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海底の鯨
ロックバンドPhishがライブで披露した空飛ぶクジラドローンを見て思い出したこと。
昔テレビでクジラが海に潜っていく光景を見たときから、ずっと、生まれ変わるならザトウクジラがいいと思っていた。
なぜクジラの中でもザトウクジラなのかはわからないけど(造形、フォルムが好きなのかな?)、今調べてみるとザトウクジラの学名は「メガプテラ」といって「大きな翼」という意味で、翼があるからだで深い海に潜っていくなんて素敵だなと思った。
海は空で、空は海なのだ。
深海まで潜って行ける。そしてそこにわたし以外は誰もいない。というイメージを抱いていた。
(よくよく調べてみると深海まで潜れるのはマッコウクジラらしい。知らなかった)
それから52ヘルツのクジラという存在。たったひとり歌いながら、呼びながら、果てのない海を泳いで。彼の気持ちを誰も知らない。それでいい。それがいい。
最期には死肉を食われて化石になる。それはわたしのイメージの中で、誰も立ち入れない魔法をかけられた沈没船のように、海底に隠された神殿のように存在する。大きくアーチを描く白く大きな骨。その下を通る人間はいない。深海に生きるものたちだけがいる。盲目のものたちだけが。わたしの骨を見ることなく。わたしの声も、歌も、想いも、何も知らぬまま。生きて。
なんという孤独。なんという幸福。なんという美しさ。
そんなことを昔、思っていた。