朝の遺構、夜の血脈
郷愁を知らず噛んだ舌から
裂く咲く朝焼けの色の花
透き通る茎に
流れる小鳥の血潮
溢れて落ちる
根を張って増えていく
( 朝焼けは夕暮れへと反転する
( 夜を呼ぶ者たちの白い手
( 揺れる 揺れる
( 茎の長い花の群れのように揺れる
尾羽から鈴の音
死んでゆく命の
誇り高く無垢の瞳
夜に似た静寂を孕んで
揺れる
やまたの舌
雷鳴が貫いた
反転する
わたしとあなた
鳥籠の中の囀り
「誰が殺した?」
「それはわたし」とあなたが言った
( わたしを見下ろす者たち
( 夜を呼ぶ者たちの白い手
( ゆびさきから鈴の音
静寂の中に隠された目印
あなたは私を選び
私の皮膚に印を刻んだ
( 溢れる
( 溢れて落ちる
( 小鳥の血
かつて夕暮れは遠かった
かがやく陽の下で
わたしはあなたを埋葬した
( あなたがわたしを埋めたように
( 花が咲く、花が咲く、花が咲く、
「夜が来るよ」と囁いた
振り向いた先に
立っていたのは誰か
( 「それはわたし」とあなたが言った
「夜が来るよ」とあなたが言った