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美しいもののために働くのだ

1月12日(日)

早起きの練習で7時に目覚ましをかける。4、5回鳴ったところでちゃんと起きられたた。昨晩発症したぎっくり腰はもちろんまだ痛いけれど、歩くのには支障がなさそうだ。

今日9時に整体の予約を入れてあったのは奇跡としか言いようがない。新年の挨拶もそこそこに、U先生に「このあいだまでインフルで! インフル治ったと思ったら昨日の夜ぎっくりで!」と訴える。先生は「てっきり元気に過ごしてるとばっかり思っていましたよー」とやさしく答えて、がちがちになった体をほぐしていってくれる。

「でも、去年のぎっくりに比べたら、全然大したことないです。激痛ってかんじじゃないし軽症です」

と言うと、たしかにゴールデンウィークのときは歩けなかったですもんね、とうなずかれる。「でも今回も、ぎっくり腰の中では割と重症な部類ですよ」と言われてしまった。調子に乗って悪化させないようにしよう。時間を延長して、悪くなっているところを一通り整えてもらい、電気治療も終えて外に出る。

そのままお気に入りのカフェで朝ご飯。朝カレーなるメニューがあったので頼んでみると、ごろごろ野菜が入ったカレーががっつり食べられた。食後の珈琲を飲みながら『狂うひと』第二章を読み進める。昨日の夜のような耐えられない苦しさはもう感じない。

カフェを出て少し買い物をする。4月に還暦を迎える母の誕生日プレゼントを、アドベントカレンダー風にいくつも用意しようと思っているので、それに必要なラッピング用品やメッセージカード。

帰宅して、昨日の日記を書く。腰が固まってしまわないように、座り姿勢を頻繁に変える。

夕方、少し部屋が冷えてきた頃、化粧をし直して蔵前駅に向かった。駅から5分ほどの雑貨ストア「チェドック」で、大好きなアクセサリー作家・nichinichiさんの個展があるのだ。
nichinichiさんを知ったきっかけは、多分雨宮まみさんが、購入したnichinichiさんの指輪を紹介していて、それが最初だったと思う。数年前の同じ時期にあげは嬢とチェドックの個展に行って、きゃあきゃあ言いながら指輪とイヤリングを選んだ。私の大ぶりのイヤリング好きはこの頃からだ。

当時は個展にすんなり入れたけれど、今はオンラインショップもすぐに売り切れてしまうようだし、この三連休中の個展も整理券入場制、しかもその整理券は抽選だった。せっかく抽選に当選したので、腰が痛かろうがなんだろうがなにがなんでも行く、と決めていた。

入場前に整理番号を見せ、荷物を預ける。お店の中は文字通り発光していた。ところ狭しと並べられたたくさんのアクセサリー、遠い国からはるばるやってきたアンティークのガラスのひとつひとつが、「私を見て」とばかりにきらきらと存在を主張してくる。あまりのまぶしさに目眩がしそうだった。すてきだなと思ったものをトレイに迎えていくとあっという間に購入上限の5点を超えてしまって困った。

一番最初に「これは絶対連れて帰る」と決めたのは、バラの彫りが入った黒いアンティークガラスの指輪だった。左の中指にぴったりで、指とほとんど同じ横幅の大きな楕円。側面がカーブを描くように繊細にカットされていてきらきらする。色とりどりのガラスたちの中で、その指輪は、「あ、これ私のだ」ととてもしっくり来たので迷わなかった。

正月の実家イベントのとき、私がつけていたnichinichiさんの指輪を母がとてもほめてくれたので、今回もし個展に行けたら母のアクセサリーも選んで誕生日プレゼントの中に入れようと決めていた。母と私は、パーソナルカラーは同じだけれど服の趣味は少し違うので難しい。ツバメのピアス/イヤリングは一人一点までで、赤やピンクもあって本当にすてきで自分もほしくて悩んだけれど、それを母へのプレゼントすることにした。クリアな水色は習い事の発表会で濃い色のドレスを着たときにも映えそうだったし、還暦を迎えてこれからより一層自分の好きなこと好きな場所に羽ばたいていってほしいという願いを込めた。指が明るく見えそうなレモンイエローのレモン型の指輪は、2つだけ残っていたので、母と自分でお揃いにすることに。
自分用の大ぶりのイヤリングは悩みに悩んで1つに絞る。燃えるような赤と夜の闇の手前のような青のコントラストが本当に本当にきれい。
母のものと自分のものと選んでいると、時間があっという間にすぎてしまって、一時間の整理券を持った方たちが入場してきていてびっくりした。ちらりと他の方たちのトレイを見ると、みんな「ああこの人これすごく似合いそう!すてき!」というものを選んでいて楽しかった。nichinichiさんがRTしている戦利品写真つきのツイートも本当に何度も何度も飽きずに眺めてしまう。

幸せな時間だった。インフルエンザとぎっくり腰で心がめちゃめちゃに弱っていたけれど、一気に回復してテンションがあがった。そして、半月も仕事を休んでしまって、もう仕事に戻りたくないと思っていたけれど、大好きなもの、美しいすてきなもの、心震わせるものをためらわずにお迎えするために、やっぱり私はちゃんと働こうという気持ちになった。愛!!!
連れて帰ったアクセサリーの写真を撮って、幸せな気持ちで寝た。

#日記 #エッセイ #アクセサリー #nichinichi

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