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営業をマーケティングの最大の理解者にするポイント

こんにちは、神田です。
先日、アドビ社と一緒にMarkeZine Day(マーケジン・デイ)のイベントに登壇しました。

どうやら営業とマーケティングの連携に課題を抱えている企業が多く、「営業をマーケティングの最大の理解者にするポイント」というテーマでGLナビゲーションの取り組みを話して欲しいということでしたので、この1年半の営業DXの取り組みやぶつかった課題、特に営業とマーケティングの対立について、包み隠さず話してきました。

今回は、イベントでは語りきれなかった部分を含めて、当社が考えている「営業とマーケティングのあるべき姿」について書いていきます。

営業DXの取り組みについては、以下記事にも詳しく書いています。

営業とマーケティングのあるべき姿

まず、当社が考える営業とマーケティングのあるべき姿についてです。

以前は、営業・マーケティングチームがそれぞれ考えていることや取り組みの背景などが共有されないことが多く、お互いの意思疎通が図れないまま施策だけが実行されてしまうケースが多かったと思っています。

マーケティングは、受注金額や受注率、顧客セグメントなどのデータで顧客を理解した上で施策を考えるチームです。対して営業は、顧客1人1人と向き合い、案件1つ1つを理解した上で、進め方をプランニングするチームです。

データをもとにマーケティングが意思決定したことが営業に伝わっていなかったり、逆に営業が欲しい手助けをマーケティングチームが理解してくれなかったりといったすれ違いはよく起きることです。

当社の場合、ブラックボックスになっていた部分を解消するために、営業とマーケティングの仲介役としてインサイドセールスを置いています。第3者であるインサイドセールスが双方の橋渡し的な動きをすることで、マーケティングと営業の双方が合意した施策をとることができます。

グロースの要(営業とマーケティングのあるべき姿)

営業とマーケティングの橋渡しとなるインサイドセールス

インサイドセールスの動きについて、いくつか具体的な例を出してみます。

マーケティング主導の施策としてデータを元に面談を行ったものの、決定率が低いという結果が出たとします。その場合、なぜ決定率が低いのか、決定率を上げるためにどうすれば良いのかを、インサイドセールスに相談します。

インサイドセールスは、普段営業と話をしている中で「面談時のスキルミスマッチが多くなかなか決定に繋がらない」という情報を得ており、マーケティングにフィードバックして打開策を打ち出すことができます。

当社の場合、営業に即送客するのではなく、スキルアンマッチを減らすために、インサイドセールスもしくは営業が10分面談を行います。「これならスキル要件を満たせる」、「この顧客であれば確実に決裁権があるので前に進められる」といった見極めを行った上で、面談を組むかどうか判断します。

また、営業主導の施策として、「予算がない」という理由でメールに反応する顧客が少ないという課題を感じている場合、同様にインサイドセールスに相談します。インサイドセールスはその情報をマーケティングにフィードバックし、一旦予算を非表示にする、もしくはレンジを設けてのメール配信に変更します。

「予算がない」という理由でメールに反応しなかった顧客が反応するようになれば、どれくらいの予算であれば検討可能なのか、インサイドセールスが顧客のインサイトをヒアリングすることができます。

その情報をもとに、顧客の予算に合わせて金額を下げることができるのか、社内で交渉するという選択肢も選べます。埋もれていた案件を浮き彫りにし、可能性を拾っていくことができるようになるのです。

マーケティングと営業という2チームだと、それぞれのグループで立場が分かれてしまい、対立構造になりがちです。第3者視点を持つインサイドセールスというポジションを設けることによって、両者の意思疎通がスムーズになり、各チームが全体の戦術や方針にあった動きをすることができます。

インサイドセールスのみが持つ視点

インサイドセールスのみが見えている視点も重要です。例えば、顧客の初期反応や検討に進まない理由、担当営業に対してどう思っているのか、マーケティングから送っているメールのイメージなど、インサイドセールスのポジションであれば、顧客から拾い上げることができます。

マーケティング、営業、顧客の3方向を見ながら、どういう状態が最適か、どんな施策を打つべきかを考えて、社内に還元するという重要な役割を果たしているのが、弊社のインサイドセールスです。

インサイドセールスは、マーケティング、営業のそれぞれのチームがどのような視点で顧客に向き合っているかを理解・共感し、それをシステム、オペレーション、コミュニケーションの力で解決することが重要なミッションです。

ここからは、具体的に各チームの視点での顧客理解の方法をご紹介します。

マーケティングによるAccount Basedな顧客理解

マーケティングは、データに基づいてどの領域が一番収益貢献が高いのか把握します。当社の場合、注力テーマに合致しているSIerかそうでないか、コンサルファームなのか、エンドユーザーなのかという顧客属性と従業員数でセグメントを分けた分析を行っています。

エンドユーザーはもちろん、SIerの中でも従業員1,000名以上の大企業、コンサルファーム(プライム)の中でも従業員1,000名以上の企業が売上貢献度と決定率がともに高い結果となっています。

生産性が高く売上貢献度が高い領域を「Tier1(優先度1)」と置いており、マーケティングチームは、これらの領域に対して優先して営業リソースを投下することを考えています。

マーケティングによるAccount Basedな優先度付け

営業によるPerson(Opportunity) Basedな顧客理解

営業はマーケティングのようなデータによる大局理解というよりも、関係性や決定権、その案件の緊急度や予算といった案件や担当者といったPersonベースで考えていることが多いかと思います。

例えば、関係性であれば、当社で提案枠をもらっていたり、週次の定例面接会を設けてもらい、その日程に合わせてコンサルタントを紹介する状態になっているかといった要素が関わってきます。

また、決定権の有無や決定における影響力の有無、月内に決めたいのか、3ヶ月以内に決めたいのかといったタイムラインなどを営業は気にしながらリソースを優先的に投下する注力案件を決めたり、動き方をプランニングしていきます。

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当社営業の場合、図の青枠に当てはまれば「この要素はある程度満たしている」と判断し、また満たされていない要素を埋めるための活動を行います。
例えば案件Aであれば、全て青枠の中に当てはまった場合、かなり確度が高いので即面談を組みにいきます。

案件Bの場合は、決定権があって緊急度も高いもののまだ関係性ができていません。そのため、まずは関係構築を行って、定例の枠を設ける、あるいは提案枠をいただけるように動きます。

案件Cに関しては、関係性ができているだけで、まだニーズがあるかどうか分かりません。まずは、注力しているプロパー人材をご提案してニーズを発掘しに行くことになります。

Account and Person Based Management(APBM)

データによって大局の理解を図るマーケティングと、案件や人を深掘りして理解を進める営業は、それぞれマクロ的なアプローチとミクロ的なアプローチに分かれています。そのため、それぞれが考えていることが分断されがちになると考えています。

当社の場合、インサイドセールスが両者の橋渡しをすることで、2つのチームがしっかりと連動するような体制を整えています。かつ、属人化させるのではなくSalesforceというシステムで優先度や案件情報を可視化、インサイドセールスや営業に共有しています。

造語ですが、この両方チームの視点を組み合わせた顧客管理の手法を「Account and Person Based Management(APBM)」と呼んでいます。

いまはどの案件に注力すべきなのか、該当の案件の中の誰にあたるのが良いのかを、システム上で明確にすることで、マーケティング・営業のチームの動きをちぐはぐにせず、組織として優先度の高い領域にすべてのチームがリソースを割くことができるようになっています。

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Salesforceを活用したイネーブルメント施策

また、インサイドセールス(人)による仕組み化だけではなく、Salesforce(システム)を活用することで、未経験でも若手でも、誰でも早期にパフォーマンスを出すことができるようなデータマネジメントとイネーブルメント施策を行っています。

例えば、Win/Loss分析では、営業ごとに失注理由・受注理由を明確にすることによって、受注に必要な共通項を浮き彫りにすることが可能です。それを他の営業チームのメンバーに浸透させ、1人あたりの受注率を高め、結果的に営業組織のパフォーマンスの底上げに繋げます。

Salesforceを活用したEnablement施策

本記事のまとめ

色々書きましたが、まとめると以下3つとなります。

・営業の理解を得る = 営業の御用聞きではなく、マーケティングは営業のパフォーマンスを更に高めるための指揮者

・マーケティングだけだと営業連携が難しいため、第三者的な視点で営業と伴走するインサイドセールスが不可欠

・ナレッジの蓄積・浸透・進化させるため、マーケティング思考を持ったインサイドセールスの育成、システム導入による活動の最適化

少しでも弊社の取り組みが他企業様の参考になれば幸いです。

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