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黄色が似合う男たちへ


宇都宮ブレックスという組織が好きだ。
今いる選手やスタッフは勿論、ブレックスに今まで関わってきた人たち全てが好きだ。

それは強いからじゃない。
日本一を経験しているからじゃない。
繊細で内向的な彼らが心の中で闘志を燃やしながら泥臭くありのままでブレックスというチームの勝利にこだわってくれるからだ。

ブレックスらしさ、とはなんだろうか。
戦術やプレーの傾向はさておいてブレックスらしさとは泥臭くチャレンジャーの気持ちを持ってプレーをすることではないか。

現在東地区1位、勝率は3地区でみてもどのチームよりも高い。
それなのに、誰一人としてその事実に胡座をかいていない。誰一人としてこの成績で日本一が取れるとは思っていない。
それは今までのCS出場経験によるものも勿論あるだろう。
だがそれだけだろうか。
ブレックスは内向的で内弁慶な選手が多い。
選手たち本人が、最悪の結果を常に予測し、そうならないために戦っているようにみえる。
これはネガティヴな意味ではなく、最悪の結果にならないために全力で今できることを全うする、という姿勢である。
彼らの最終目標は日本一だ。日本一じゃなければ、彼らにとっては意味がないのだ。
それは今シーズン誰も口には出してこなかったが、心の底では同じように思っていただろう。

昨年、Bリーグになって初めてCSを逃した。
もしかしたらそれまでの彼らは自分たちはCSを逃すチームではないという慢心があったかもしれない。
シーズン終わり、彼らは“不甲斐ない結果で終わってしまった”と口々に話した。誰も来シーズン日本一に向けて戦います、とは言わなかった。

そこから一年、去年いたメンバーの心の奥底にあるのは去年CSを逃した悔しさだろう。
この悔しさが原動力となり、去年足りなかった部分を冷静に分析し、チームに還元しているからこそ今年の成績があるのだと思う。
だから誰も今の成績で満足なんかしていない。常に前を向いて今ある試合を勝つことに必死なのだ。足元を掬われるのは一瞬だと痛いほど理解しているから。

いつだって、彼らは私たちにありのままを見せてくれている。
仲間のプレーで飛び跳ね、大声をだして歓喜する姿を見せてくれる。
劣勢の時にはベンチから声を出して鼓舞する姿を見せてくれる。
勝った試合後のインタビューでは喜びを全身で表現し、嬉しそうに試合内容について語り、力強い眼差しで次節に向けての抱負を語る。
負けた試合後のインタビューでは悔しさを滲ませ、敗因を分析し、闘志を燃やした眼差しで次節について語る。
時には前節の負けを引きずり、敗戦してしまったこともある。

良くも悪くも人間らしいのだ。
そんな人間らしく完璧ではないブレックスが好きなのだ。

うちのチームには
劣勢でもどれだけ点差が離れてもベンチで声を出し続けコートに立つ選手を鼓舞し続け、選手の精神的支柱になっている田臥勇太がいる。
ロスター外になることが多い中で、ベンチでは人一倍声を出し、試合に出た時はハングリー精神を遺憾なく発揮してくれる四家魅人がいる。
絶対的エースの重圧がありながら、エースとしての自覚と仲間への信頼を持ちコート上で輝き続ける比江島慎がいる。
大学でプレーをする選択を蹴りブレックスでアグレッシブに戦い、流れを変える力を持っている小川敦也がいる。
下部組織からの叩き上げでブレックスの戦い方を熟知し、泥臭さを体現し戦い続け、背中で仲間を引っ張る遠藤祐亮がいる。
日本人ビッグマン第一人者でありながら過去の功績に胡座をかくことなくコート上では謙虚に自分の仕事を全うし続ける竹内公輔がいる。
ルーキーとは思えない強心臓で相手に怯むことなくぶつかっていき、泥臭くアグレッシブに戦うことができる高島紳司がいる。
仲間のために全力で戦い、喜怒哀楽全てをコート上でぶつけてくれる、仲間思いで誰よりもブレックスで戦うことに誇りを持っている渡邉裕規がいる。
荒削りな部分はあれど一年間の練習生期間を経て勝ち取ったプロ契約に甘んずることなく、日々成長する姿を見せてくれる村岸航がいる。
冷静沈着で自分に与えられた役割を理解し、仲間の力を信じ、勝つことにこだわり続けてくれる鵤誠司がいる。
大エースでありながらも謙虚さは忘れず、苦しい時にここぞという場面で試合の流れをもぎ取り「優勝するためにここにきた」と語るDJニュービルがいる。
コート上ではどんな相手だろうと怯むことなく当たり続け、自分の持つ100%の力を毎試合見せてくれるグラントジェレットがいる。
勝つことに対しての豊富な経験値があるにも関わらず自己のプレーに満足することなくどんな時でも走り続けてくれるギャビンエドワーズがいる。
積極的に攻めつづけ、ゴール下では時に仲間のミスをカバーし果敢に情熱的に戦い続けてくれるアイザックフォトゥがいる。

誰よりもブレックスとファンの力を信じ、時にはきつい言葉で指示を送り、理不尽なことに対しては激昂し勝利した時には真っ先にファンへの感謝を述べてくれる佐々宣央がいる。

選手一人一人の個性や性格を理解し、身体的にも精神的にも支え続けてくれ、共に全力で笑い、悔しがり、時には一緒になってふざけながら、共に戦い続けてくれるスタッフがいる。

そして今までブレックスの歴史を刻み続けてくれた選手やスタッフが大勢いる。


ブレックスにはみんなが同じ方向を向いてたった一つの“日本一”という目標へ向けて踠き苦しみながら日々戦い続けてくれる人たちがいる。
それを隠すことなく全てありのままを見せてくれる。
時に目を覆いたくなるくらいの敗戦について感情のありのままを語ってくれる。
仲間が思わず声が出てしまう程の良いプレーを時を見せた時は全力で喜び、興奮した姿を見せてくれる。

だから、ブレックスが、ブレックスというチーム性がわたしは好きだ。



ブレックスに対して私たちファンができることは一つしかない。彼らを信じて応援し続ける事だけだ。

どんなに劣勢でも声を届け続けよう。それが彼らの翼になれるのであれば。
勝った時は全力で喜ぼう。それが彼らの戦う原動力になるのであれば。
負けた時は共に悔しがろう。負けを真摯に受け止めた彼らが次の試合で勝つことを祈りながら。
ブレックスと共に戦い続けよう。内向的で繊細な彼らの孤独が少しでも紛れるのであれば。

彼らはCS出場も東地区優勝も通過点に過ぎないんだ、と言った。
彼らが良いシーズンだった、と言えるのは日本一になったときだけであろう。
それまではブレックスのことを信じ、共に戦い、彼らが笑顔でシーズンを終えるための後押しをしていきたいと思う。

今年のブレックスは紛れもなく強い。
それはバスケが上手いからではない。お互いがお互いのことを信じ、仲間のために泥臭く、時にはプライドを捨ててまでバスケができるからだ。
どのチームよりもファンの力を信じてくれる彼らのために最後まで共に戦っていきたい。


今シーズンが今のブレックスにとって悔いのないものであることを祈りながら、わたしはこれからも声を出し続ける。


2024.4/18

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