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歓声も罵声も飲み込んで


2024年5月13日
リーグ最高勝率の51勝9敗、東地区優勝を飾った宇都宮ブレックスの今シーズンが終わった。

21-22シーズンでブレックスはワイルドカード1位ながらCSで怒涛の快進撃を見せ、日本一を獲った。22-23シーズンは前年度チャンピオンという重い重いプレッシャーを背負い続け、CSへの切符を手にすることができなかった。これはBリーグ始まって以来チームとして初めての出来事だった。そして今年23-24シーズン。
例年通りであれば開幕前に掲げられた目標の一つに“日本一”があるはずだった。
もちろん口にする選手もいたが、それよりも“チャレンジャーの気持ちを持って戦う”がメインテーマだっただろう。

正直悔しかった。優勝が目標だと言い切ってくれないのが。
だってB1にいる以上、目標は“王者奪還”しかないしその気持ちで応援してたから。

そんな複雑な心境で迎えた今シーズン。
開幕ホーム開催2連勝から始まり、結果として51勝9敗という素晴らしいレギュラーシーズンを過ごした。

去年から1シーズン通してブレックスを応援するようになった私はとにかく楽しかった。
わたしが一昨年もっと早くから応援したかったと憧れ続けた強いブレックスを応援できたから。
毎試合一喜一憂して、笑ったり泣いたり叫んだりたまにどん底まで落ち込んだりするのが楽しかった。
勝っても負けても楽しませてくれた。

去年あれほど強いブレックスを見たかった理由が“勝っても負けても楽しい”と思いたかったからなんだと気づいた。
9敗全てどのような試合展開で誰が調子が良くて、誰が調子が悪くて、何がきっかけで崩れていったのか、全て覚えているくらい、心の底から悔しいと思えることさえ楽しかった。(昨シーズンは負けすぎてて負けることに対して悔しいと思わなくなっていったのも事実だし)

何より今シーズン、鵤誠司さんのファンとして試合を見にいくことが出来た。
箱推しだった自分にとって会場で“18”のユニを着て、鵤誠司さんのタオルを掲げて応援することが、彼の一挙手一足頭に心を奪われ、夢中になって応援できることが、こんなに楽しいとは知らなかった。
1人観戦ばかりのわたしに、「18のコレ出たんですがいりますか?」と声かけてくれる方だってひとりやふたりじゃなかった。
鵤誠司さんやブレックスを好きなことを通じて仲良くなれた人もいた。

確かに今年の鵤誠司さんはスタッツは残らなかったかもしれない、今年はパッとしなかったって言われるかもしれない。
それでも彼がいなかったらブレックスのバスケットが成立しないことだって好きになったから気づくことが出来たし誇ることが出来ている。
もう一度彼のことを見つけられて、本当に良かったし応援できることって幸せなんだと何回も思わせてくれた。
バスケットが面白いって2回も気づかせてくれて、ありがとう。

「これだけのメンバーが揃っていて」とか「強いのはレギュラーシーズンだけ」とか色々な心無い言葉が飛び交うだろう。
今のメンタルではどうも目に入れたくない言葉たちではあるが、それは今年強かったから言われることだと分かっている。
ブレックスを気にかけてくれているから、熱量の差は違えど見てくれているから、勝つことに期待しているから、批判したくなるんだろう。
それだけの人に期待されたシーズンだったってことだろう。
興味のないチームに対しては批判も賞賛も生じないものだから。

CSでの戦いは、短かったかもしれない。
CSに進むということは最後に笑ってシーズンを終えるチームは優勝した1チームしかないってことも覚悟だってしてた。
だからこそ優勝して欲しかったし最後に笑っているチームがブレックスだと信じていた。


それでも私は、私達は、最後の最後まで挑み続け、足がもつれてもドリブルが手につかなくなっても彼らが最後まで前を見続けてくれたのを見てしまったから、彼らのことを誇りに思わざるをえないだろう。

最後の最後まで戦い続けてくれて、今シーズンとにかく楽しかったと思わせてくれて、最高勝率、東地区優勝の景色を一緒に見せてもらって、本当に本当にありがとう。

もうこのメンバーのブレックスで戦うことは無いとしても、根底にある“BREX NATION”は変わらない。
ブレックスに居た、という事実も変わらない。
クラブの連勝記録を伸ばしたシーズンのメンバーだということも変わらない。
全て私たちファンが覚えてたらいいから。
周りがどんなに忘れ去ろうとも、ファンだけがずっと覚え続けている限り永遠だから。

でもやっぱり、悔しいし、寂しいね。
それよりやっぱりありがとうしか出てこないや。

今シーズンお疲れ様。色んな景色を見せてくれてありがとう。
あなたたちはファンのことを“誇り”と表現するけれど、そのままそっくり返します。私たちにとってブレックスは誇りです。


また来年、日本一に向けて一緒に戦わせてください。


2024.5/15

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