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深夜の自販機前から得られる詩情

 深夜の街歩きが結構好きだ。終電も完全に終わっており、社会が眠りについたころ。ただの住宅地、あるいは何の変哲もない幹線道路沿い。そういう場所が特に良い。
 まず、単純に人が少ない。昼間の様にガヤガヤしていなくて静かだ。だが、だからといって完璧な静寂という訳でもない。時折人とはすれ違うし、太い道路は大抵工事をしている。そもそもコンビニは24時間営業だしね。
 深夜の街特有の、この一人だけど孤独じゃない感が好きだ。昼間と違って集団が優位じゃないから、気兼ねなくして動けるのがいい。昼間に一人でいると、なんというか学生時代の教室の光景を思い出す。休み時間、誰かと固まるのが当たり前、一人でいることを正当化するために寝たふり、当然寝ずに聞き耳を立てて情報収集。そんな感じ。

 そんなわけで、深夜の街が好きな私なので、アニメなどでそういったシーンが出てくるととても興奮してしまう。最近見た中だと、TVアニメ「ブルーアーカイブ」の2話のこの場面は非常に良かった。
 バイト帰りのセリカを労うシロコ。二人だけの時間、女子高生、銃、自販機、ヘイロー、このアンバランスさがたまらない。アビドスという狭い世界に生きる彼女たちを象徴しているようで。

 コンビニに行きがてら、リアルでも写真をパシャリと一枚。つまらない写真だ。だけど、昼よりは幾分か思うところがある一枚の様にも見える。一体なにが違うのだろうか。自販機はいつでも変わらずそこにあるというのに。
 それを通して誰かがそこにいることを感じられるからかな。飲料メーカー、発電所、運送業などの遠く離れた人の温もりを。余計な言葉がないからこそ、電線で繋がる世界はインターネットよりも美しい。
 残念なのは、美少女の姿がないことぐらいかな。一緒にレモネードでも飲みながら、たわいもない話をしてみたいんだけど。段々季節は過ぎていって、『あったか~い』も駆逐されてしまった。もうじき、熱と湿気と昼の季節、夏がはじまる。全く、世知辛いもんだぜ。

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