファクトチェックなど↓↓
現在の異様な反ワクチンデマへの大きな影響力の一つがQアノン系の陰謀論勢力だという見解があります。
そしてこの反ワクチンデマ・陰謀論勢力に関してコンスピリチュアリティが指摘されています。
この現在のコンスピリチュアリティの事態を受け入れる素地は、見てきた通り、コロナ禍以前から、ずっと前から欧米にも日本にも既にあったと考えています(目立つのがユダヤ、フリーメーソン、イルミナティ、国際金融資本の陰謀論+精神世界)。
関連note:陰謀論デマの悲劇↓↓