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From:服を畳まない人類

 今まで20数年生きてきているが、未だに服を畳む意味が分からない。同じように定期的に掃除をしなければいけない意味も理解できていない。綺麗な方がみんな嬉しいんだろうな、ということはさすがに了解しているけれど、心の底から共感できたことは一度もない。
 正直、やればやるほど時間の無駄だと思っているし、それ以前に面白くなさ過ぎてビックリしているぐらいだ。だから私は服を畳むという行為がとても下手なままで、たまに困ることがある。
 先日の事だ。ちょっとした労働の案件で使ったジャンパーを畳まないといけない、という機会があった。周りと同じように、折り方を揃えて箱に詰めるだけ。
 多分、そう難しいやり方ではないのだろう。周囲の人たちはなんなくタスクを済ませて散っていった。しかし、私にはどうやったら同じ形状になるのかが全く想像できず、繰り返しいびつな形の平面図形が作るばかりだった。
 子供の頃から折り紙も数学の立体図形の問題も苦手で、「頭の中で回せ」などと言われるといつも心の中でキレていたことを今さらながら思い出す。
 結局、なんどやっても綺麗に畳めなかったので、周りの注意が逸れた頃にそれとなく隙間に差し込んで誤魔化してしまった。
 几帳面な方はお怒りかもしれないが、どうか許して欲しい。当たり前のように思える技能でも、できない人は確かに存在するのだ。「ちょっと練習すればできるだろ」と言われてしまえばそこまでだが、それをするまでの価値がどうしても私には感じられない。
 「綺麗な方が気持ちいい」「畳まない服がしわになる」よくそんな意見は耳にするが、だからといって100%全てが完璧に揃っている必要など全くないだろう。ちょっと畳む位置がずれたって、0が-0.1になる程度でしかないのだから……
 そう思っているから、私は家でも服を畳まず、結果服を畳むという技能が向上しないままでいる。やるやらないにせよ、一般的な畳み方ぐらい知っておいた方がいいのは分かるんだけど、どうにも全然やる気がでない。好きな美少女キャラクターが教えてくれるとかなら話は別なのだけど。
 「家事を教えてくれる音声作品」とかどこかに投稿されていないのかな。あったらフライの作り方が分からなくて、パン粉と小麦粉と卵を一緒に混ぜてしまうなんてことも起こらなくなるのに。
 ジャンプみたいなバカ太い衣にマヨネーズをつけて食べる、なんて侘しい思いはもうしたくないんだ。頼むよ。

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