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ない扉ある扉

 渋谷付近を散歩していたら、このような扉を見つけた。地面から数mの高さにあり、目前には金属の柵が張ってある。中がどうなっているかは分からないが、どう考えても出入りに使えそうにはない。死んだ扉だ。誰も気にも留めない無価値なオブジェだ。現に、私の隣を通っていたカップルは一瞥もくれずに通過した。
 なぜ私はこんなものの写真を一々撮ったのだろうか? 多分、その意味の無さが心地よかったからだ。有意味だけの世界はなんというか辛いからね。最後にどうせ0を掛けると分かっているのに、足し算と引き算を実直にさせられているみたいで。人生楽しく過ごすなら、算数よりは国語的に生きたいものだ。理系出身者が言えたことじゃないけれども……

 それはそうと、こういう扉の内側がどうなってるかは気になるな。きっと安全のために封鎖されているんだと思うけど、一度機会があれば開けてみたいところだ。その時は、カートゥーンネットワークとかみたいにバタ足で何秒か空中で耐えられるかも試してみたい。


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