Japanese heart is not satisfied yet.

　近頃、何かとニコニコ動画が話題だ。サイバー攻撃を受けた上での話だからあまり持ち上げるのはどうかと思うが、かつてニコニコキッズだった私としては嬉しいものだ。
　そんな世間の流れに押されたのか、あるいは作品の狂気に導かれたのか、「しかのこのこのここしたんたん」の音MADがYouTube上でもいくらかアップロードされているようだった。

　ほんの一秒にも満たないペラペラな素材をこすり倒し、妙にクオリティの高いコラを作り上げるその姿勢はまさに古の職人たち。令和に入り六年も経ち、Z会もカビキラーも、ましてドナルドも見なくなったこの時勢に、このような侍が残っていたとは私も思わなかった。どうやら、日本の心はまだ死んでいないようだ。　
　ただ、まあ……昔のように、純粋に面白れぇと思えない自分がいるのは、少々悲しい。こらえ性がなくなったのか、はたまた目や耳が肥えてしまったのか。それとも、一緒に騒ぐ仲間を失ってしまったのが原因か……理由は分からないが、自分が熱狂の波に乗れないというその事実がどうしようもなく残念だ。
　不謹慎ではあるが、今ニコニコが見れない状態で良かったかもしれない。同じような構図のサムネイルがランキングを占拠していていることにすら、きっと嫌悪感を抱いてしまうだろうから。インターネットに所属している気持ちを失うと、新しいインターネットミームですら受け入れがたくなってくるのか。ああ、老いるとは本当に嫌なものですね。
　せめて、老人として楽しみを享受するためにも、ニコニコ動画には一日でも早く復活して欲しい。もちろん、連日の作業でお疲れだと思うので、運営の皆様は身体に気を付けた上で毎秒作業したりしなかったりしろ。